「耳のくぢりりばかねもほこらしやめ、世界(シケ)やとなどなと波も静か」 瑞喜翁は、耳が遠いので有名。所用があって那覇に赴いた折、西武門から久米大通りの電車の軌道を横切って、内兼久山から近道して首里に向った。途中夕暮れの電車道で、後から来た電車の警笛が聞えずハネとばされ、救助網に乗っかってしまった。
運転手さんは怒って電車から降り車庫(会社)まで連れて行くと言い、一方この翁はチンプンカンプンの返事。騒ぎが大きくなり、電車に乗り合せていた知人が聾人である証言をし、運転手さんも了解して事はおさまった。翁は平然とあやまりながら詠んだのがこの歌。生死の境におけるこのゆとり戦国時代の昔の武将にも似た翁の風格がしのばれる。
先輩にお年を聞くのは失礼とは思いながら、話の合い間をみて恐るおそる「先生、もうおいくつになられますか」とお聞きした。間髪を入れず、「年や聞ち呉いるな淋しくるなゆる三良小(サンラグワー)と肝やいちむ十八」。三良小とは、男性の一物のこと。「肝と下はまだまだ君達若者には負けないよ」と高笑い。
当時、田舎のマチヤ小(店)にはインスタント食品と言えばソーメンと鰹缶詰しかなかった。楚南収入役が小使の三良主(サンラースー)に素麺プットルーを作らして出したら、箸をつけたとたんに翁の歌、「素麺プットルや連帯がやゆら、一筋(ちゅしじ)どんひけばフイツルムチユル」。ソーミンプットルは一枚岩ならぬ一筋一筋が抱き合い結び合って連帯の感がするとの意味の歌。ではまた。
(間野多賀弥)
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| 大分類 | テキスト |
| 資料コード | 008436 |
| 内容コード | G000000492-0006 |
| 資料群 | 旧佐敷町(佐敷村)広報 |
| 資料グループ | 広報さしき第75号(1983年6月) |
| ページ | 5 |
| 年代区分 | 1980年代 |
| キーワード | 広報 |
| 場所 | 佐敷 |
| 発行年月日 | 1983/06/10 |
| 公開日 | ー |