村の基盤づくりを基本に
総額10億1000万円の予算措置
道路・排水・公園・校舎建設も
山城佐敷村長は、4月からはじまる昭和51年度の施政方針として、①人間尊重を基本とした平和で豊かな福祉村政の確立をはかる。②村民1人びとりが将来に向かって希望の持てる村、特に若い人に魅力ある村づくりを強力に推進する-などの基本姿勢を示し、重点施策として、生活環況の整備、産業基盤の整備促進、計画的な村政運営のできる執行体制の確立化を明らかにし、それにともなう、一般会計、特別会計の総予算10億1000万円を計上しました。また具体的な事業として、▽長期展望に立脚した村基本構想の決定、▽村道、生活排水の整備、▽各部落への街灯、掲示板の新設、▽村ではじめての公園整備事業、▽農振計画に基づく農地保全事業、土地改良事業、農業構造改善事業、▽野菜の共同販売体制の確立、▽畜産の振興、▽商工業の基盤強化、▽社会福祉の充実、▽教育環況の整備充実、社会教育の振興、▽消防行政の強化、▽国立老人保養施設の誘致促進など不況克服をはかる積極的な事業を中心に、村政が地域住民の諸要求に的確に対処し住民福祉の向上発展に最大の努力をはらっていくことを強調しています。次は施政方針の概要。
本日ここに、3月定例議会に当り議員並びに村民各位に対し、村政の基本万針並びに重要施策についてご報告申し上げ、皆様のご理解とご協力をお願い申し上げたい
私は、本村の置かれている立地及び現状を踏まえながら村民のしあわせと豊かさを願い、人間尊重を基本として、平和な福祉村を目指し、村民のための地方自治の確立を基本理念として村政の運営に当っております。
そのため私は、引続きすべての村民が健康で文化的な生活を営むことが出来るよう生活環境を整備し、村民1人びとりが将来に向かって希望の持てる特に、若い人々に魅力ある村づくりを強力に推進して行きたいと思っております。
さて、51年度も昨年同様本村を取りまく諸情勢は厳しいものがあります。特に沖縄経済は、国際的資源エネルギーの制約等に起因する低成長経済下における物価高という不況の中で、海洋博終了後の観光客の減少、失業者の増大等厳しい情勢下にあります。
このような情勢に対処するため内部体制の強化と貴任体制の確立によって、昨年以上に消費的経費を節減し、村財政の効率的運営を図り、もって行政サービスの向上を推進していきたいと思います。
以上のような観点に立って、昭和51年度は
(1)生活環境を整備するための施策
(2)産業の振興を図るための施策
この二点を重点施策として推進して行く必要があると思っております。
一、地域関係について
佐敷村の基本構想につきましては、昭和50年度において、佐敷村総合基本計画審議会設置条例が制定され、現在審議会において基本構想案が鋭意審議中であります51年度においては、長期展望に立脚した村づくりの基本方針が出来上るものと思います。実施計画の面では、村民の意見を十分反映させ村民の総意に基づく新らしい魅力ある村造りをしたいと考えております。
二、生活環境施設の整備について
①部落内生活排水については、昨年から全額村負担で各部落の生活排水(29件全長約1600メートル)の整備をしてきました。
基幹排水としては、手登根、富祖崎、津波古で3月未日までには完成し、附近住民の長年の顔望である侵水からの被害を解消し、安心して生活出来るものと思っております。今年度も侵水地域の解消に重点を置き、ほとんどの部落内の生活排水が今年度中に整備出来る計画をしておりますので地域住民のご協力をお願いします。
②各部落に街灯の新設を計画しております。
これは、最近の自動車人口の増加に伴い、交通事故の激増、犯罪の多発により、村民の生活は不安と危惧にさらされているのが実情であります。
このような社会情勢の中で安心して生活出来、また、明るい村造りのため街灯90基を新設します
③水道事業及び環境衛生については、村民の生活に直結した重要な事業で、サービス面においても1日たりともゆるがせに出来ないものがあります。特に塵介、し尿の処理事業については、村民からの苦情を迅速に処理出来ない事を反省し、業者の指導を強化し、苦情の解決に努力していきたいと思います。
然し、このような問題は、村と住民が一体となって協力しなければ解決出来る問題ではありません村民の方でも村において決められた事項を厳守下さるよう尚一層のご協力をお願いし、村民が明るく清潔で快適な生活が出来るようサービス面の強化に一層努力を致します。
水道事業につきましても衛生的で安全な水を供給出来る施設を増補改良して行きたいと思います。
三、土木関係について
①村道15号線屋比久、伊原間の改良工事も今年度から本格的工事が着工されます。
②村道アスファルト舗装工事につきましては、屋比久地内並びに大里村境より津波古間の舗装工事が完成をみ、手登根、伊原間の舗装工事も3月末日までには完成します。特に、本村においては、村道及び部落内舗装が遅れ、その達成のために早急な施策を講じなければならないのであります。しかし、部落内生活道路につきましては、幅員が種々雑多で現在調査中であります。調査が終了し次第村の基本方針を決定し、今年途中からでも村道及び主要生活道路の舗装整備を着手したいと思っています。道路問題の解決は、関係地主のご理解が必要であります。
③その他村直営工事としまして新開の近隣公園、県直営としまして、浜崎川の改修工事、富祖崎の護岸工事、馬天港の船着場工事、新里の県道の改修工事が今年度も昨年度から継続事業として執行されます。
四、産業について
本村の農業生産の95パーセント以上を占めるキビ作りが沖縄糖業史上最低の生産量と言われた昨年と生産量において殆んど変らないと予想されている今日、その原因については、肥培管理、降雨量、日照時間等色々考えられます
私は、不作が二度も続くという現実を厳しく認識し、それに対処するため多年次株出の更新を奨励するため航空防除、黒穂病防除及び更新奨励金を増額し、生産者の意欲向上に努めると同時にキビ価格については、昨年同様生産費所得補償方式による価格の設定を要請していきます。
①今後の佐敷村の農業の発展を考える場合に農地の基盤整備以外に考えられません。農家の方々が将来においても豊かな生活を亨受出来るよう生産農家が高能率な機械施設を導入し、生産性を高めるためにも、農業振興計画に基づく実施計画の作成を地域住民とのコンセンサスを得て推めていきたいと思います。農地保全事業として今年度は津波古、小谷地域の調査費が計上され、52年度から3ケ年計画で実施されます。その他の地域につきましても早急に計画実施するよう県に要請していきます。
②構造改善事業としましては、50年度において仲伊保排水工事の施工とトラックター1台の購入をしましたが、今年度も仲伊保農道佐敷、兼久排水を実施したいと思っております。
③一般土地改良事業としましては、今年度も継続事業として、外間、仲伊保間排水の工事を施工します。
④野菜については、幸い本村内の農研クラブや四Hクラブを中心に若い農業後継者が真剣に農業問題に取組んでいますで、共販売体制の確立を図り、栽培面積の拡大等を奨励したいと思います。
⑤畜産については、昨年同様優良品種の導入と種畜の改良を奨励し、団地化への方向づけを行います。
⑥商工業については、昨年6月に村商工会が結成され、着々とその基盤の強化に努力している所であるが未だに軌道に乗るには数年はかかり、特に本村の企業は、個人経営の商店を主とした零細企業が多く、その育成のために関係者との連携を強化して行きます。
五、社会福祉について
①多年に亘り地域社会の発展のために寄与された老人の方々が自適生活を送れるよう老人クラブの充実発展を助成し、特に寝たきり老人、ひとり暮しの老人に対して家庭奉仕員による充実した奉仕をやって行きたいと思っています。
②母子家庭及び生活困窮者家庭に対しては、民生委員と密接な運携を保ちつつ村社協を通じてその福祉増進を図ると共に民生委員の協力を得て、心配ごと相談を継続していきます。
③児童福祉については、幼児教育の重要性を認識し施設の充実を図ります。
六、教育関係について
50年度は、佐敷村の将来を担う青少年の教育を充実させるために、小学校の特別教室が完成し、中学校の体育館も3月には完成する予定になっています。
今年度は、中学校の特別教室をB棟の二階に増築し、文部省基準面積のほぼ100パーセントに達成します。今後は内部施設の充実を図って行きます。
社会教育については、本村で承継されている文化遺産を保存するための文化祭、婦人学級、老人学級、体力づくりスポーツ大会の充実を図ります。
七、消防一部事務組合について
昨年度から準備を進めて参りました東部消防一部事務組合は南風原村、与那原町、佐敷村の三町村で4月1日に設立されることになりました。今後は村民の生命と財産を守るために職員の強化と施設の充実を図って行きます。
八、国立老人保養センター誘致について
村民大会を開催し、村内外の各種団体の強力なバックアップにより誘致運動を展開して来ました国立老人保養センターについては、県は現在の段階では本県に設置出来るかどうか未確定であり仮に設置されるとしても、4、5年後になるのではないか等色々の要因により決定を保留している状態であります。然し、今後とも県に対し老人福祉の向上のため県が国に対して、積極的に働きかけるよう強力に要請すると同時に、各種団体並びに村民のご協力のもとに初期の目的を達成するよう強力に運動します。
以上昭和51年度予算を提案するに当っての村政に対する私の考え方を申しのべましたが、これを推進するため、本年度予算と昭和50年度一般会計補正予算、特別会計予算等とその他議案九件を提案してあります。議員各位のご理解とご協力を賜り慎重にご審議の上議決下さいますようお願い申し上げます。