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暮らしの中の法律相談 胎児や内縁の妻も相続人になれるでしょうか

(問)相続制度の一部が改正され、今年から施行されていると聞きました。どのような点が変わったのですか?また胎児や内縁の妻は相続人として認められるのでしょうか。

(答)相続とは、人(被相続人)が死亡した場合に、その人が残した財産を相続人が受け継ぐことをいいます。
民法では、相続人について次のように定めています。まず、血縁のある者が次のような順序で相続人となります。
①子(養子を含みます)またはその代襲相続人(相続人が先に死亡するなどによって相続できないときに代わりに相続する者-相続人となるはずの子の子、孫など)
 ②直系尊属(父母、祖父母など)
 ③兄弟姉妹またはその代襲相続人(相続人となるはずの兄弟姉妹の子)
つまり、子及ぴその代襲相続人もいない場合は直系尊属が、直系尊属もいない場合は兄弟姉妹またはその代襲相続人が相続人となるのです。また配偶者は、これらの血族相続人とともに、常に相続人となります。
さて、おたずねのように民法の相続制度の一部が改正され、今年の1月1日から施行されています。主な改正点を紹介しましょう。
第一のポイントは、配偶者の相続分が次のように引き上げられたことです。
▽子とともに相続するとき…遺産の1/3から1/2へ
▽直系尊属とともに相続するとき…同1/2から2/3へ
▽兄弟姉妹とともに相続するとき…同2/3から3/4へ

同時に、遺留分(被相続人が生前の贈与や遺言によって財産を処分しても、相続人が取得できる最低限度の財産)も、相続人の中に配偶者が含まれる場合は、すべて1/2となりました。

また、遺産の分割を公平なものにするため「寄与分制度」が新しく設けられました。これは被相続人の財産を維持したり増やしたりするのに努力して実績のあった相続人には、それに応じた分を相続分に上積みするものです。そのほか、兄弟姉妹が相続人となる揚合の代襲相 続人が、おい、めい(兄弟姉妹の子)に制限されました。
次に、胎児の相続権についてみてみましょう。
民法では、原則として、人は出生によって権利能力(権利の主体となること)を得るものとしています。しかし例外として、相続人や代襲相続等については、胎児は、すでに生まれたものとみなされています。つまりおなかの中の子も立派な相続人にほかならないのです。ただ死産や双子などの場合もあることを考えると、遺産分割は、出生をまってする方がよいでしょう。
これに対して、内縁の妻は法律上の配偶者ではありませんから、相続人にはなれません。しかし、遺言によって内縁の妻にも財産が与えられる場合があるほか、相続人がいない場合には内縁の妻などの縁故者から相続財産の全部または一部を分与するよう裁判所に請求することができます。

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大分類 テキスト
資料コード 008435
内容コード G000000479-0007
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第63号(1981年3月)
ページ 3
年代区分 1980年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1981/03/25
公開日