なんじょうデジタルアーカイブ Nanjo Digital Archives

わが家の誇り 住み良さは負けません  字佐敷 平良秀一さん

沖縄戦の戦禍に荒された佐敷町で、奇跡的に小さな被害で済み、現在に往時の姿を伝えている家があります。大正8年に建築されたといいますから、64年前の家です。木造、瓦葺き、平屋建て。奥行き4間、間口5・5間。材料は、チャーギ(棋)、イーク(モッコク)、杉材。純沖縄風建築です。
現在の当主平良秀一さんのお父さんである秀行さん(故人)の建てられた家です。1番座、2番座、シム(台所)、それぞれ広々とした間取り、現在はなくなってますが、高バシル(高窓)つきの小部屋もあり機織りが行なわれていたとのこと。
「家の寿命がきて建てなおすとしても、この家と全く同じにつくります」と語る平良さん。
先般の16年ぶりという大型台風にもビクともしなかったということです。「コンクリート家に負けない住み良さ」と平良さんが自信を持つように、沖縄の気候風土、生活の知恵によって生まれた家といえるでしょう。
「建築当時、私は6歳。ヤンバルゼーク(山原大工)の松太郎さんが棟梁でした。弟子の人に貯金箱をつくってもらったりしたことをおぼえてますね。ユイマールで近所の人たちが手伝いに来たりして賑やかでした」
なんともいえない模様をみせてくれる木目、木肌、年月を浸みこませた板壁、家の中には温かさがただよっています。伝統がかもし出すものなのでしょうか。まさに家という感じです。
「大砲の破片が入ったままの柱があったり、各所にいたみはきてますが、まだまだ大丈夫。最高の家ですよ」

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大分類 テキスト
資料コード 008436
内容コード G000000494-0010
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第77号(1983年10月)
ページ 8
年代区分 1980年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1983/10/10
公開日