今年のように雨の多い季節において、野菜栽培上気をつけてもらいたい要点を述べてみます。
本県の冬期は1~2月を中心に寡日照(曇り空)であり、降雨も多いので何よりも土壌水分の調整が問題です。すなわち、露地栽培よりもハウス栽培が土壌水分の調整が容易なことはいうまでもありませんが、高うね、ビニールマルチは両栽培にとって不可欠のものです。うねの高さはジャーガル土壌や地下水位の高いところで高くとり、30センチ以上が適当でしょう。
ハウス栽培している農家では、ハウス周辺の排水溝を深くとることが大切です。それから、摘葉した枯葉、病害果をうね溝に放置しているのをよく見かけます。これは推肥になると考えてのことでしょうが、むしろ病原菌の温床になるので、必ず外に出し、一カ所に集めて焼却埋土処理するようにしたいものです。
今年のように雨が多い中での着花(果)不良に対して、農家の方々は追肥の回数や量を多くすることがあります。この事は、益々悪循環にしていることが多いものです。特に一時的に寒暖が交互にあり、多雨で日照不足が続くと、着花不良が起こりやすいのです。それは個々の農家だけでなく全地域的に起こる現象だといえます。
沖縄は、過去の気象データから日照時間が少ないといわれ、高知県の1~2月の場合、10日間で60~70時間あるのに対し沖縄は30~40時間しかない。今月の場合など月の半分以上が雨という中で施肥回数を多くする事は、インゲンにとって、草姿が過繁茂の状能となり、チッ素ぼけを起こして落花(果)の原因となります。日照不足の上に暖冬が重なると同じ状態になり、従って、温度があって日照が足りない時に技術として大事なことは、土壌水分のコントロールという事になります。
雨が少ない時は低いうねでも野菜は十分とれるでしょうが、今年のように雨が多いとか少ないとかいうのは事前にわからないわけですから、はじめから高いうね立てをするのが常識でしょう。
それから、もう一つ大事なことはマルチをする事です。それによって土壌中の水分をなるべく多くさせない事ができるし、土が固くなる事や、雑草を防ぐ事が可能になります。
これから暖かくなり、サビ病の発生が目立つようになるので銅水和剤等で病害防除に努める事が栽培を長く続けるコツです。
これまで述べた事を整理すれば
(1)高うね、マルチは努めて行なう。
(2)降雨量、気温、日照時間等を考慮して、施肥量、カン水量を調整する。
(3)沖縄は冬場の日照時間が少ないので、過繁茂にならないよう、整技摘葉に注意する。
(4)雨が多くなり、病害発生が多くなるので、殺菌剤などで予防に努める。
南部農業改良普及所 (でんわ)89-3515 89-5741