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明日の農業を考える③ 堆肥を見直そう

堆肥の役割を大きく分けると次の2つがあります。
(1)作物に養分を与える。
(2)土壌をこやす(地力増進、土壌構造の改善)
ひとくちに堆肥といっても、(1)の肥料としての性格が強いものもあれば、(2)の土壌改良資材としての性格が強いものもあります。
性格の違いは、まず第一に堆肥の材料となる有機物のタイプによって変わります。有機物は微生物の働きによって分解されて、やがて腐植となるわけですが、その分解のスピードに差があるからです。
鶏フンとオガクズとを比べてみましょう。鶏フンは非常に早く分解されるので速効性の肥料としてよく役立ちます。これに対し、オガクズはなかなか分解されず、土の中にいれても長い間、もとの形のまま残っています。だから肥料としてはすぐには役立ちません。その代わり、たとえば土の通気をよくするなど、別のよさをもっています。
さて、分解されやすいかどうかは有機物に含まれるチッソの量によってきまるのです。鶏フンのようにチッソが多くてやわらかいものは分解されやすいし、オガクズのようにチッソが少なくて炭素が多くやや固い有機物は分解されにくいわけです。
このように、有機物は、

①鶏フンなど、チッソ含量が高くて微生物による分解が早いもの
②オガクズなど、チッソ含量が低くて分解が遅く、土の中に長く残るもの

このタイプに、大きく分けられます。
①をチッソ系の有機物といい、魚カスやダイズカス、ナタネ油力スなどがあります。
②はリグニン系といい、オガクズやバーク(樹皮)などが代表的なものです。リグニン(木質素)が多くチッソが少なく、微生物が分解するのに苦労します。
1年間そのまま放置してもなかなか腐れません。昔から、木材クズは肥料にならぬ、害があるといわれてきたとおりで、速効牲は期待できないし、ヘタに使えば害を起こします。充分発酵させることが大切です。
堆肥材料を生や未熟なまま施すと、これを分解しようとする微生物は逆に土壌中のチッソにまで手を出し自分の体をつくるので、作物は土中のチッソ欠乏から生育が悪くなるわけです。(農家の先輩方は昔から「生の人糞尿は土地がはぎゅん」と認識していた)
このように堆肥づくりは、あらかじめ堆積、発酵によって有機物を分解させてから施すことが必要となります。
(速成堆肥のつくリ方は図参照)
☆県南部農業改善普及所 ℡0988-89-3515

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大分類 テキスト
資料コード 008436
内容コード G000000491-0009
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第74号(1983年4月)
ページ 4
年代区分 1980年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1983/04/10
公開日