なんじょうデジタルアーカイブ Nanjo Digital Archives

活力ある農業のために

土地が生きてきます。町全体の農業に活力があふれます。将来を見つめた農業経営は、計画的な土地利用がなされてはじめて可能です。豊かな”むら”づくりをみんなの手で…。

沖縄県で土地改良が本格的に取り組まれたのは、昭和47年の日本復帰後といえるでしょう。それで前段は、県から各市町村に勧めるという県主導型でした。
各市町村で土地改良に対する認識が高まり意欲的に取り組むようになったのは、第1次沖縄振興計画の期限がおしせまった昭和55年の頃です。第1次振計で沖縄県に対する諸事業への高率補助が認められ、2次振計へと引きつがれていくわけですが、2次振計が終わると高率補助は期待できないという状況にあって、各市町村とも意欲を見せはじめたというのが実情のようです。
これまで、隣町村、東風平町、大里村、玉城村、具志頭村などでも盛んに土地改良が進められてきました。これらの町村と本町とを農業生産力で比較をしてみるとかなり差があることがわかりました。
労働生産力(農業専従者1人あたり所得)では、大里村105万、玉城村102万、佐敷町83万。
土地生産力(耕地10アールあたり生産農家所得)では、大里村21万、玉城村19万、佐敷町17万という結果が出ているのです。
本町の農地は、元来地力がありサトウキビは常に10アールあたり10トンを越えていたのですが、最近では8トン台まで落ち込んでいます。そのことは、前述の農業生産力の比較をみてもわかります。
原因は、土地改良のおくれとも相まって、①たい肥を使わず金肥肥料を使いすぎた。
②農道が少なく古株の更新が困難な農地が多い。③水田跡畑が多く排水不良地が多いことなどがあげられます。
本町では、今後の農業の発展は土地改良なくしてはありえないという認識のもとにその取り組みに全力を注いでいます。現在津波古地区で進められていますがここは、土地改良可能面積の10%前後の面積です。今計画されている浜崎地区は30%を占めます。この両地区の大規模の土地改良がすめば、残りは別の方法でいわゆるミニ土地改良でカバーしていこうというのが計画です。
浜崎地区土地改良は、規模が100ヘクタールと大きく、従って県の直営事業で進められます。現時点での主な作業は、関係地主がこの事業に参加をするという同意を得ることです。現在、土地改良推進員の皆さんと町職員が日夜熱心に取り組んでいただいたおかげで同意率も約83%までになりました。
しかし、これでも同事業が採択される率には至っておらずあとひとふんばりというところです。
同意できないという地主の方たちの意見は、①自分の畑は今でも農道に面している。
②宅地として利用したい。③既設の道路にも土地を提供しているしこれ以上はできない。④農業用施設(温室、畜舎)の移転補償問題に集約されます。
私たちとしては、再度各部落での懇談会を持つ中で関係地主との妥協点を見いだし、ぜひこの大事業を実現させたいと思います。
土地改良の推進は、そのことを皆で話しあうことによって地域の農業の様々な問題点を浮びあがらせます。土地改良を進めることがひいては、豊かなむらづくりへとつながっていくのではないでしょうか。
わが町の農業の活性化、将来をみこした経営改善は、この土地改良の促進が大きな意味を持っているといえます。関係地主の皆さんの協力、御理解をお願い申し上げます。

佐敷町経済課長 平田安彦

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大分類 テキスト
資料コード 008436
内容コード G000000494-0007
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第77号(1983年10月)
ページ 6-7
年代区分 1980年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1983/10/10
公開日