なんじょうデジタルアーカイブ Nanjo Digital Archives

豊かなむらづくりのために 農用地高度利用促進事業を推進

町の農業を担っていく人を育成 農地流動化奨励金を交付 遊休農地の有効利用へ

最近では、後継者がいないため不作付け農地や、耕作放棄地が増大し、せっかくの農地が有効に利用されていないという状況がよく見受けられます。他方では、今後とも農業を続けたいという意欲ある農業者も多く、なんとか農業で自立しようと規模拡大を求めています。農用地高度利用促進事業は、農業委員等が農地流動化推進員となって、耕作規模を縮小する農家等に利用権設定等、促進事業により安心して農地を貸し出すことができるよう相談を行い、3年以上の利用権を設定した貸し手農家に対して、農地流動化奨励金を交付するなど、町の農業を真に担っていく者の育成に結びつく、農地の高度利用を促進していこうとするものです。

内容と進め方
国は、昭和54年度から農業委員などが農地流動化推進委員となって掘り起こす農地について、奨励金を貸し手に交付する農用地高度利用促進事業を発足させました。
これは、地域農政特別対策事業を拡充して実施するもので、事業実施期間は継続して5年間です。
この事業は、農地流動化推進委員が利用権設定促進事業や、あっせんなどによる農地の貸し借りなどを掘り起こしていく
「農用地高度利用促進活動事業」
それにより農地を貸した者に対して奨励金が支払われる
「農地流動化奨励金交付事業」
農用地等の流動化対策を一体的に企画・推進する
「農地銀行活動事業」
からなります。

この事業の対象となる市町村は、地域農政特別対策事業の推進活動(むらづくり活動)を実施したか、或は実施していること、それにより農用地の流動化を推進する体制が整っていること、また5年間の事業実施期間中に相当程度の農地が流動化する見込があることとされています。

農地流動化推進員の役割り
市町村長は、集落や地区の農地事情に明るく地域の農家の信用が高く農家に対する突込んだ相談活動もでき、農家の間を活発に動き廻れるような人を農業委員の中から選んで、農業委昌会の意見を聞いた上で推進員として任命します。
推進員は、「農地流動化推進員」の名刺や「農地相談員」の看板を掲げて地元農業者に農地の相談活動を通して流動化の窓ロを開きます。さらに流動化情報の収集交換などによって、どの農家が農地を貸してくれそうであるか見当をつけて、貸してもよいという農家の意見を確認して利用権設定等促進事業やあっせんなどに対する申し出を受けます。
農地を貸したい場合や借りたい場合、自分の地区の推進員に積極的にその意向を伝えていくことが肝心です。
なお、農地を貸したい、売りたいなどの場合に経営移譲年金、相続や贈与に伴なう納税猶予等にかかわってくるものが少なくありませんから事前に必ず推進員に相談するようにして下さい。

安心できる貸し借り
次に貸し手の申し出に対して借り受けの相手を見いだし結びつけます。借り受けの相手が、地域農業の立派な担い手として将来を嘱望されている農業者であるべきことはいうまでもありませんが、農業委員会では、農家総合コンサルタント事業、農地移動適正化あっせん事業の中で、規模拡大を求める農家の申し出や農家基本台帳、あっせん基準等によって中核的担い手農家や譲受け候補者を明確にし台帳を作成しているはずですから、農地を借りたい農家はその台帳に記載されていることが大切でしょう。
推進員は、以上による貸し手と借り手について規模拡大や団地化当事者の信頼関係などを考えて両者の調整を行い、その結果を農業委員会に報告します。
町域の狭い佐敷町。土地の有効利用は進んでいるように見えるが、それでも遊休農地は各所に点在する。この遊休農地は野そ、病害虫の巣となる。農業の振興を図るためには、まず遊休農地をなくすことが先決であろう。

促進事業等で賃借権の役定を
農業委員会に上ってきた貸し借りの申し出について、その希望する内容によって、例えば3年とか6前等中期の賃貸借によるものは「農用地利用増進事業」にのせ、10年以上の定期賃貸借によるものは「農地移動適正化あっせん事業」に乗せる等それぞれの農地流動化方策に乗せていく借置を事業実施機関のもとで行います。
掘り起こし活動などを通じて賃借権が設定されますと流動化奨励金が交付されることになります。
この農用地高度利用促進事業をただそれだけで終らせることなく地域農政整備事業はもちろん、土地改良事業による基盤整備や新農業構造改善事業の集団的実施、むらの環境整備等の事業にも結びつけて”むらづくり”をより拡充、発展させていこうと関係者の意気込みは大きいものがあります。

奨励金の交付手続
奨励金の交付には、まず貸し手農家から市町村長あてに、所定の用紙による申請書が提出されます。これにより農業委員会が、奨励金の申請にかかる貸し借りが利用権設定等促進事業、あっせんなどの適格な流動化施策によったものかどうか、農用地利用増進計画やあっせん調書、公社や農協への照会などによって審査・確認をします。市町村はこの審査にもとづき奨励金を交付します。なお、農業生産法人の構成員がその法人に貸した場合や同一世帯の貸し借りは、交付対象になりません。

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大分類 テキスト
資料コード 008435
内容コード G000000488-0008
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第70号(1982年9月)
ページ 4
年代区分 1980年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1982/09/15
公開日