なんじょうデジタルアーカイブ Nanjo Digital Archives

ブラジルからのメッセージ 町昇格を祝う 在ブラジル佐敷町郷友会 代表 山城粒吉

町では、昨年6月の町制施行にともない、遠く異郷の地で生活する同胞にも町昇格を祝ってもらおうと、ブラジル、ハワイ、ペルーの三郷友会に新しく染め抜いた町旗を贈りました。それに対し、このほど在ブラジル佐敷町郷友会の山城粒吉代表から町民へのメッセージが届きましたので紹介します。先にブラジルを訪問した新里勇孝水道課長に託されたもので、メッセージは、遠くにあっても常に郷土の発展を願う心を切々と伝えています。

昭和55年6月1日を期して佐敷村が佐敷町へ昇格し、町民多数が集まって二日間にわたって賑やかに祭典を挙行なされたことをお聞きし、遠く外地にいる私たちも心から祝福いたします。また、私が在ブラジルの佐敷町郷友会を代表して、故郷の皆様に祝辞をおおくりできますことを幸栄に存ずる次第であります。
このたびは、町昇格を記念して、遠く南米の地にいる私たちへ町旗を御寄贈下さいまして誠にありがとうございました。私たちはこの旗をまえに感謝と感激で胸が一杯であらためて、佐敷で生をうけたことを誇りに思っているところです。
このほど、ブラジルをおとずれた役場の新里水道課長様から沖縄県並びに佐敷町の情勢をおはなしいただき、故郷が政治、経済、教育、福祉と各般にわたり、私たちの想像以上にめざましい発展を逐げていることを知り、みんな大変に満足しています。
私たちの住むブラジルも、どちらかといえばまだまだ後進国でありますが、今や世界の文化の先端を行く祖国の皆様が一人でも多く移住地を訪れて、新しい文明の気風をふきこんでいただくことが私たちの子孫の日本人としての誇りを失わしめないためのひとつの良策かとも思います。一昨年の山城時正町長の来伯以来、私たちの望郷の念はいっそう燃えあがってきたようでございます。
私たちは、今度、新里様のおはなしをお聞きし、また町旗を前に佐敷に生まれたことを誇りにし、今後ブラジル在住の者が結束して、郷土愛にもえて前向きに郷土の交流を密にしていこうと思っていますので、町の皆様の尚一層の御指導、御鞭達のほどをよろしくお願い申し上げます。
ところで、現在、町当局が、町の傾斜地にデイゴの植林事業を行なっていることをお聞きいたし、まことに喜んでいます。
私自身そのことに付きましては大いなる希望と抱負を持っておりますが、私見はいずれ別の機会に申し述べることに致しまして、新里様とも御相談の上、町昇格を記念いたしまして、植林用にブラジル産の「ピンユ」という木の種子を在ブラジル郷友会の名において御寄贈いたしますので試験的におためし下さい。その結果良しとあらば必要なだけ送ります。この木は、建材に家具材にと広く利用され、果実は栗のように食用に供されております。私は、10年前から県へも5、6回送っておりますが結果がどうなっているかまだうかがっておりません。
荒廃地相手に苦難な植林事業に情熱を持って取りくんで居られる姿を思い、遠く異郷の地で心から御成功を祈っています。
最後に、あらためて町昇格をお祝い申しあげるとともに、私たちにまで町旗を郷寄贈くださいました御厚意に対し深く感謝申しあげます。佐敷町の平和と今後の益々の御発展とふるさとの皆様方の御多幸と御発展をお祈り申しあげ、お喜びの言葉にかえさせていただきます。

ダウンロード
大分類 テキスト
資料コード 008435
内容コード G000000478-0014
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第62号(1981年1月)
ページ 4
年代区分 1980年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1981/01/01
公開日