なんじょうデジタルアーカイブ Nanjo Digital Archives

いい正月でーびる 昭和53年 元旦

昭和53年、午年の年頭にあたって、村内各界から新年の御祝辞をいただきました。不況に明け暮れた去年の苦しい想い出は、除夜の鐘の音とともに、忘却の彼方に追いやり、飛躍のよき年を迎えるよう、村民のみなさまと手をとりあって、新しい門出のスタートをきりましょう。午年は“天馬が翔ける”飛躍の年。郷土佐敷の繁栄を祈念し頌迎いたしましょう。おめでとう!みなさま。

新らしい村造りの礎に 佐敷村助役 宮城繁
新らしい年を迎えるにあたり、村民の皆様に御挨拶申し上げます。今年は内外の厳しい経済状勢の中で新らしい年を迎えることになりますが、村財政に与える影響も非常に大きいかと懸念されます。かかる時期に助役として二期選任され、その職責の重圧をひしひしと感じている今日此頃でありますが村の発展と住民福祉の増進のため微力ながら最善を尽したいと思います。
わが佐敷村は、近年著しい発展を遂げつつありますが、更に飛躍的に発展するには幾多の問題を克服し、計画的な村造りを推進しなければなりません。
先ず村民一人びとりが住みよい文化的生活環境を求めています。そのためには、各部落内の道路の幅員を拡張し道路網を整備する必要があります。新設道路も必要となるでしょう。浸れのない排水綱の整備も必要でしょう。子供の遊び場公園も含めた有機的に機能する村造り計画が必要です。
次に、村民は豊かさを求めています。そのためには村民一人びとりの所得を上げなければなりません。農道排水の整備、ほ場を整備し、農業を機械化することにより、最小限の労力で最大限の効果を生みだして初めて農家の所得が増え豊かになれます。漁民にとっては、漁港の新設、商工業者のためには、商店街の計画も必要かと思われます。
更に、村民は健康で明るい村造りに深い関心を持っています。次代を担う青少年が、自己研さんする人格形成の完成を目指して場所、又佐敷村民が今日享受している繁栄を血と汗で築き上げて下さった高令者のための憩の場所等社会教育や福祉施設の整備も急務であります。
さいわい佐敷村においては、村の将来を展望する基本構想が策定されました。これは大学教授によって研究立案され、村のその道の専門家と知識経験者からなる審議会によって慎重審議され、村長に答申され、今年の4月定例会において可決されました。今後佐敷村の村造の指針となります。
今後は、この基本構想をより具体化し、おおむね10年の基本計画を策定し、長期財政計画に従って諸々の事業を実施して行くことになります。
今年は新らしい村造りの礎を築くために、村長のもとに全職員が一丸となって適進したいと思いますので、村民各位の絶大なる御協力と御支援をよろしく申し上げて新始の御挨拶と致します。

教育村佐敷の建設に 佐敷村教育長 崎山喜禄
明けましておめでとうございます。今年もよろしくおねがいします。
緑に包まれた佐敷村に、黄色く美しい通園バスが各字を往来するようになりました。4月頃には、新しい幼稚園舎が竣工します。今までの園舎とは異なり、雁行型で、園児に夢を持たすようなユニークな園舎が誕生するでありましょう。
小学校は、今年西側の校舎を、東側に整理統合します。そのため18教室と視聴覚教室、図書室、特活室を三学期頃までに完成の予定です。この統合は幼稚園の将来を考えた抜本的配置計画と同時に解決出来るように策定したものです。創立百周年までには、学校全般の施設、環境整備を今から心せねばと考えています。
中学校は、体育の凡ゆる種目に又、弁論、図画、作文等に数々の記録を打ち立て、地区に中央に、或は県代表として進出する等、佐敷中学校の底力を発輝している。今年は、更に文化面に大いに力を発輝してほしい。11月27日の第二十二回文部大臣杯争奪全国青年弁論大会で先輩の知高三年生知念俊明君が見事最優秀勝の栄冠を勝ちとった。
沖縄として二回目であり又、12年振りに優勝杯がはるか海を渡ってきた。このように他の分野でも先輩が残した多くの素晴らしい伝統を今後も遺憾なく発輝してほしい。これは村民の期待するところであり、又、実現すると信じている。教育委員会としては、村教育行政基本方針に基づいて、教育の諸条件整備に努力する考えである。学校では、それぞれ目標に向い、又は、嫌いな学科が好きになるようにと、一生懸命である。教師が積極的に自主的に研修出来るよう、教育環境の整備に力を入れねばならない
青少年健全育成は、絶ゆまぬ努力を傾注する必要がある。
文化財保護委員会の地道で重厚味のある活動は、村民の認める処であり、条例も設けてある。今後村、県指定の文化財の実現を願うものである。
教育は母胎の中にいる時から始まるといわれている。家庭、学校、地域社会、そして行政が一体となって着実に進むべきであろう。老人クラブ、婦人会、PTAの諸学級も活発である。特に、老人クラブの自主活動は、他から高く評価されており、他の範たるものといわれている。
生涯教育が強調されている中で社会教育の中心拠点である村公民館の実現は、村民の声として受け止めている。
次代を背負う子らの幸せのため、深い理解と御協力を賜った議会、関係諸団体に対し、心から感謝を申し上げ、昭和53年は村民、村教育にとって最良の年でありますよう祈念し、新年のごあいさつといたします。

新たな情熱と決意で 佐敷小学校長 宮城要三郎
年頭に当り、昭和53年度新春を寿ぎ、我が村の充実発展と村民各位の御多幸を心からお祈り申しあげます。
私たち教育現場の者も自らの姿勢を正し、ひたすら児童の幸のため相協力して新たな情熱と決意をもって新年の出発にしたいと思います。
過去1ケ年をふりかえって見ますと政治、経済、教育、国民生活が激しく揺れ動き誠に波乱に富んだ多難なきびしい社会情勢でありましたが、そのようなきびしい情勢の中にあっても学校と村民が一体となって子どもの幸を願いつつ惜しみない協力を示していただいたことに衷心から御礼を申し上げます。
学校の教育効果を高めるためには、教育内容、施設設備、地域社会、現場の教師、家庭等多くの要素が必要であるがとりわけ望ましい教育環境の中に於て子どものよりよい人格形成も学習の効果も期待できるものと思います。
本校はこれまで村当局、教育委員会、議会の理解ある御協力によりまして素晴らしい教育環境をつくっていただきましたが特に旧年は、運動場を整備していただき、子どもたちの学習の場として、また遊び場として更に各種団体が快く利用できるすばらしい運動場になりました。
更に幼稚園の園舎も11月はじめに着工し4月にはみごとなモデル園舎ができる運びになっています。
新しい年は本校多年の懸案でありました西側校舎の東側敷地への統合・プールの建設を期待するものでありますが、これらは村にとりましても一大事で村のきびしい財政で対応していくには問題も多いと思いますが、望ましい環境で教育の効果があげられるよう切に村民各位の御協力をお願い申し上げ村教育の目ざましい躍進の年になることを念じ、あいさつと致します。

初夢はこうありたい 佐敷中学校長 玉木春雄
謹しんで新春の御祝詞を申し上げ、村民の御多幸と村の発展を寿ほぎ、皆さんと共に新年をお祝い至し度いと思います。
天馬の蹄の音も中空にこだまし、空かける午年”我身に生を与え我れをはぐくみ育てた郷里に十幾年振りに帰り、羽ばたく青少年、未来限りなき可能性を秘めた子等のいそしむ白亜の学童、佐敷中学校の責任ある職に任じて幾月を過し、そして改たまる年を迎へ感無量なものが御座います。
偲えば月代宮近くの高台にテント屋根、かや葺き小屋、カマボコ兵舎の雑多な教室に五百余の生徒をかかえ、六、三、三制の新制中等学校が創立されて、ここに三十年、夢想だにも思い描くことの出来なかった現在の校舎、校地、施設、設備の充実、未来永劫へと繁栄と発展のスピーディーなこの雄姿、唯々驚異とでも言えましょうか。しかし、これが現実の姿であります。
天空かける千歳の飛馬のような、村の発展と復興、村教育の充実発展に夢を描きその実現を期すべき年でありたい。そして、永遠に流れる年月の軌跡の中に、その一里塚を打ちたてていきたいと思います。
椰子並木、美しい車道と歩道。その国道より北へ一直線の通学道路、桜花の並木と道路の縁を飾る花壇の草花のほほえみに迎えられると正面に大きな校門、心を練磨すべく心字形の大きな池、苔むす岩々のたたずまい。
岩山に根をおろす蘇鉄の古木、松の五枝は池面に映じ、大小の緋鯉真鯉はゆったりと波紋を描き水蓮の花葉に水玉をのせている。
中城湾の真砂を前に校庭の古木や記念樹の梢に期日はゆらぎ、小鳥のさえずり、花園を色どる四季折々の草花・玄関に整然と並べられた生徒個人用ロッカーと靴箱、教室、廊下は花模様のジュータンで敷きつめられている。校内放送は各教室ヘテレビで流される。テレビボックスのボタンを押すと各教室から職員室、事務室、校長室との対話連絡が出来るシステム、視聴覚教室は完備、冷房され、フルに回転、図書館をのぞくと司書教諭と三、四名のお母さんが借し出しや本の整理を手伝っている。
放課後はクラブや部の生徒達が主運動場、第ニグランド、体育館にあふれている。ステージでは演劇クラブの立稽古の最中、音楽、美術・技術教室も満員の生徒、水泳グループでは水しぶきがあがる
A棟B棟は素晴しいアーチ型の通路で結ばれ、そこから眺める洋式花園立体模様の美しさ、目を反対の方にうつすと一変した和風の築山と芝生、木立ちのさびのある風情”
礎辺の防潮の木影には読書コーナー、憩のテーブルで三々五々に話りあう、なごやかな生徒達、反対側のスピーチコーナーでは四、五十名の生徒を前に生徒会のあり方について弁論をしている。喝采と拍手のどよめきが樹林にこだます。何万坪といわれる学園にありとあらゆるものが美と健康、英知のシンボルである。
このような素晴らしい学校こそ佐敷中学校である。あと30年もまたずして実現した姿である。実現こそ教育であり夢想実現は、着想の実現でなければならない。
村民各位の協力を得て立派な学園をつくり上げてみたい。

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大分類 テキスト
資料コード 008435
内容コード G000000467-0003
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第50号(1978年1月)
ページ 3
年代区分 1970年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1978/01/01
公開日