「家族が健康で、無事に過ごしていられるのも、この馬の角のおかげかもしれませんね」と語るのは、楚南秀子さん。
馬にはたして角があるものかどうかの詮索は別にして、とにかく楚南家に代々伝わる家宝が、この「馬の角」なのです。深みのある艶、家宝の風格をただよわせています。
楚南家6代目当主が中国に渡った際、馬勝負に出場、優秀な成績をおさめ、その褒賞として賜ったものだそうです。
「私が嫁いでくる前までは、その時いただいたターワン(中国の大きな茶碗)や太刀、鞍などもあったということです。今のこっているのは、馬の角だけです。家長が厳重に管理していましたから、ほとんど見ることができませんでした。12代目の今になって、こうして私も自由に見ることができるようになったんですよ」
沖縄戦で山原に疎開した際にも、収入役も務められた故楚南了治氏が肌身はなさず持っていたということです。先祖の誉れと魂がこもっている宝物ということで守り抜いたわけです。
「むかしは、馬の角を前にまつりごともやっていたと聞いてます。ご先祖を大切にしていたんですね。昔の人は……」
正しい保管をするために、琉球大学の専門家の鑑定をあおいだということですが、角の主は判明しなかったそうです。貴重なものでもあり、何よりも歴史のロマンを伝える家宝といえるのではないでしょうか。
危険をおかし海を渡り、そして馬スーブに挑んだ楚南家のご先祖、先人の意気の高さを知ることができます。
☆この欄は、町民の皆さんの誇りとするもの、腕、珍品至宝を掲載します。情報をお待ちしております。