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特集 気をつけたい訪問販売・通信販売 どうしても必要ならよく確めてから

はじめに
最近、商品の販売方法の多様化には著しいものがあります。商品の販売方法として最も典型的なものは、いわゆる店頭販売といわれるものですが、これは販売業者の店舗において、販売業者と購入者が直接対面して販売行為を行なうものです。
しかし、昭和40年代における経済、社会の高度成長期における旺盛な消費需要の高まりと交通手段と情報伝達手段の発達を背景として、以前から行なわれている典型的店頭販売の枠を乗り越えた販売方法の多様化が積極的に行なわれるようになりました。
1つは、販売業者の店舗における販売という枠を破る「訪問販売」、もうひとつは、販売業者と購入者が直接対面して行なう販売という枠を乗り越えた「通信販売」の活発化です。また、これ以外にも自己増殖的な特異な組織による販売を行なう「連鎖販売取引(マルチ商法)」も出現しています。
しかし、このような販売方法の急速な多様化に対して、一般消費者が十分に対応できないためトラブルの発生が跡をたちません。
そこで、消費者は、これら多様化する販売方法について、必要な知識を十分に身につけ、生活向上のため、これらを有効に活用することが大切になります。
そこで、広報さしきでは、これらの販売方法の現状と、それを規制している「訪問販売等に関する法律」を分かりやすく紹介してみました。

現状と問題点
多いトラブル 返品アフターサービスが困難

訪問販売
訪問販売は販売業者の販売活動の場所的な拡大と考えることができます。訪問販売は、典型的な家庭訪問販売だけでなく、職場や路上などで行なわれる販売活動も含まれます。このように訪問販売は極めて広い概念ですので、その実態は、必ずしも明らかではありません。しかし、ここ数年来、着実な成長を続けていることは確かでこの傾向は、今後も続くものと思われます。
通産省が行なった調査によるとセールスマンの訪問を受けたことがある人は、回答者の90%にも達しており、また全体の50%の人は訪問販売を利用したことがあると答えています。
訪問販売で売られている商品はミシン、編機、書籍、化粧品、繊維製品、音響機器、家電製品、衛生用品、楽器など広範多岐にわたっておりますが、実際に購入されている商品は、ミシン、編機(23%)、書籍類(19%)、化粧品類(19%)、化粧品類(11%)などが主要なものです。
訪問販売により不満、トラブルを経験した人は、利用者の約30%の人です。その内容は
▼セールスマンの勧誘方法が強引あるいは詐欺的であった。
▼セールスマンの説明が不十分であったため購入商品がイメージと違った。
▼販売条件が不明確であったため違約金などをめぐりトラブルを生じた。
▼販売業者の責任追求が困難であった。
などに集約することができます。

通信販売
通信販売は、販売業者と購入者が対面して行なう販売から、非対面方式による販売への変化として考えることができます。
この販売方法は、各種情報伝達手段を用いて消費者に対するPRを行ない、消費者から通信手段による購入の申し込みを受けて商品の販売をするものです。
通信販売の実態も、訪問販売と同様に必ずしも明らかではありませんが、推計によれば、売上げは昭和49年で1800億円にも達しているといわれています。その伸びは著しいものがあり、今後ともかなりの成長が見込まれています。
先述した調査によると、通信販売の利用経験者は、全体の34%で、利用者がその情報を入手した主な広告媒体としては、雑誌広告(33%)、 ダイレクトメール(31%)、新聞広告(17%)となっています。
通信販売では、かなり多種類の商品が売られていますが、実際に通信販売で購入した商品としては衣料品(14%)、書籍類(14%)が多く、レコード類(9%)寝具、敷物類(9%)がこれに次いでいます。
通信販売により不満、トラブルを経験した人は、利用者の約20%の人です。
その内容は
○広告中の商品説明が不十分なため、自分が望まない商品を購入してしまった。
○販売条件が不明確であったため後から送料、返品の条件などに関してトラブルを生じた。
○商品が届かない、あるいは商品の到着が著しく遅延した。
○アフターサービスが不十分であった。
 などです。

ネガティブオプション
ネガティブオプションというのは、注文もしていないのに、一方的に商品を送りつけ、それに対して購入をしない旨の明確な通知や商品を返送しない限り、勝手に購入の意志ありと見なして、代金の請求をするという商法です。
一見、通信販売に類似した販売方法ですが、商品を送り付けられた人は承諾しない限り何ら義務を負うものではありません。一定の行動をとらない限り、消費者が負担を被るかのごとき誤解を与え消費者にとって迷惑千万な悪性の強い商法であるといえます。

SF商法
「○○公民館で、本日○時から日曜雑貨の無料配布を行ないます。奥さん、おじいさん、おばあさん、大きな袋をもってすぐお集まり下さい」と部落内を放送してまわっているのを聞かれたことがあると思います。
何ごとだろうと会場に集まった人たちに、巧みな話術で低額商品を無料で配ったり売ったりしながら会場を興奮状態にしておき、高額商品を売りつける方法です。
これがいわゆるSF商法(催眠商法)といわれるものです。
この場合、異状な雰囲気にのまれて衝動買いに走りやすく正常な判断力を失った状態で買うため、あとで後悔する人が多く品質や価格についてトラブルが生じます。
また会場が一定ではないため業者の住所も不明で、返品やアフターサービスも困難です。今日、津波古でやったので翌日は小谷でやっているというわけではありません。たいていは、どこか遠いところでやるといった具合です。そしてほとぼりがさめたころまたやってきます。
彼らの話術は実に巧みです。したがって普通の人ならすぐ買う気になるということです。
安価な商品でも、無料で配ることにはまず疑問を持ちましょう。
この場合、まずは会場にいかないこと、どうしても必要なら、ちゃんとした店舗へ行っていろいろ確めてから買うのが賢明です。

どのような点に注意したらよいのでしょうか
代金の支払は慎重に! 解約できる期間は4日
利用したいクーリング・オフ規定

訪問販売に対する規制
「訪問販売等に関する法律」は訪問販売や通信販売などに対する規制を次のように定めています。
▽訪問販売に対する規制
販売業者は、訪問販売を行なうときは、まず販売業者の氏名、販売しようとする商品の種類を明らかにしなければなりません。
また、販売業者は、現金販売の場合を除き、店舗や店舗とみなされる場所以外で、消費者から契約の申し込みを受けたとき、あるいは契約を締結したときは、次の内容を書いた書面を消費者に渡さなければなりません。
▽販売価格
▽代金の支払い時期と方法
▽商品の引き渡し時期
▽申し込みを受けた(契約を締結した)年月日
▽商品名、商標または製造者名、型式または種類と数量
▽商品に隠れた欠かんがある場合に、販売業者の責任についての定めがあるときはその内容
▽契約の解除に関する定めがあるときは、その内容
▽その他、特約があるときは、その内容
 その他、消費者に対する注意事項として、書面をよく読むべき旨を、赤枠の中に赤字で記載することになっています。
 現地販売の場合は、家庭訪問販売についてのみ、次の内容を記載した簡単な書面を消費者に渡さなければなりません。
▽販売価格
▽販売業者の名前と住所
▽販売目の氏名
▽販売年月日
▽販売商品と数量

クーリングオフ規定
訪問販売に際し、セールスマンのうまい言葉に左右されて、消費者がうっかり申し込んだり、契約をしてしまったりして生ずるトラブルを防止するため、消費者は販売業者に対して、契約の申し込みをした日、あるいは、契約をした日を含めて、4日以内であれば、書面によって申し込みの徹回や契約の解除をすることができます。
これをクーリング・オフ規定といっています。
いわゆる頭を冷やし、冷静に考える期間です。
消費者は、この期間内に、契約内容などを令静に検討し、この制度を有効に利用することが必要です。この場合、申し込みの徹回などを行なっても、損害賠償とか違約金を支払う必要はありません。
また、販売業者に頭金などを支払っている場合は、その金額を返えしてもらうとともに、商品を受取っている場合は、販売業者の負担によって、その商品を引き取ってもらうことができます。
ただし、乗用車はこのクーリング・オフの規定は適用されません。また、使うと商品価値がほとんどなくなる防虫剤などの商品は、使ってしまうとクーリング・オフを行なうことはできません。

通信販売に対する規制
▽通信販売に対する規制
通信販売は、隔地者間の取り引きなので、消費者にとって広告は唯一の情報です。そのため広告の記載が不十分であったり不明確だと後日トラブルを生ずることになりますので広告に表示する事項も定めています。
▽販売価格、代金の支払時期と方法、商品の引き渡しの時期
▽販売業者の名前と住所
▽申し込みに有効期限があるときは、その期限
▽販売価格、送料以外に購入者が負担すべき金銭があるときは、 その内容などです。

利用する場合の注意
この「訪問販売等に関する法律」が適用される訪問販売は、家庭訪問や路上販売など、店舗や常設展示場など店舗とみなされる場所以外の場所で行なわれる販売です。
いわゆるSF商法(催眠商法)であっても、店舗とみなされる場所で行なわれた場合は、この法律が適用されませんので、注意が肝要です。
現金購入以外の場合は、購入の際、販売業者から販売条件などを記載した書面を渡されますのでよく読んで下さい。
現地購入の場合でも、家庭訪問販売については、販売業者の名前などを記載した簡単な書面を渡されます。この書面は、後に問題があった場合に、販売業者の責任追求などに役立ちますので保存しておきましょう。
・クーリング・オフ期間は、書面を渡された日を含めて4日間です。この間に解約するかどうか確めて下さい。
クーリング・オフを行ないたいときは、書面(内容証明つき郵便にすることが確実です)で販売業者にその旨通知して下さい。発当の日が4日以内であれば有効です。
クーリング・オフ期間を経過ぎると、一たん契約した以上解約は難しくなります。販売業者が解約に応じても、損害賠償や違約金を支払わなければなりません。
現金購入の場合は、クーリング・オフができませんので、お金の支払いは慎重に行なうことが必要です。
その商品を一度でも使うと、クーリング・オフができなくなる商品がありますので注意して下さい。これに該当する商品は、前述の書面に記載されているはずです。

広告をよくみて申し込みを
通信販売広告には、この法律で消費者が必要とする販売条件など一定の情報を表示しなければならないことになっています。広告をよく見て申し込んで下さい。
通信販売は、広告を唯一の情報として商品を購入することになりますから、商品が実際に送られてきたときに、広告で得た商品のイメージと異ることも考えられます。この法律では、広告に表示すべき販売条件の1つとして返品特約をあげていますから、返品できるかどうかよく確めてから申し込んで下さい。

ネガティブ・オプション
勝手に送られてきた商品の代金は支払う必要はありません。
返送する必要もありません。適当な場所に保管しておきましょう。
3カ月(販売業者に引き取りの請求をした場合には、その日から1カ月)経過すれば自由に処分できます。この商品は使わないで下さい。使うと承諾とみなされ、代金を支払わなければならなくなります。(この記事は、通産省の資料を参考に書きました。)

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大分類 テキスト
資料コード 008435
内容コード G000000481-0002
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第64号(1981年5月)
ページ 2
年代区分 1980年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1981/05/05
公開日