昭和55年度からはじめ、本年58年度まで4年間にわたって、自分たちの住む集落を見直し創意工夫をもって豊かな村づくりをめざす「村づくり事業」が、佐敷町手登根と仲伊保集落をモデル地区として実施されています。
いま、なぜ「村づくり」なのかと疑問に思う方がいるかもしれません。これは、次のようなことから想起され、はじめられたことなのです。
80年代は、日本農業、地域農業の変革期に入ったといえます。
このことは、現在なお続いている様々な農業に関する国内、国際的な変動をみれば、すぐうなずけることです。
例えば、いま最も農家をその筆頭に関心事となっている農産物のわが国の輸入枠の問題などがそうです。
わが国の農業の直面している数多くの問題は、これまでの農業の体質を根本から考え直さざるを得ないものばかりといえます。外国からは、農産物の輸入攻勢、国内においては、補助金等のさく減、農産物価格の低迷、過剰生産と一方では自給率の低下、どれをとっても必ず解決しなければならない問題であり、また、難問といえるでしょう。
そして今日の農村社会は、交通状態の変化、進歩、そして情報化社会の影響を受け、都市化傾向をいっそう強めており、農業や農村としての生活がやりにくくなっています。農家の減少、若年労働力の他産業への流出、農業従事者の老齢化・婦女子化と、その影響は大きく、農業生産が根本からゆさぶられているといえます。
そこでいま、農業のたて直し、農村の今後を考えるには、地域の実態をつかみ、優れた農業の担い手を育成するというひとつの結論に達するのです。そこで出てきたのが「村づくり」なのです。
地域で発生している様々な問題をとらえ、検討し解決し、農業の発展、豊かな村づくりを進めるために、集落における自主的な活動を促し、集落の組織機能を活性化することが必要なのです。農業や生活に共通する問題を見つけ出し現状認識した上で課題を定め、その解決のために皆の力を結集し、共同行動に発展させていくことが大切です。
普及所では、役場、農業委員会、農協、各集落リーダーなど関係機関、団体と一緒になって、集落の自主的な創意工夫に基づく「村づくり」ができるよう指導、援助をしています。
県南部農業改良普及所 電話0988(89)3515