花のブラジル街道とボリビヤ街道 熱帯花キの楽園に
沖縄県公害衛生研究所長 吉田 朝啓
佐敷町では、心豊かなふるさとづくり運動を推進しています。昭和55年12月各団体を網羅した推進協議会が発足、以来クリーン・グリーン・グレイシャス運動を展開してきました。
この運動は、安全と清潔、緑と花、いたわりと寛容を内容としています。クリーン運動では、清掃、ねずみ、害虫の駆除、ハブ対策、健康づくり、グリーン運動では、緑と花いっぱい運動、グレイシャス運動では、子供、母親、老人、心身障害者に愛の手をさしのべる運動を推進していくこととしています。推進協議会では、4月28日、29日の両日、老人福祉センターで、「わが町は花とみどりと思いやり」をシンボルテーマに掲げ、推進大会を開きました。この大会で確認されたことは、「心豊かなふるさとづくりは、とてもひとりではできない。したがって地域でみんなで連携を密にしながら展開しよう。」ということでした。そこで今回は、沖縄県公害衛生研究所の吉田朝啓所長に登場していただいて主にグリーン運動の面で提言をしてもらいました。
はじめに
専門以外のことで恐縮ですが、佐敷町の発展を願って3つの提言をしたいと思います。
その3つとも花に関することで佐敷町の”心豊かなふるさとづくり”に直結することなのですが、さらにその延長線上には、私の専門とするハブ対策の事業が見えかくれにチラチラするものですから、他人ごとのようには思えません。
ブラジル街道
国体主会場となる沖縄市泡瀬から北中城村、中城村、西原町、与那原町を経て佐敷町に至る太平洋岸国道329号線に沿って、ブラジルの国花イッペー(Tabebuia,Crysotricha 等)を大量に植裁して、この街道を”ブラジル街道”と命名する。
心豊かなふるさとづくり推進大会で熱心に講演をされる吉田朝啓先生
植栽方法
可能な限り国道、県道、市町村道の植栽桝に所定の方法で(別図①参照)植栽するが、国道の両側の集落内にも大量のイッペーを植栽することが望ましい。結果として、中城城跡から眺めた場合、国道沿線が巾広い帯となって鮮やかな黄金色に輝くようにする。
このブラジル街道の南の起点を佐敷町の東端(知念村との境界)に設け、仲伊保部落の内外には、おびただしい量のイッペーとブラジル原産の花木、果樹を植栽する。
ボリビア街道
同様の趣旨で、佐敷町から知念村、玉城村、具志頭村、糸満市、豊見城村を結ぶ南部一周線を”ボリビア街道”と命名して、ボリビアの名花トポロチ(Chorisia Speciosa 等)を大量に植栽する。
植栽方法
可能な限り国道沿線の植栽桝に所定の方法(前出図参照)で植えるが、道路から遠望ごれる原野、斜面などに大量に植栽することによって桜にも負けない花の名所を実現することができる。幹の直経が1メートルにも達する直立高木となるから、広い屋敷、公民館広場、校庭などにすすめられる。
このボリビア街道は、佐敷町の西端(与那原町との境界)に設け津波古部落の内外には、特に大量のトボロチとボリビア原産の花木(タヒーボ Tabebuia avellaneda 等)を植栽する。
以上2つの街道は、佐敷町で重複するため、春のイッペーと秋のトボロチが町内を走る国道沿線に眺められることになる。
キ園芸のドライブコース
極東一のフラワーショウ 地域産業・観光振興・CGG運動に刺激
ドライブコース
国道沿線にある8つの集落が、それぞれ特有の花卉を選定して、その苗木を大量に生産し、沿道の特設展示即売場で、マイカー族、観光客、日曜園芸家に販売する。
(別図②参照)
その前提として、各集落内の道路に面したブロックの塀、石垣、フェンス、壁または屋敷の庭、空地には、特有の花卉、つる草を育てて美しい見本となるように心がける。
方法
例えば、字佐敷の国道沿いの住民の協力を得て、沖縄にすべて導入されているブーゲンビレアの全品種(10種以上)を植栽し、それぞれを道路に面した壁に開花させて見本を展示することとし、その苗木を背後地(集落内畑地)で大量に生産して道路脇の特設売店に出荷する。
花卉、つる草の種類としては、ハイビスカス、プーゲンビレア、ニトベカズラ、ベンガルヤハズカズラ、ニンニクカズラ、ノウゼンカズラ、ムラサキノウゼン、オオバナアリアケカズラ、クロトン、サンダンカなど小潅木やつる性植物の外に中高木の花木及び熱帯果樹も含めて多数あり、各集落が合議により決定する。
これによって、町内の考える農業を志している青年達に先進的な役割を与え、集落内の老幼婦女子も参加できる花卉園芸の地域産業が興隆し、同時に観光振興とCCG運動への強力な刺激とすることができる。
フラワーショウ
佐敷町は、那覇市と沖縄市からそれぞれ1時間以内の近距離にある。そして、沖縄本島中部と南部を太平洋側で連結する要所にある。
町内には長大な丘陵地帯と平担な農耕地帯がある。
さらに埋立による新開地には、諸特催物が開催できる広大な公共広場が設けられている。
このよき地の利を活かした一大イベントとしてのフラワーショウを県全体を網羅して是非開催したい。
図② 花づくりのコミュニティ 沿道の民家で花の見本を見せ、後背地の畑で苗を育て特設売店で花木を販売する。
開催要領
毎年春秋の2回、町内の”ふるさとづくりの日”に合わせて、花卉、花木の展示即売および写真展な開催し、実積を積み上げながら町内の園芸産業を鼓舞し、第1次5カ年計画の最終年の5月に県全体を綱羅する一大フラワーショウを開催する。
展示即売は、苗木、園芸用品、肥料等とし、苗木の種類は、温帯亜熱帯、熱帯の草花、花木、つる草、観葉植物、果樹など導入種を中心にして、県内に自生する在来の花卉も多量に展示する。