130年前ペリー提督が沖縄に訪れた際初めてロにした言葉が「何と緑の島よ」ということだったそうです。昔の沖縄は多くの緑に包まれていたのでしょう。
この豊かだった緑も、第2次大戦でその多くを失いました。
戦後、私たちはたゆまざる努力によって見違えるような復興をとげました。しかし、この復興は、生活環境にまで気をくばったものではなかったようです。
戦後30数年たった今日、私たち1人1人の足元から生活環境の物的、精神的改善を図るための努力が強く望まれるようになりました。そのあらわれが、園芸ブームであり「心豊かなふるさとづくり運動」(CGG運動)といえるでしょう。
さて、今回私に与えられたテーマは「家庭で参加できるCGG運動」ということです。CGGとはことさら申し上げるまでもなく、クリーン(ふるさとを美しく清潔にしよう)グリーン(ふるさとを緑と花で包もう)グレイシャス(ふるさとの心を育もう)ということです。この中で私が大事に思うことは、クリーンです。 このクリーンというのは、単に塵、芥を取り去るだけにとどまらず、緑の整理整頓も同時に進めなければなりません。緑を生活にどう配置するかです。
植物にとって沖縄の自然環境はきびしいものがあります。緑の配置はこの環境をはずしては考えられません。沖縄で本土産の植物、椿やさつき、黒松などを高い金をかけて植えてある庭をよく見かけますがあまり感心できないことです。
最近植えられた街路樹、植込みなどを見ていると九州あるいは台湾の景観があちらこちらにつくられはじめています。私たちは沖縄本来の景観、景色をわすれてはならないと思います。
家庭で、町全体で、クリーンに力を入れ、郷土の気候風土、植生を考えた緑の配置をすべきです。緑は金をかけずに、時間をかけることが大切です。
もうひとつ大事なことは、これまで自分の家を中心にしていた緑の配置を少しは、街路に向けてできるだけ多くの人々の目を楽しませる、そんな心がけが必要ではないでしょうか。