経済の冷えこみは各人が想像していたものよりも深刻な問題を含んでいるようである。世界的な不況ムードに加えて、現在わが国経済界をゆるがしている経済擦摩問題など、より一層の冷えこみが、各界各分野で予測されている▼こうした情勢下、現在いろいろな面で補助、助成策を受けているわが国農業は、一部有識者から「甘やかし過ぎ」という意見すら出ている。特に、第一次振計、第二次振計で高率補助、援助を受けているわが県にあっては、今後その風あたりが強くなることが予想される。農業基盤整備の遅れている沖縄県にとって、このことは由々しき問題を含んでいるといって過言ではない。今、現実に補助率の見直しが始められているのである。他市町村より、基盤整備の遅れがみられるわが佐敷町にあっては、今、大事な時期を迎えているといえる▼町が都市近郊に位置し、立地条件的にいって、その度合いを遅らせた、といういい方もできるが、今後の農業のあり方、生産性の問題を考えた場合、やはり早急な基盤整備が必要とされるのである。しかし、ここで注意したいのは、農家の、現場の意見を十分に反映させた事業の推進である。その上で農地としてのメリットを十二分に発揮できる生産性を考えた基盤整備にしなければならない▼世界的な食糧危機が叫ばれる昨今にあって、単に佐敷町だけの問題としてこれをとらえるのであってはならないであろう。
グローバルな視点と、地域、現場をしっかりとおさえた事業として推進していかなければならない。
▼子ども、孫たちがすすんで農業を受け継いでいける農業をめざして、農家、町当局一体となった農業基盤整備事業とすべきである。