なんじょうデジタルアーカイブ Nanjo Digital Archives

佐敷金杜

今年は国民にとって長い冬の到来の感がした。景気は低迷国家公務員のべースアップも見送られる公算が大きくなった。厳しい措置である。今日まで毎年ベアはあったし、当然に今年もそれを期待し、生活設計を建てて来たからである▼なぜ、公務員のベアを凍結しなければならないかという疑問が出てくるが、それは国の財政事情が最悪の事態に直面しているからである▼48年の石油ショック以来企業の経営状態が悪化し、国税の収入が著しく減少するなかで、景気浮揚策として国債を発行し、公共投資を行なって来た結果が、巨額の借金を抱えることになったのである。そこで、今全国的に吹き荒れている行政改革と財政再建の掌に当る公務員が卒先して協力すべきであるという訳である。政府は、すでにこの目的を達成するために、福祉、義務教育費の一部を国民に負担させる計画を進めている。この傾向は今後一層強化されるであろう▼高度経済成長期において、地方公共団体は、急増する税収でもって住民福祉のためあたらしいユニークな施策を展開して来た。従前は国が国民のために福祉施策を定め、県市町村が実施して行く、即ち政府主導型の福祉行政であった。しかしこの時期になると地方公共団体が自から新しい施策を打ち出し、国が追認し全国的なものにして行った。こういう施策を「福祉のばらまき」とか「福祉の行き過ぎ」と批評されたが、うらやましい時代であった▼今後も低迷を続けるであろう日本経済のなかにあっても行政に対する住民要求は増大するであろうが、限られた財源の枠で住民は施策の撰択、一部負担と受忍を余儀なくされることでしょう。

ダウンロード
大分類 テキスト
資料コード 008435
内容コード G000000489-0007
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第71号(1982年12月)
ページ 1
年代区分 1980年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1982/12/18
公開日