5月21日……何の日だったかなと疑問に思われる方は多いかもしれません。この日は、5月の第3土曜日。「少年を守る日」なのです。全県下で一斉に警察、青少年補導員、青少協関係者が夜間補導を実施しているのです。
佐敷町でも、与那原署、青少年補導員、青少協の担当者が毎月地道な補導活動を続けています。午後9時から11時まで…。
この短い時間に、町内の青少年の様々な実態に遭遇するという話を聞いて、記者はさっそく5月21日の夜間補導パトロール車に同乗することにしました。
かい間みた兄弟愛
午後9時ちょうど、役場出発。
この日の参加者は、駐在さん、青少年補導員2人と青少協から1人の計4人。今日は、無事終ってほしいと話しつつある部落にさしかかりました。さっそく中学生と小学生の乗った2台の自転車に出会います。事情を聞いてみると2人は兄弟で、弟が新聞配達をしており、夕刊が1枚あまったので配達もれがないかどうか1軒1軒確認してまわっているというのです。
ほほえましい兄弟です。どこにでもあることかも知れません。でも夜間補導ということで神経がピリピリしている同乗者たちは、思わずほほがゆるみ、「気をつけて行けよ」と声をかけてやるのです。
しばらく行くと1台のオートバイに出あいます。流行のミニバイク。よく見ると2人の少年が乗っています。しかも1人は、後部の小さなガソリンタンクの上。免許こそ所持していますが、違反行為の2人乗り。駐在さんは、「また君か、こんなにおそくからどこへ行くんだい」と声をかけます。友だちの家へと行くとのこと。夜おそいのでただちに家に帰るように指導。最近女子中学生がミニバイクをのりまわすなど、この夜間補導で補導される少年たちはほとんどミニバイクに乗っているということでした。
無謀、あまりにも無謀
この直後、同様なミニバイクによる衝撃的なシーンを目のあたりにします。港で夕すずみをしている人たちといろいろ雑談をかわしていると突然パトカーのサイレン、国道ではなく近くの住宅街。近づいてきます。1台のオートバイをパトカーが追跡しています。まるで、映画かテレビの画面を見ているような錯覚にさえなりました。
しかし、目の前で現実に私たちの前でこのような光景が展開されているのです。しばらくすると急ブレーキの音。さっそくかけつけると角をまがったところに1台のミニバイクがほうりだされており、びっくりしてとびだした近くの住民が数名取りまいています。バイクを乗りすてて逃げた様子。警察官が後をおったがどうやら逃げられたとのこと。話によると国道でパトカーに対して故意に挑発的な行動をとったというのです。最近特にナンバープレートも付けず中学生がこうした行為に出ることが増えているそうです。保護者はいったいどうしているのでしょう。
なんと、755台
このほか、私たちは、無免許、ノーヘル、ナンバープレートもつけず、750㏄のオートバイを乗りまわす少年を補導します。「ごめん、もう次からこんなことはしないから」というものの反省の色はあまりみえません。友だちのをかりてきたということです。それにしても、あまりにも無謀な少年の行動です。
こうして、5月21日の夜、たった2時間の間に様々な少年たちに出会いました。意外に思うことはこの少年たちのほとんどが明るいのです。陰湿な子はほとんどいないのです。駐在さんと時には笑いをまじえて話します。駐在さんもまた心得ていて、この日の目的がいわゆる補導ではなくて、さとしてはやく家に帰すことなのです。
それにしても、この日ミニバイクを乗りまわす少年たちの多さにはびっくりしました。
ただいま町に登録されているミニバイクの数は755台……。