はじめに
本日、ここに第25回佐敷町議会定例会の開会にあたり、昭和58年度予算案並びに関連する諸議案の説明に先立ちまして、町政運営の基本方針と重要施策の大綱について私の所信を申し上げ、議員各位の御協賛と町民の皆さんの御理解と御協力を賜わりたいと存じます。
私は、町長就任以来、早くも3期10年目を迎えました。この10年を振りかえってみますと、私達の生活環境はめまぐるしい変化をとげ、まさに10年ひと昔という感を強くいたしております。私は、この間今日まで一貫した政治姿勢のもとに憲法の精神を尊重しながら地方自治を守り、より住みよい豊かな佐敷町を建設するための施策を基調とした町民直結の行政を推し進めてまいりました。そして、幾多の困難な課題に直面しながらもひたすら町民生活と福祉を支える基盤として、地方自治の使命を果すべく最大の努力を傾注してきたのであります。本年度もさらにこの決意を新たにして地方自治の確立に努め、町民優先の町政展開に全力を傾注してまいる所存であります。
沖縄県も復帰10年というひとつの歴史的節目を迎えました。そして、私も町政をあずかって10年目にはいりました。このことは、とりもなおさず歴史的ひとくぎりとして、県にとっても、そして、わが佐敷町にとっても、あらゆる問題を総合的に検討しなければならない節目といえるのではないでしょうか。
したがいまして、本年度は、私にとりまして、過去10年間の反省と、それをもとに、今日、そして、将来の佐敷町がどうあるべきかという展望を明確にしていかなければならないというきわめて重要な時期にあるということであります。
今日の社会、経済をはじめとする内外の諸情勢は、まことに厳しいものがあります。とりわけ、国の財政は、大幅な不均衡の状態にあり、昨年「財政非常事態宣言」を表明するに至っております。この事態は地方自治体に大きな影響を与えるのは必至であり、今後の県政、町政の困難性を彷沸とさせるものがあります。したがいまして、昭和58年度の本町の財政がいかに厳しいかということは、改めて申し上げるまでもないことです。このことは、本町だけにかぎらず各市町村とも同様であり、現時点で策を講ずる必要がありながら十分に対応できない状況にあるのであります。
現在の国、県の財政状況では、たとえ復帰特別措置法が10年延長されたとはいえ、経済活動の低迷臨調の答申に基づいた行政改革の推進、そして補助制度等の見直しが叫ばれ、さらには国の税収の落ち込みによる交付税の前年度よりの削減処置など各自治体の諸政策の推進に多大な困難が予想されるのであります。
復帰後の10年を振り返るとき、他府県との格差を是正すべく第1次振興計画が策定され、高率補助が適用されることによってその効果が発揮されるものと私たちは少なからず期待をいだいたのでありました。しかしながら、オイルショックに始まる世界的不況、経済活動の低迷はそれを許さず、第1次振興計画はその目的を達成することなく期限切れとなってしまい、新たに第2次振興計画が策定され、復帰特別措置法が10年間延長されることになったのであります。それでも、今後の経済の動向の見通しが十分たてられない状況にあることは変わりなく、このような状況のもとでは、高率補助を伴う事業を早い時期にいかに導入し有効に活用できるかということが大変重要になってまいります。このことは、本町の将来を左右するといっても過言ではありません。
したがいまして、今私たちに必要なのは、いたずらに足らざるを嘆くのではなく、現今の厳しい財政環境の中で耐えるべきところは耐え、いま最も必要とするものは何かという優先度に慎重な選択を加え、有効適切に町民の要求実現を図っていくことにあると思います。
もとより、町政は、町民のものであり、真に町民生活を守り、福祉の充実を図らなければならないことは当然の責務であり、行政の停滞は決して許されないことなのであります。
私は、このような困難な時代を乗り切るために、町民及び議員各位の御理解と御協力を得て、将来の佐敷町にとって悔いのない行政推進をすべく全力を傾注したいと考えております。
町政運営の基本方針
私の町政運営に対する基本姿勢は、毎回申し上げていますように「町民の生命と暮しを守り、活気ある町政を推進し、町民との対話と参加を通して、すべて行政を公正民主的に行ない、清潔な町民本意の町政を確立する」ことにあります。それは、本年度においても変わることはありません。 すでに申し上げましたように、現在のわが国の経済基調は、復帰特別措置法による高率補助の逓減、地方交付税及び町税の伸び悩みなどに相まって、義務的経費の増加、そして、多様化する事務事業の施行に伴う財政需要の増嵩等きわめて苦しい財政状況になっております。自治体の前途は、住民の生活環境を整え、福祉の向上を図る上で、いまや非常に困難かつ深刻な情勢に直面しているといえます。
かかる情勢下、昭和58年度予算編成にあたっては、経費の節減合理化に通じ、さらには、自主財源確保のための努力をはらい、重点選別主義に徹して財源の有効適切な配分に努めることが緊要であるとの方針が確定されました。
そして、その基本方針のもとに昭和58年度予算を編成したのであります。
私は、苦難と窮乏に立ち向かうこの時期にこそ職員ともども消極的になりがちな気持ちを引き締め、あらゆる思考と勇断をもって町民サービスの向上に努めることを、特に本年度の諸施策を推進するための心がまえとして、持ちつづけていきたいと考えているのであります。
基本施策
以上申し述べました町政運営の基本に基づき、本年度も具体的な施策として「福祉」「生活環境」「教育文化」「産業」に重点的に取り組み、その実現を目ざしたいと思います。
地方自治体の仕事は、極めて広範多岐にわたっておりまして、行政の主体である町民もまたそれぞれ異なった価値観を持っております。とりわけ、現在のような社会変動の激しい時代にありましては、多種多様にわたる町民要求となってあらわれる行政需要は、質・量とも増大していくのが実情であります。このようなときにこそ、行財政の見直しを行ない、事務事業の効率化による町民サービスの向上を図るべきであると考えます。
したがいまして、これまでの行政のあり方を反省し、新しい時代に即応しつつ町民福祉の向上を図っていくことがこれまた私の使命であります。
現在、本町におきましては、①総合計画の中の基本計画、実施計画、②農村総合整備モデル事業の計画の策定、③国体準備、④商工業観光の開発、⑤公有水面の埋立 ⑥土地利用計画などの諸計画の策定をかかえており、いずれも将来を見通した事業としていかなければならないものばかりであります。
そのため、町行政の総合調整をはかりつつ、将来計画に基づいた企画を強力に推進していく企画部門の新設、充実が急がれるところであります。この新部門は、単に将来計画等または重要施策の調査研究を担当するだけではなく、各課の企画施策を有機的に結合させ、町民の行政需要への対応と健全な財政運営の確保により、行政目的達成に努めてまいりたいと考えております。
以下、基本施策の概要を申し上げたいと存じますがその前に、ひとつ触れておきたいことは、私たち佐敷町にとりまして永年の懸案であります役場庁舎の建設についてであります。このことにつきましては、庁舎等建設委員会を発足させ、調査研究を進めているところでありますが、その答申をまって具体的に取り組みたいと思います。また、昭和62年国体をめざして諸準備を進めていかなければなりませんが、このことについても本年度は、国体準備委員会を設置し、施設、運営、受け入れ体制などについて調査研究を開始いたします。また、新開球場整備の59年着工を目ざし、補助事業受け入れのための諸準備をはじめたいと思います。
さらに、新聞紙上等でいろいろ報道され、その実態はすでに町民の方々にご理解いただいているところの厚生年金総合老人ホームにつきましては、本町においては10年前より町議会の議決及び南部町村長会、同議長会において本町に誘致することが決定され、その間町民大会、数度にわたる関係機関への陳情等をくりかえしてきたのであります。今回、国において調査費が計上されたことによって各市町村において、本格的に誘致への動きが始まりました。本町においても、再度にわたる南部町村長会及び同議長会の本町への誘致決定を受けていちはやく関係機関に対し誘致への要請をなし、強力に誘致運動を展開しているところであります。しかし、本事業は、立地、その他の条件等が国において、決定されることでありますので、今後町議会及び地主、町民のご協力のもとに、この施策の誘致実現のため最大限の努力をいたしたいと考えております。
さらに、馬天港の埋立てについては、町民共有の財産であるという観点から、町や町民のために活用できる方向を見出すために、その方向にそった要請を県当局になしてきたのであります。県におきましては、大型プロジェクトをかかえ、その進み具合いと相まって本要請については検討する方向にあるものと思われます。本町といたしましては、その実現を早めるためにも基礎的調査、研究を行ない本事業が実現するよう努力いたします。
1、社会福祉の充実
住民福祉の充実と向上については、従来の高度成長に支えられた、総合的あるいは過剰サービス的な福祉は、反省期に入ったといわれておりますが、低成長下の今日、福祉行政の必要性は、より切実な課題として積極的に取り組むべきであると考えます。特に「弱者の論理」に立ち、これからは、真に福祉の手を必要とする方々に必要な施策を行なう、いわゆる選択的、重点的福祉行政をめざす必要があると思うのであります。しかも福祉の担い手は、もはや行政サイドのみにあるのではなく、社会連帯感に基づく地域ぐるみの観点に立ち、町が行なう福祉行政を補完するものとして、住民のボランティア活動や各種団体の活動を強く期待せざるを得ない状況にあるともいえます。そして、住民の行政需要への対応と健全なる財政運用という視点に立つとき、福祉に対する住民の適正な負担もやむを得ないと考えられるのであります。このことは決して「福祉の後退」を意昧するのではなく本町における町政の究極の目的は、やはり町民福祉を増進することであり、町民の幸せを守ることにあるということを強調しておきたいと思います。
新年度は、きびしい社会状況下にありましても、住民参加という視点に立ち共に福祉の充実強化に努め、佐敷町にふさわしい福祉風土の確立に全力を傾注する覚悟であります。
そのために、老人福祉センターを佐敷町における福祉の殿堂たらしめるべく、その充実強化をはかってまいります。このことのひとつの具体例としましては、永年の関係者の要望でありましたセンター入口のバス停留所が南部国道事務所をはじめ、関係機関、地主の御協力のもとに今回供用のはこびとなったのであります。これを契機として真の町民の福祉センターとしての機能が十二分に発揮されるものと思います。また、琉大医学部の全面的協力を得て実施し、大きな成果をあげている寝たきり老人、1人暮らし老人の居宅訪問、老人健康診査など老人の健康の保持増進は、今後とも関係諸機関に働きかけ体制強化、実施に努めます。児童福祉は、引きつづき町内の町立、法人保育所の保育内容の充実に努めます。
社会福祉協議会は、これまで、本町の福祉活動の推進母体として諸々の活動を展開してまいりました。町ではその活動を積極的に助成するため専門員と庶務会計の人件費と運営費の一部負担を行ないます。また、社会福祉協議会で実施している友愛訪問、母子、身障者、精神薄弱者福祉の増進を一層強化させ、同協議会の充実強化を図ってまいります。
次に、「健康づくり推進事業」は、人口の高齢化、社会環境の変化などにより、母子保健、成人病、老人保健、精神衛生、健康増進などの保健需要が増大し、地域住民に密着した健康づくり対策が求められている状況に対処するため、昭和55年度からスタートしました。この事業も、今日ようやく町民の間に定着しつつあり、「自分の健康は自分で守る」という意識が芽ばえつつあります。そして「佐敷町健康づくり推進事業」の方法と実践は、県内各界の注目を集め、また、他府県からも評価されているのであります。しかしながらこの事業の目的は一朝一夕に達成されるものではなく、地道で継続的な活動が今後も永きにわたって続けられなければなりません。新年度におきましても、地域ぐるみの健康づくり事業の推進に努めていく所存であります。
2、生活環境の整備
わが佐敷町の町づくりの目標は毎回申し上げていますように恵まれた自然を背景に、単に建物の集合体ではなく、人間の生活を豊かにしその必要とするものの願いを満足させ、だれもが人間社会の一員であることの自覚から生まれる満足とゆとり、そして心の温かさを見出しうる場所を提供することにあります。
私は、この大きな目標に一歩でも近づくように、道路、排水路はもちろん、水道の整備、公園、広場の創成など足もとからの生活環境の整備の実現のテンポを早めてまいりました。
本年度におきましては、冨祖崎運動公園整備事業がいよいよ最終段階を迎え、既に完成した野球場、今年度完成の多目的運動広場を町民の利用に供したいと思います。
そして、引き続き植栽など周辺の環境整備を進め、進入道路の整備に着手し、町民こぞって憩える場の創出に努力したいと考えております。
また、新里・佐敷線、馬天浜端線道路など継続している道路改良事業をさらに進め、新たに外間・冨祖崎線の道路改良事業に着手いたします。そして、講和発効前のつぶれ地補償を今年度にひきつづき推進します。
排水路工事につきましては、伊原地区排水路整備事業を今年度で完了し、佐敷地区排水路の整備、新里地区の河川災害復旧工事に取り組んでまいります。
交通安全対策施設は、本年度よりはじめて国庫補助を導入し、その充実に努めます。このほか、県営事業として県道137号線改良事業、新里・伊原地区地すべり防止対策事業、馬天港湾整備、仲伊保地区船揚げ場整備事業を導入し推進いたします。
次に「心豊かなふるさとづくり運動」は、昭和55年度スタート以来、熱帯花木トボロチの接ぎ木、壁面緑化などを進めてまいりましたが、本年度におきましては、これらをさらに推進し、国道沿い、公共施設等を中心とした花いっぱい運動に取り組みます。そしてそれをもとに、町民の精神風土の中枢をなす「ふるさとの心」を育む運動を推進し、「花と緑と思いやり」のある町実現のための努力を続けたいと思います。
日常生活に密着する水道事業の役割はいつの時代でも重要であり、おそろかにできるものではありません。これまで、断水時に水圧が弱く、水量が少なかった小谷、伊原地区の高台地域の配水管の分岐、改良工事を終え住民のなやみを解消することができました。本年度は、古くなった配水管の取りかえ工事をいそぐとともに、本町水道行政の最大の目標である企業局からの直接給配水方式からの脱皮、すなわち、本町独自の貯水タンクを設け、それから配水をしていく方式へ向けた調査研究を進めていきたいと思います。そして、むだな漏水に対し細心の注意をくばり、給水施設の充実に強化を努めてまいります。
3、教育環境の整備
義務教育施設を中心に教育環境を整える事業は、依然として、佐敷町における最大の課題といえるでしょう。そのため、毎年のように多くの町予算が投じられ、教育環境の整備充実に取り組んでまいりました。それは、とりもなおさず、児童生徒が自ら学び、創造する能力を培うなど、充実した学校生活の実現に努めることにあります。そして、それは激しく変動する社会情勢の中にあって、人間尊重の精神に基づき、逞しい人間、調和のとれた人間性と社会連帯の精神に富んだ民主的で実践力ある人間の育成という教育の目的を果さんがためのものでもあります。
この姿勢は教育基本法でうたう「教育の原理」につながり、また、この原理は、時代や状況によって変わることがあってはならないものです。教育行政は、この教育の原理、目的を遂行するために必要な条件の整備確立を目標に行なわなければなりません。
以上の視点にたって、私は教育環境の整備を進めてまいりました。
今後とも社会教育の振興、文化活動の充実、文化財の保護育成ともあわせ、さらに強力に推進していく考えであります。
新年度におきましては、まず、昨年来の佐敷小学校100周年記念事業の推進、新設開校いたしました馬天小学校の環境整備、各学校の備品及び図書の充実、児童生徒の生活指導の徹底等を中心に、行政、学校、家庭、地域が一体となった次代の担い手づくりを展開してまいります。
特に現在大きな社会問題となっている青少年の非行化、その他につきましては、学校との連絡体制を密にし、行政としてできうるかぎりの対策を講じたいと思います。
社会教育につきましては、これまでの各種の社会教育学級のますますの充実をはかり「生涯教育」という視点を基本に青少年、婦人、老人の社会教育諸団体の指導育成につとめてまいります。
また、昭和62年の沖縄国体において、本町では軟式野球の開催地として決定をみたことにともない、軟式野球の指導育成を進めます。そして、有形無形文化財の保護育成、『佐敷町史』の編纂事業も引き続きおし進めてまいります。
4、産業の振興
本町の主要な産業は農業であります。県内でも、復帰後農業の見直しがさけばれ、各地で農業への真剣な取り組みが見られるようになりました。その結果、本県農業も明るいきざしが見えてきました。
しかし、まだまだ多くの課題をかかえているのが実情です。それは、計画的な土地利用と総合的な環境整備、沖縄の自然条件、地域特性を最大限に生かした農業の推進をいかに図るかということに代表されるものと思います。
本町においても、地道ながら着実に所得を増やし、豊かな町づくりを図る施策のひとつとして、第1次産業ことに農業の振興に力をそそいでまいりました。特に今年度は、永年の婦人団体からの要望でありました「農村婦人の家」の建設を実現することができました。
この施設が完成すれば、婦人の共同学習、農産加工、料理講習、健康増進のためのトレーニングの場として充分活用されるものと期待しております。
現在の本町農業の大きな課題は、何といっても土地改良事業の推進にあります。はっきり申し上げまして、本町の土地改良事業は、他市町村より遅れております。この原因については、いろいろあることと思います。しかし、今大事なことは、これまで高率補助を受けて進められてきた本県の農業基盤整備が、わが国の経済の冷えこみにより、今後高率補助に対する風あたりが強くなるということが十分予想されるということです。したがいまして、現在すすめている津波古地区、計画中の浜崎地区土地改良事業を早急に進めなければなりません。特に浜崎地区は、本町耕地面積の3分の1を有するだけに、この事業の採択を急がなければなりません。私たちは、今、昭和59年採択に向けて準備を進めておりますが、本年度は万難を排して完備に努めたいと考えております。
農地保全事業は、現在継続事業として、津波古、兼久地区で農道排水事業が県直営、団体営として進められております。本年度は、 佐敷、手登根間の傾斜地でこの事業が新たに着手され、砂防ダムエ事が並行して進められます。また、浜崎川の俊深工事、新里地区農道整備事業などもはじめられます。
次に、造林事業は、昭和53年度の事業開始以来、着実にその成果をあげ、現在では43・36ヘクタール、7万本の一大デイゴ林になりつつあります。本年度も8ヘクタールの植林を予定しており、これまでの経験を生かして他の樹種の植林を検討したいと考えています。この造林事業もこれまでまったく行政べースで進めてきましたが、今後は地主、町民の関心をいかに得て、その協力、参加をあおぐかという課題への取り組みも必要な時期にきているのではないかと思います。
そのほか、さとうきび以外の作物、即ち、オクラ、サヤインゲン、花キなどの生産規模及び生産農家の拡大、生産技術の向上と共同出荷体制の強化を農協と連携のもとに進めてまいります。そして、地力回復を図るため堆きゅう肥の使用を奨励するとともに堆肥盤の設置や畜産農家の育成に努めていく方針であります。
水産業の振興につきましては、現在進行中の馬天港湾の整備、仲伊保船上げ場設置等基本施設の整備を推進し漁船の大型化、技術の革新、後継者の育成などを漁協と相協力して進め、地域性に立脚した水産業の確立に向けて一層の努力をはらいます。
商工業の振興につきましては、商工会のもと、会員がよく結束し自己研鐙に努力されているところでありますが、本年度におきましては、商工振興条例の制定を急ぎ、地域商業近代化対策事業への取り組みを開始し、小売、中小企業の育成に努めてまいります。同時に大型店舗進出に対する対応も図っていく所存であります。
また、体町全産業を網羅した「産業まつり」を開催し、相互研鐙の場を提供し、町民の地元産業への認識の高揚をはかってまいります。
おわりに
以上、昭和58年度の町政執行の基本方針と施策の大綱を申し上げてまいりましたが、本年度は冒頭に申し上げましたように、例年にない財政事情下にあります。
それだけに町政が直面する課題はきわめて多く、これらの問題解決に、町民の行政に期待するところは大なるものがあります。
こうした中にあって、私に与えられた責務は、財政の効率的運用を図り、最少の経費で最大の効果を上げるよう、限られた予算を最大に活用しで所期の目的を達成することにあると心得ています。そのためには、町役場内部の執行体制の拡充はもちろんのこと、議員各位をはじめ町民のみなさんの積極的な御協力が必要どなります。
どうか、議員各位におかれましては、予算案や関連議案を具体的かつ慎重な審議の上、速やかに議決をたまわりますようお願い申し上げるものであります。