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暮らしの中の法律相談 責任の重さが違う 単純保証人と連帯保証人 

友人の保証人になったら、後日、貸主から弁済の請求をされた…

〈問〉「T氏から100万円を借りることになった。迷惑はかけないから保証人になって欲しい」と友人のS氏に頼まれ、引き受けました。ところが「約束の期限がすぎてもS氏から何の連絡もない。保証人であるあなたが代わりに支払ってもらいたい」と言ってきました。驚いたS氏に問い合わせても居留守を使うばかり。どうしていいか分からず、困っているのですが……
〈答〉「ちょっとした法律知識があれば泣かずにすんだのに…」という声をよく耳にします。私たちは、とかく法律と聞いただけで、なにか難しくて分かりにくいもの、ふだんの生活にはあまり縁のないものであるかのように思いがちですが、決してそんなことはありません。
法律は、私たちが社会生活を秩序正しく営んでいくためになくてはならないものであると同時に、安全で幸せな暮らしをしていくための“後ろ盾”でもあるのです。“イザ”というときに困らないためにも、日ごろから法に親しむ気持ちを大切にしたいものです。
さて、ご質問の場合も、「保証人についてのちょとした知識があれば、悩まなくてすんだケースといえます。
そこで、民法では保証人についてどのように定めているかをみてみましょう。
まず、保証人とは、借主である主たる債務者が弁済をしなかった場合は代わって弁済する責任を負う人のことをいいます(民法446条)。この保証人には、単純保証人と連帯保証人とがあり、単純保証人の場合には「催告・検索の抗弁権」が認められませんので、あなたがどちらの保証人であるかを確認してください。
催告の抗弁権とは、保証人が貸主から弁済してほしいと言われたときは、まず、借主に請求するよう求めることができる権利です(民法452条)。
また、検索の抗弁権とは、借主に弁済する財産があり、その強制執行が容易であることを保証人が証明したときは、貸主は借主の財産について強制執行しなければならないというものです(民法453条)。
つまり、あなたが単純保証人である場合には、貸主のT氏に対して次のように言うことができます。すなわち、「まず、借主であるS氏に請求しなさい。それでもS氏が返済しない場合は、彼は一軒の家屋を所有しているくらいだから弁済能力は十分です。家屋でも差し押えれば、貸金は回収できるはずです」と。
これに対して、T氏はS氏の財産に対して強制執行しなくてはならず、あなたにそれ以上弁済の請求をすることはできなくなります。
次に、あなたが連帯保証人である場合には、借主のS氏と連帯して保証することを約束したことになるため以上のような二つの抗弁権はありません(民法454条)。
いずれの場合にせよ、金銭貸借をめぐるトラブルは、めんどうなものですから、友人・知人だからといって安易に保証人になることは慎むことが肝心です。

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大分類 テキスト
資料コード 008435
内容コード G000000483-0017
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第66号(1981年12月)
ページ 4
年代区分 1980年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1981/12/05
公開日