2月1日から町主催の「栄養教室」が開かれています。県環境保健部、保健所の協力で、町民の栄養改善を推進する指導者を養成する目的の「教室」です。本紙記者が報告する側からされる側へ立場をかえての体験取材。
2月15日、この日は三回目、教室名は「食品衛生」。講師には衛生監視員でもある那覇保健所の金城永三氏。
冒頭で保健所利用の秘訣、保健所の存在意義にふれた後、すぐさま本題へ。指導者の養成が目的とされているだけあって講義も内容の濃いものです。
メインテーマは「食中毒」。これから夏季へ向かう沖縄、高温多湿の気侯の長く続くわが県にあって、このテーマはタイムリーでもあり、大きな関心を持てました。
食中毒の起こる季節、場所、その原因などが各データによって説明され、特に家庭で起こる件数が一番との報告には驚かずにはいられません。
原因となる食品や菌の説明に聞き入り、また、食中毒を発生させる菌の繁殖とそれを助ける様々の条件が上げられた時には、わが日常生活の徹底あらい直しをせまられているような気にすらなりました。「栄養教室」などというとスグ主婦という図式を考えてしまいますが、どっこい、性別、役割の問題ではないことを痛感させられたた場面でした。
例えば、手を洗うことによる菌の繁殖防止ひとつとっても、ひとり主婦の問題とはいえません。また、冷蔵庫の過信や食品選定のあり方なども、これまでの生活を十分反省させられるものでした。
家庭における食中毒発生の温床となるのは不衛生な台所であり、使用のたびに洗わない布巾やスポンジ、調理時以外にも付けられるエプロン、全ての食品に用いるまな板や包丁-等々、あげればきりがないようです。これらの解消改善にも家族の全面的な協力が必要なことはいうまでもありません。
このへんまで「教室」が進んでみると、婦人しか受講していないことに不思議な思いが……。
それにしても、いかに不注意、無関心が食中毒の発生を助長していることか。人間の手のヒラについている雑菌の多さを知らされてあらためて手を見つめ直し、そしてその雑菌も正しい手の洗い方ひとつでどうにでもなることも知らされました。
大学ノートに筆入れ、講師をみつめ、お互いうなずきつつ受講する記者以外のみなさんの、あの熱心さは生まれるべくして生まれたものとみえました。
「食中毒を防ぐために」の16ミリの映写も認識を新たにさせるものでした。