農振法の方向づけ
佐敷村の農業振興地域整備計画が、昭和50年8月11日付けで県知事の認可を受けました。
本計画の内容については、昨年の部落入り懇談会及び説明会、チラシ配布等により御理解が得られたものだと思いますが、今一度本計画の内容について説明致します。
近年、日本の食糧生産は、自給できるところでなく、ほとんど外国に依存しているにもかかわらず、第二次産業、第三次産業優先育成政策により、優良農地がつぶされています。そこで国は農業政策を見直して食糧需給の回復と農業所得の向上を図るため、昭和44年7月1日に「農業振興地域の整備に関する法律」な立法化しております。
本土ではこの法律の思典を受け農業の振興策が進んでおりますが、沖縄は復帰後に初めてこの法律の適用を受け、東風平村、仲里村を始め48の市町村が農業の基盤整備に取り組むことになりました。
まず本村の農業振興計画の説明をする前に、この法律について説明致します。
法律の主旨は、農業の振興については自然的、経済的、社会的諸条件を考慮して、農業の基盤整備に関する必要な施策を計画的に推進するための措置を構ずることにより、農業の健全な発展を図るとともに、国土資源の合理的な利用に寄与することを目的とし、以下22の条項で農業振興の方向づけをしようとしています。
この法律に基づいて沖縄県の農業振興地域整備基本方針を作成しており、これに基づいて県は、農用地の団地規模がおおむね20㌶以上であり、高能率な機械による営農が可能な土地条件か備えているか、又は整備すればこのような条件を備え得る市町村を農業振興地域として指定しております。
指定を受けた市町村は、県の基本方針にそって市町村の現況を基に、将来の農業像を農業振興地城整備計画として作成します。
さて本村も昭和48年度で農業振興地域の指定になり、同整備計画が50年8月11日付けで認可になりました。それではこの農菜振興地域の指定を受け整備計画を樹立し、農業用地の線引きをすますと、どのような恩典があるかを見たいと思います。
① 国や県の補助事業や融資事業が集中的に行なわれます。
農業振興地域(農用地)は、今後の農業振興の基盤となる地域ですから、国や県の農業に関する施策は農業振興地域整備計画に基づいて集中して実施されます。
② 税制上の優遇措置がとられます。
農業振興地域整備計画に基づいて行なわれる農業委員会のあっせん、市町村長の勧告、知事の調停によって農地等を譲り渡した者には譲渡所得税を、取得したものには登録免許税をそれぞれ軽減することになります。
③ 生活環境施設整備が促進されます。
農業振興地域内の集落内整備については、農道、生活排水その他の施設等の整備事業に対して補助金を受けることができます。
以上がこの法律の主な思典でありますが、農業振興地域内の農用地に含められた地域については、農業の生産性を高めることを目的に農道、排水等の線的整備、又は区画整理等の面的な整備が予定されます。このようなことから農用地の農用地外への転用については制限がでてきますので、農地外へ転用される方は、転用する2年か1年前に村経済課か、農業委員会に相談して下さい。
次に本村の農業振興地域整備計画について説明致します。
佐敷村の農振計画
農用地利用計画
(ア) 土地利用の構想
農用地利用計画の策定にあたっては、地域の位置、自然的条件、土地利用の現況、あわせて地域の人口及び産業の将来の見通し、建設、産業振興、地域開発計画等を勘案した将来の他用途土地利用の方向並びに地域農業の近代化、地域農業生産の確保を図るために必要な農用地の線引きなしております。
さらにこれらの方向に基づく主要上地利用(農用地、林地、宅地、その他)については次のとおりになります。
(イ) 農用地区域の設定方針
市街化区域及び次に掲げる農用地以外の農用地約396㌶について農用地設定してあります。
○集落(部落)区域内に介在する農用地28㌶
○自然条件等から見て、農業の近代化を図ることが適当でないと認められる農用地35㌶
○集落(部落)としての開発認められる国道331号、県道137号線沿の農用地11㌶
農業上の土地利用方向
本地域内ある現況農用地は、現在396㌶でその利用区分は、田3㌶、畑362㌶、原野31㌶(開発可能地)となっており、現在さとうきびを中心に野菜等の生産が行われているが、今後もさとうきびを中心にして、野菜、肉用牛、養豚を組合せた農業振興の方向を考えています。
農業生産基盤整備開発計画
本村の農用地は、そのほとんどが畑であり、比較的団地性に富み起伏が少なく平担地と傾斜地がはっきりして、農地の基盤整備において区分し易い状態にあります。
しかしながら今日まで農道、排水整備は1本1本と云う線的な整備施行の方法でしか行なわれなかった。この方法は、地元の要望と必要性等を中心に、施行しておりますが、工事施行に伴う用地収得の段階になって、一部地主の反対で工事が施行出来なかった例も数多くありました。
水稲ブームに乗って水田が多くなり、一時期においては82㌶になった水田が、さとうきびの普及により排水の整備もなされないまま畑に変り水溜まりが所々に見受けられる現状であります。しかしながら、今後の農業では機会が稼動力の主軸をなすと思われるので、機会の利用出切るように農地の基盤整備が必要になって来ます。
村の計画では農地の広がりのある平坦地については、区画整理等の面的整備と同時に、換地分合等によって農地を集団化するよう方向ずけを行い、広がりの少ない地域(例、仲伊保等)については、農道排水等を1本1本取りつけながら交換分合等により、農地の集団化を図るように推進することになります。また、傾斜地については、現況排水系統の整備と農道の整備を行うことにより農地の拡大が可能になるよう方向づけをしてあります。
農地等の権利取得の円滑化
本村における1農家当たりの農地経営面積は約35アールで極めて零細なものである。このようなことから、自然環境との調和を図りつつ山林原野を可能な限り開発するとともに、所有権及び使用収益権等の権利移動を自立経営志向農家の経営規模拡大につながるよう積極的に誘導するようにつとめる。
農業近代化施設の整備計画
重点的に振興する作目として、さとうきび、野菜、肉用牛、養豚があげられるが、生産体系、生産行程及び近代化施設の整備についてはあらゆる角度から検討し、その効果が最大に得られるよう近代化を積極的に推進する。
以上が本村のおおむね10年間の農業振興計画の概要でありますがこの計画は農家、地主の皆様のご理解と全面的なご協力が必要であると同時に、村民全体の問題として取り組むことが必要でありますので、事業実施の際はよろしくお願い致します。
尚本計画書作成は、農林魚業振興推進対策協議会、議会、農業委員会、農協、区長会、その他の団体の協力を得ましたので、感謝申しあげます。