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佐敷村の総合計画

―佐敷村の「マスタープラン」より、同案は総合計画審議会(委員長・宮城繁助役)で検討中であり近々最終案がまとめられることになっている。

土地利用計画の基本方針
(1)市街地部分はできる限り土地利用の密度を上げて、生産緑地や保全緑地部分への施設立地、スプロールを極力抑制する。
(2)スカープの多い傾斜面の開発施設立地は絶対に行わない事を原則とし、むしろこの様な地域は重点的に植樹を行う事によって保全修復していく。それは直接的に、土砂くずれ、鉄砲水などの防止になるだけでなく、水資源の涵養、保全になるし、さらに土砂の流出などがなくなる事は海域の資源の保護にもなり、陸地―海域に及ぶ生態的自然の保全、保護に寄与しえる。
(3)地域、地区の自然環境や社会的、歴史的条件に見合った肌理の細かい土地利用を行うこと。大規模で画一的な開発や土地利用は、絶対に避けなければならない。
(4)中小企業団地の導入や人口増世帯増などに伴う新たな土地需要に対しては、主として新開と新たな約23.5ヘクタール公有水面埋立てでまかなうものとし、その地区は既存市街地、集落部の2~2.5倍の人口密度で計画する。既存(新開)、新規の埋立地は、極カ植樹をほどこして緑で覆われたものにしていく事が何よりも必要である。さらに、これらの埋立て地(新しい土地)は、既存の集落と利用上も形態的にも密着したものとして計画していく。

公園・緑地計画
(1)農用地や宅地以外の傾斜地はすべて保全緑地とする。この保全緑地は、馬天港の入り江と共に佐敷村を三ケ月形に抱きかかえ、美しく明確なエッジ(切れ目の線)を形成している。そのシンボル的頂点は宿納森であり、これは是非とも村民のシンボルとして保全されるべきである。
馬天港を見おろす丘陸地の上には、ハイキング用の遊歩道とサイクリング・ルートを計画するにとどめる。
(2)村内の水系を保全する。村内には、丘陸部から馬天港へと流れ込む小川が数多く存在している。その様な川が、士地や集落を育て農業を育ててきた。その中には農地への潅漑施設として人々の知恵を集めて創り出された見事で美しいものがある。潅漑施設や地域景観としてのその様な川の意昧は大きいが、それにも増して歴史的、文化的財産としても保全・保護される必要があるだろう。
(3)馬元港の入江に浴ったモクマオゥの防風、防潮林は、農地や集落を守る存在として、非常に重要なものであるが、地域景観としても美しくすぐれたものである。その緑の帯も是非とも保全されるべきである。
(4)本村には、佐敷ゆうどれを始めとして、土帝君、墓、殿、井戸石(岩)、うがんじゅそして天然記念物に指定されているハマジンチョウなど多くの文化財が存在している。現在も村においては、精力的に文化遺産の調査を進めており、標柱などの設置を行なっている。この様な貴重な文化財を子供たちから高令者までのすべての村民や外来者にとって、身近で親しみやすいものにする為には、それを日常生活の場にとりこむ事が最も確かな方法である。
緑道(歩行者専用道)や生活道路を文化財の存在する場所や主要な公共施設などを結びつける緑として計画する事や、公園や遊び場の空間にそれを取り込んでいく事である。本構想においても、その様な計画を行なっている。
(5)各種の緑地、公園、文化的遺産、景観的に重要な要素などを体系的に結びつけること。その媒介的施設、空間として遊歩道、緑道生活道路の計画をしている。

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大分類 テキスト
資料コード 008435
内容コード G000000457-0002
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第40号(1976年1月)
ページ 1
年代区分 1970年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1976/01/05
公開日 2023/10/18