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単独の練習ってキツイですね。 県短距離界の第一人者 山内淳子さん

光ってる。ほんとうに光っているようにみえる。表情になんともいえない光が感じられる。
成遂げた安堵感がそうさせるのか、それとも、もっともっと高い目標に向かおうとする意欲のあらわれなのか。
山内淳子さん(20)は佐敷町スポーツ界のスーパースター的存在だ。県陸上短距離界のホープであり、去年は、その期待に応える活躍を続けた。
島尻大会、100メートル走では圧倒的強さをみせて優勝。去る11月6日、7日の東京国立競技場で行なわれた全国大会ではみごと第2位。記録こそ13秒2とふるわなかったが、全国青年に佐敷町の名を知らせるに充分な活躍であった。そして県民大会100メートルでは、昨年のベスト12秒6の堂々の記録で優勝。
「練習っていっても、朝、4キロぐらい走っているだけなんですよ。それも体調がおかしいな、と思ったらスグ中止してしまいます。これでいいのかなあとも思っていますが」
なんと、記録の陰に人知れないキツイ練習がかくされているのかと思ったら、意外な答え。
が、山内さんの強さは、別のところにかくされている。それはスタート直前までの強烈なアップである。はたから見ればあんなに走り込んで、本番で大丈夫なのかしら、と思ってしまうほどのものなのだ。
本人自身、そのことを不思議に思っているという。普通レース直前は、神経が高ぶったりで心身ともに緊張し、それこそ筋肉をほぐす程度のアップですますわけだが、彼女は正反対、レース前は何ともなく、大いに汗をかかなければダメという。
彼女は、レース後に緊張感が来、〈何かたいへんな事をしてしまった〉という感じになってしまうとのことだ。
コーチもいなければ、キチッとした練習メニューも今のところない。それでいて、現在の力を発揮できるのであるから、強さはまだまだ隠されているのではなかろうか。彼女の持つ200メートル27秒3の中学新はまだ破られていない。
「1人でする練習というのはとても疲れるんです。クラブがあれば、正式な練習ももっとできるんでしょうが……」
今、某クラブからの誘いがあるという。しかし、彼女、地元のものでないからと辞退している。「もう記録的には伸びないでしょうね」とは、いうものの「クラブがあれば……」のことばに表れているように、今後にかける気持ちもチラリとみせる。
本年は、国体をめざしたいとひかえ目ながら語るが、光る表情からは、さらなる挑戦意欲が感じられる。沖縄国体には、フィルード競技で挑戦したいとさりげなくふれる彼女だが、けっこう現実的な響きが記者には感じられた。

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大分類 テキスト
資料コード 008435
内容コード G000000490-0004
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第72号(1983年1月)
ページ 2
年代区分 1980年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1983/01/01
公開日