キビどころの佐敷村にも畜産熱の高まり、サヤインゲンの本土出荷など”考える農業”への脱皮が力強く進められている。2年前から佐敷村農協が音頭をとり、大宜味村農協とタイアップして始めた子豚の出荷が軌道に乗り、おまけに販売ルートが確立していることから昨年度は出荷目標頭数1500頭に対し300頭も多く出荷、売り上げも約2800万円を記録。今年度は3000頭を目標にしているが軽く突破しそう。さらに子豚の品質がよく、畜産振興のうえから今後は養豚の占めるウエートが大きくなってきた。村で初めてのサヤインゲンの本土出荷も昨年11月から始まった。
これまでに約6トンが出荷され、今期の目標高は20トンが見込まれている。そのほか2月、3月からカボチャ、レタス、キャベツの出荷も始まる。合わせて約100トンが出荷される見込みであり、農家にはいま新しい土のいぶきが感じられる。
佐敷村農協(小波津厚一組合長)は、昭和49年から大宜味村農協とタイアップして村内の子豚の出荷に乗り出した。現在、養豚農家は53戸、250頭の母豚がおり、毎週水曜日になると、各農家から出荷された50頭以上の子豚が農協前広場に集められ、大宜味村農協のトラックで運ばれていく。
子豚の場合は幾分変動があるが、現在価格が少し落ち込み、平均して1頭1万千円内外で取引されているという。一回の出荷で6、70万円の売り上げがあり、農家にとってはキビ作に代わる農業として有望視されている。
子豚は生まれて45日で母豚1頭から年間18頭以上(年2回)出荷されている。この間で4000頭が大宜味村農協へされているが、同農協ではこの子豚を飼育して県食肉センターヘ販売している。
また、佐敷村農協は独自で母豚を飼育、養豚農家へ売っており、この母豚にタネツケしてま生れた質のよい子豚を農協を通して出荷していくというシステム。さらに取引価格が下落しないよう月1回三者協議会(両農協に農家代表)を開き、価格の調整を行うなど販売ルートの確立に重点を置いていることから、農家は安心して畜産に励んでいる。
一方、村で初めてのサヤインゲンの本土出荷も、規模的にはまだ小さいが軌道に乗りつつある。現在耕作農家は伊原、仲伊保を中くに15戸、毎日200ケース(400㎏)前後が出荷。これまでに約6トンが出荷されている。今期の生産目標高は20トン。値段はキロ当たり700円(農家手取り250円)前後で取り引きされており、来期は50トンを目標にしているという。
このほか2月、3月からは、カボチャ、レタス、キャベツの出荷も始まることになっており、農家から大きな期待が寄せられている
このように同農協では、これまでのキビ作一辺倒の佐敷村に、養豚と野菜の振興策を積極的に推進し、農家の生産意欲を高めるため農協を通じた流通によって価格の安定化を図っていくことにしている。
小波津厚一組合長は「農業の収益性を高めるためには、キビ、野菜、蓄産の複合経営にとっくまなければならない。2年前から始めた子豚の出荷も順調に伸びており、今後は販売路を拡大し、これからも養豚農家を育成していきたい。
また、豊富な太陽エネルギーの活用で本土の端境期をねらった野菜の本土出荷も軌道に乗りつつあり、かなりの実績をあげるものと期待している。今後は村ともタイアップして、基盤整備、流通面での確立を図り、魅力ある新らしい農業を促進していきたい」と語っている。