最近、「銀座の乞食は糖尿病」という言葉が流行している。これは、向上した食生活をいっているのであり、また、一面ではぜいたくを求める風潮、栄養過多を揶揄している言葉と考えられる。
日本人の食生活は、ひところと比べたら格段の差で向上したことは事実である。しかし、この向上を素直に喜んでよいものであろうか。
世界の人口は、40数億といわれ、その内5,6億人ほどが腹を満たしてはいない。8人に1人は、飢えに苦しんでいるのである。なかでも開発途上国における子どもの飢死者は、驚くほどの数字を示している。
現在、日本人は、やせる体操を庶民に至るまで行わなければならない状況という。世界の飢えの状況からして、このことは全く異常といっても過言ではないであろう。
日本食が、西欧では健康食としてもてはやされている。とはいってもこれは、一昔前の我々の食事のことである。一汁一菜とまではいわないが、質素な、内容を重んじた食生活、祖先が長い時間かけ培って来た食事を取りもどすべきであろう。
食生活に限らず、生活全般を見直す時期に、いま来ている。
ぜいたくを求める心はとどまるところを知らない。特に現在の私たち日本人には、そのことが強くいえる。
こうした風潮は、ますます人々をエゴスティックに仕立てていっている。今こそこの風潮にブレーキをかけなければならないであろう。豊かさにおぼれ、自身を亡ぼさないためにも、自己を省りみてみよう。世界的な視点を保ちつつ……。