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くらしに 緑を 沖縄は植物が豊富。身近の緑化で島づくり・・・。市民緑花センター 小島裕 

近ごろ、地域緑化ということがよく話題にのぼっているようです。地域の都市化が進むなかで、緑化は、重要な事業のひとつとなってきています。緑化とは、植物を植え育て、集団としての緑を造ることです。この集団としての緑には、まず空気の浄化、気候の緩和、水資源の保全、潤いのある景観づくり、そのほか、化学的、物理的、精神的に様々な効果があり、私たちの生活空間には、欠かすことのできないものなのです。
緑化という言葉を聞くと、山に植林したり、街路樹を植えたり、緑地帯を造ったりすることを思いうかべるかも知れませんが、そのような規模の大きい緑化だけではなく、住民の1人ひとりの心掛けでできる緑化もあります。たとえば、道路、隣地との境界にブロックなどを積まず生垣にしたり、プロック塀や建物につる植物などをはわせたり、道路との残地に植物を植えることなどです。
沖縄は、日本の他の地方よりも植栽できる植物の種類が多く生垣に利用できる樹種、つる性植物の種類も豊富で生育も早いのですから、もっとどんどん取り入れるべきです。
先日、私はヨーロッパを旅行する機会があり、イギリス、西ドイツ、オランダの3カ国の緑化の状況や緑化木の生産などについて見てまわってきました。
ヨーロッパは、早くから自然破壊が進んだせいか緑に対する飢えみたいなものが感じられ、生活の中にもふんだんに緑が取り入れられていました。植えてある植物の1本1本に思いやりが感じられるようでした。園芸売店には、朝早くから多くの人が緑を買い求める光景が見られ、緑化木や園芸植物の生産農場では、はたして、これだけの需要があるのかと思われるほどの植物の生産量と農場の規模の膨大さに驚かされました。気候的にも恵まれておらず、水も豊富ではなく、土壌も悪い彼の地では、緑化にはかなりの努力を要していることでしょう。それでも、都市地区では、相当量の緑が確保されているのですから気候に恵まれた日本、特に沖縄では、ヨーロッパ並みの緑化ができないわけはないと思いました。
住民1人ひとりの緑に対する意識の向上と、植物に対して愛情を持つことができるようになれば、沖縄をすばらしい緑の島にすることができるでしょう。

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大分類 テキスト
資料コード 008436
内容コード G000000493-0009
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第76号(1983年8月)
ページ 6-7
年代区分 1980年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1983/08/10
公開日