なんじょうデジタルアーカイブ Nanjo Digital Archives

10年計画で実施へ 住みよい豊かな村づくり

基本構想の理念
一 自然を大事に守り育てる
馬天港の静かな入江をのぞみ、背後からは東の宿納森より西の大里城跡へと運なり続く緑の丘陵地に抱き込まれるようにして三ケ月型に広がる本村の美しい自然や地形を大事にし、さらに積極的に保安、修復を重ねていく事によって緑の環につつまれた本村のイメージを維持、発展させていく。

二 教育を大事にする
本村はこれまでも次の世代を担う子供たちの教育には特に力を入れてきている。その伝統を生かし将来に向けても子弟の教育を村の最重要な柱としていく。

三 農業・水産業を第一とする
農業と水産業は本村の基幹産業である。しかし、その基幹産業にはまだまだ充分な成長、発展の余地が残されている。その為の基盤整備に力を尽くさねばならない。
その様な第一次産業の確かな振興発展をふまえて製品加工型の地場産業を開発していくべきである。

四 高齢者や子供たちを大事にする地域計画
本村には多くのお年寄や子供たちがいる。(10才以下と55才以上の年令層の占める率は総人口の三分の一をこえている)その様なお年寄や子供たちが伸び伸びと毎日の生活を送れる地域空間を創り出さねばならない。高令者や若年者、そして身体の不自由な人々にとっても安全で楽しく生活できる様な地域空間こそ、すべての村民の全日常的生活を支える第一の条件である。

五 一人一人の村民の自主性を尊重する
本村のそれぞれの字の自主的、主体的な活動や意見こそが村の将来の発展を担っている。各字は言うに及ばず、その字の一人一人の住民の発言が尊重されねばならない。言うまでもなく、それどれの地区問題は、その地区で生活している人々が誰よりも確かな認識しているからである。

六 本村の十年後の総人口は約11,000人とする

第一次産業を柱に 公害のない企業の誘致も

Ⅰ 産業振興計画
農業(畜産を含む)及び水産業を本村の基幹産業とする。
一 農業
農業振興計画は、「佐敷村農業振興地域整備計画」ならびに「農林漁業構造改善計画」をふまえて策定する。
(イ)農業振興地域の設定
農業地域及び農用地の線引きについては、昭和50年8月11日に知事認可を受けている「佐敷村農業振興地域整備計画」の通りとする。
(ロ)農業基盤の整備
農地全域への機械力の導入を可能にするよう、農道、排水路等の農業基盤整備を実施する。
(ハ)施設の整備
基盤整備の実施を前提として可能な限り農業近代化、施設の集団化、共同化の方向付けを行う。
(ニ)その他
さとうきびは今後も本村の基幹作目として位置づけていくが、生産性、収益性の面から限界もあると思われるので、部分的には他作目(野菜、花木等)への転換を図り収益性を高めていく。
二 畜産
本村の畜産は、特に豊富な粗飼料(雑草)とさとうきびを利用した肉用牛及び優良な品種の牛・豚の飼育を奨励すべきである。その他の家畜については、収益性の面から充分検討を要する。
(イ)飼料の自給率の向上
傾斜地を活用した草地の造成とさとうきび梢頭部の有効利用、併せて濃厚飼料の増産を図り、できるだけ購入飼料を減らしていくよう方向づける。
(ロ)畜産公害の防止
畜産の集団化を図り、公害防止を充分に考慮した設備を整え、畜産を奨励していく。
三 水産
馬天港の恵まれた環境と立地を生かし、水産業の振興をはかる。
(イ)漁民の生活手段を確保し、財産を保護するために、漁港を新設すべきである。
(ロ)船揚場設施、貯蔵、流通施設等の完備を図る。
(ハ)漁獲高の増大を図る為、漁船の規模拡大と設備の近代化をはかる。
四 地場産業
既存の地場産業の育成と共に、将来は、本村の第一次産業生産物を書こう製品にまで仕上げていくような第一次産業密着型の地場産業の育成を積極的に検討する。
五 工業
村民の職場開拓の為、自然的・社会的・地理的条件に適合する工業の導入は必要である。本村に立地し得る企業は、次の条件に叶うものでなければならない。
(イ)公害、災書型企業は絶対避けること。
(ロ)労働集約型企業であること。
六 商業
本村の商業地域は、津波古の一部とし、この地域の中心市場の再開発、整備を計画する。

Ⅱ マスタープラン
一 土地利用計画の基本方針
(イ)市街化地域の土地の高度利用と緑化を推進し、生産緑地への施設立地のスプロールを防止する。
その為に、市街化区域内の未利用地及びスプロールの進行が予想される区域においては、先行的に区画整理等の事業を行ない、市街地の整備を行なう。
(ロ)傾斜面の保全、保護と積極的植樹を推進する。
(ハ)自然環境や歴史的、社会的条件にみあった土地利用を行なう。
(ニ)文化財を大切にし、それを積極的に日常生活の場に生かす様にする。
(ホ)公共施設、人口増、中小企業誘致、新しい地場産業等の土地需要に対して、公有水面の必要最小限度の埋立てをする。この埋立ては明確な利用計画に基づいて行なう。
(ヘ)新規埋立地は市街化区域に編入する。

二 道路交通計画
(イ)バイパス型の主要幹線道路を設置し、津波古、新里、佐敷の各集落への通過交通の侵入を避ける。
(ロ) (イ)の主要幹線道路として当面以下の三本を新設する。
新開入口と県道137号線(津波古~小谷間)を結ぶ道路県道137号線の小谷~新里間から、新里の集落をはずして直接玉城方面へと通ずる道路既存の新開幹線から、新規埋立地(計画)を通過し、浜崎川に沿って国道321号線に達する道路
(ハ)バイパス型の主要幹線道路からはずされた部分の既存道路は、生活幹線道路として、超緩速区間とする。
(ニ)各集落間を結ぶ生活道路を整備する。
(ホ)学校や遊び場・公園そして多くの文化財などを結びつける歩行者専用道(緑道)を設ける。
(ヘ)南部横断道路計画は、馬天港整備計画とも密接な関連を持つので、これを強力に推進する。

三 施設配置計画
(イ)施設計画は既存の施設との関連を重視して策定する。
(ロ)施設の配置は、各集落、集落グループ、村全体というそれぞれの段階的利用を考慮して決定する。
(ハ)児董遊園は各集落に一ケ所以上設置する。また、児童公園は各集落グループに一ケ所設置する。
(ニ)保育所は既存施設の他に各集落クループ毎に設置する。
(ホ)幼稚園、小学校をそれぞれ一校(一園)西側に設置する。
(ヘ)中央公民館を新設する。
(ト)長作原に文化的施設を誘致し村民の利用の便に供する。
(チ)馬天港湾の施設を拡大し、優秀な漁港、流通港として整備する。
(リ)病院又は診療所を新開の村有地に誘致する。
(ヌ)各集落の生活排水路の整備と共に、下水道整備計画を推進する。

四 緑地計画
(イ)農用地や宅地以外の傾斜地はすべて緑地保全地域とする。但しハイキング用の遊歩道とサイクリング・ルートは計画する。
(ロ)文化財と公共的施設を、遊歩道、緑道、生活道路で体系的に結びつけ、すべての村民の日常生活の場に祖先の残した文化的遺産浄直結させるようにする。

五 埋立て計画
(イ)新規の公有水面埋立てについては「その埋立規模利用計画等を充分検討し、確かな結論に達した後にこれを行なう事とする。
(ロ)新規埋立地は、その規模、形態、土地利用などが既存の集落としっかり結びついたものとする。

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大分類 テキスト
資料コード 008435
内容コード G000000464-0011
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第47号(1977年7月)
ページ 4
年代区分 1970年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1977/07/01
公開日 2023/10/18