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医療費はみんなの血税大切に おとしよりの医療費は老人保健制度で 58年2月1日より実施

老人保健法の成立にともない、昭和58年2月1日より、70歳以上(65歳以上の寝たきり老人を含む)のおとしよりの医療は、すべて新しい制度のもとに運営されることになります。
いままで、おとしよりは国民健康保険に加入し、国民健康保険制度の医療を受けていたわけですがこれからは、国民健康保険から老人保健法による医療の適用を受けることになります。
いままで70歳以上の老人医療費は無料でしたが、これからの老人保健制度では、外来受診の場合は一カ月につき400円を、入院の場合は一日につき300円を二カ月間支払うことになります。
しかし、老人保健法が成立したからといって、国民健康保険からまったく離れたということではありません。そもそもの老人保健法のねらいは、おとしよりの増加によって、国民健康保険が財政難におちいってきていることから、それを救うために、国民健康保険から切り離して別建てにして、医療に関してはすべて、老人保健法を適用することにしたのです。そのため、国保財政だけにしわよせられていた医療費を、ほかの健康保険組合からも拠出金を出し合い、これに当てることになりました。
健康なおとしよりが増えるだけなら、社会にとってすばらしいことですが、何らかの病気をかかえたおとしよりが少なくないのも事実です。したがって、四十歳以上になったら、積極的に自己の健康づくりを心掛けることが必要ですそうした意味で、国民健康保険は今後、病気の予防という側面から老人保健をささえていくことになるわけです。

健康手帳の交付
老人保健制度の医療は、現在の医療保険をあつかっているすべての医療機関や薬局でうけられます。
老人が保険医療機関で受診する場合これまでは医療保険の被保険者証と老人医療費受給者証とを提出しなければならなかったのですが、これからは、新しく交付される「健康手帳」と被保険者証を医療機関の受付窓口に提示し、一部負担金を支払えば診療を受けることができます。
ただし、次のような場合には、かかった医療費を一時払い、あとで町へ、その費用を請求すると、その必要ありと認めた場合に限り払いもどしを受けることができます。
①緊急やむをえない状況で、近くに保険の医療機関がなかったなどの理由で、保険医の診療が受けられなかった場合の医療費
②旅行中などの急病で、保健手帳を持っていなかったり、保険の医療機関で診療を受けられなかった場合の医療費
③骨折、脱臼などのけがで、柔道整復師の施術を受けたとき。また治療上医師があんま、マッサージ、はり、灸などの治療の必要を認めた場合の費用。
④治療上必要なコルセットなどの治療用具を購入した場合の費用。
⑤基準看護力ない医療機関へ入院していて、重症で付き添い看護を頼んだ場合の付き添い看護料。(ただし、事前に申請して認められたものに限ります)

健康手帳は70歳(65歳の寝たきり老人)以上の人に町から交付され、医療機関で診療を受けるとき、老人保健で治療が受けられることを証明する資格証明書です。
また、老後の健康状態を記録し適切な診療をめざすための健康診査の結果の記録、および健康の保持と増進をめざした記事がもりこまれています。老後も健やかに過ごすための自己管理手帳です。

保健事業のいろいろ
老人保健制度では、40歳以上の住民を対象に保健事業が行なわれます。健康に老後をすごすためには、壮年期から病気の予防を心がけ、健康管理に気を配らなければならないからです。
そのための、健康づくりのための様々の啓蒙や検診、相談事業が行われます。
①健康手帳の交付
健康診査の受診者に健康手帳が交付され、日常の健康づくりと健康管理をはかろうとするものです。
②健康教育、健康相談が行なわれます。
健康の大切さについての自覚を高め、正しい知識を広めるために健康教育健康相談が実施されます。
③年一回の健康診査
④機能訓練が行われます。
脳卒中などの後遺症で、からだの不自由な人に対しての機能訓練
⑤訪問指導が行なわれます。
在宅で寝たきりの人などに対して、保健婦などによる訪問指導が行なわれます。

高額療養費 自己負担引き上げ 58年1月より、5万1千円に
高額療養費の自己負担の限度額が9月1日から引き上げられました。今まで、私たちがお医者さんにかかったとき、医療費の自己負担分として、1人1カ月(1つの病院、診療所)に3万9千円以上を支払った場合は、3万9千円を超えた分は全額、国民健康保険から払いもどされることになっていました。9月1日から、この自己の限度額が4万5千円に引き上げられました。さらに、58年1月負担分1日よりは、5万1千円に引き上げられます。
つまり、これまで、医療費の自己負担は、最高1カ月3万9千円ですんでいたものが、これからは4万5千円、58年の1月1日よりは5万1千円になるわけです。
ただし、低所得者(住民税非課税世帯)と70歳以上の老人については現行通り3万9千円にすえ置かれます。自己負担分の計算は次のような基準になります。(58年1月1日からの5万1千円控除を例として)
①暦月ごとの計算
 月の1日から月末までの受診について一カ月として計算します。
 月をまたがって入院した場合で最初の月の医療費の自己負担金の額が3万円翌月が3万円「合計六万円を自己負担した場合でも、一日から月未までの計算ですから高額療養費は支給されません。
②病院・診療所ごとに計算
 たとえば、甲の病院と乙の病院へ同時にかかっていて、自己負担分として、甲の病院へ10万円乙の病院へ6万円を支払った場合は甲の病院の分については、5万1千円控除した4万9千円、乙の病院分については同様に、9千円の高額療養費が支給されます。ただし合算はできません。
③入院と通院
ひとつの病院、診療所でも入院と通院は別に扱い合算しません。

保険税の税率改正 上昇し続ける医療費対策
保険税をきめる場合は、まずその年の医療費がどのくらいかを予測し、その中から国が負担する分(医療費の約45%)と患者が、病院で支払う負担分(30%)除いたもの(医療費の約25%)を保険税として各世帯に割り当てることになります。
本年度の佐敷町の医療費の推計は、図1の通り、3億7千万円としました。その中の約1億1千万円は病院へ行く人の患者負担になります。それらを差し引いた残りの約9千2百万円が保険税となり各世帯の被保険者に負担してもらいます。(図2参照)
本年度の課税基準額、いわゆる所得額、資産割額等が表1にありますが、それをもちいて、税率を措えおいたままで保険税を算出しますと(表1参照)約8千百万円の保険税しか確保できず国保はパンクします。
それをさけるために、やむえない措置として表2のとおり税率を改正しました。改正後の税率で計算したら9千3百万円の保険税が確保でき(表1参照)、国保財政は赤字にならなくてすみます。
被保険者のみなさんのご理解をお願いします。

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大分類 テキスト
資料コード 008435
内容コード G000000489-0019
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第71号(1982年12月)
ページ 4
年代区分 1980年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1982/12/18
公開日