住民無視の刑務所移転工事強行に断固反対する－とのスローガンを揚げた佐敷、知念、玉城三村で結成する佐知城協議会（会長・伊集盛郎知念村長）主催の知念村への沖縄刑務所移転反対佐知城村民大会が10月27日午後3時すぎから沖縄刑務所建設予定地現場の知念村字具志堅上原で開かれた。 大会では三村の代表が、刑務所が移転された場合「住民生活、水源などの生活環境破壊、漁場が汚染される」と住民無視の刑務所移転決定を糾弾。その結果、各代表は刑務所移転が強行された場合“実力阻止”で臨むことを確認するとともに抗議決議、スローガン、宣言案を満場一致で採択した。 同大会を代表して佐知城協議会では11月6日三村の代表が上京、1万1千人の反対署名簿と抗議決議文を法務大臣、法務省矯正局長に受渡し政府の一方的判断による独善的な強行策に対し強く抗議した。しかしながら政府は地域住民の再三の要請、抗議にもかかわらず近々工事を着工する意向であり、三村では新たに佐知城闘争委員会を設置、実力阻止に向けて大きな盛り上がりをみせている。
大会には定刻前から三村の村民、約1500人が「住民無視の刑務所移転断固阻止」「青少年の不良化防止、健全育成のため刑務所移転反対」、「政府は住民の声を聞け」などのプラカードを掲げて次々と参加した。
大会はまず山城時正副会長（佐敷村長）の開会あいさつのあと、伊集会長が「三村が一致して反対協を結成するとともに、三村議会でも反対決議を行い、刑務所をはじめ法務省など関係当局に反対を要請してきた。それにもかかわらず、入札を執行、知念村に刑務所移転を決定したことは住民無視もはなはだしい。
今後の運動は実力阻止以外にない。三村が一致協力して国の厚い壁をうち破って行こう」と決意を述べた。続いて金城繁正副会長、（玉城村長）が経適を報告、そのなかで10月20日から26日までに三村で行なわれた刑務所移転反対に対する署名は、1万1千人を数えたことを明らかにした。
その後三村代表6人の意見発表に移り、親川仁勇知念村議、金城兵志知念村具志堅区長、大湾政松玉城村親ケ原区長、喜納和子玉城村婦人代表、佐敷村からは山城健青佐敷村議、仲村清栄佐敷中校ＰＴＡ代表がそれぞれ「刑務所移転決定は地域任民の意見を無視、愚ろうした政府の一方的なひれつな行為であり、非民主的だ」「刑務所用地近くには水源地があり汚染される」「青少年に悪い影響を与え、精神的苦労が大きくメリットは何一つない」「住民無視は断じて許せない、みんなで力を合せ実力で阻止しよう」と訴え、国の姿勢を糾弾した。
引き続き「知念村への沖縄刑務所移転に対する抗議決議」四つのスローガン、宣言文を全会一致で採択した。
知念村への沖縄刑務所移転に対する抗議決議
沖縄刑務所の知念村への移転については、地元知念村をはじめ玉城、佐敷隣接村民の平穏な生活環境を破壊するとの観点から、関係村民こぞって移転に強く反対してきた。
しかしながら政府は、地域住民の切実なる西請にも答えず、一方的に建設を強行しようとして10月9日に入札も実施しているが、かかる行為は地域住民への不安感を増大させるのみか住民の反対世論を無視した非民主的行為であり、断じて許すことはできない。
よってわれわれ佐知城三ケ村民は、政府が知念村への沖縄刑務所移転を即時断念するよう強く要請するとともに、政府の独善的な行為に対し厳重に抗議する。
右決議する。
昭和50年10月27日
知念村への沖縄刑務所移転 佐知城村民大会。
あて先 法務大臣矯正局長
沖縄刑務所々長
沖縄県知事
沖縄県議会議長
宣言
本日ここに、われわれ知念、玉城、佐敷村民は、沖縄刑務所の知念村への移転断念要求貫徹村民大会を開催し、政府が一方的に移転を強行しようとすることに対し強く抗議することを決議した。
さらに知念、玉城、佐敷の三村議会における反対決議をはじめ、三村各種団体を網羅する知念村への沖縄刑務所移転反対佐知城協議会の反対行動並びに三村民の反対署名運動を展開した結果による意思表示等により移転反対を確認した。
よって、ここにわれわれ三村民は、総力を結集して所期の目的達成に邁進する事を宣言する。
昭和50年10月27日
知念村への沖縄刑務所移転反対 佐敷知城村民大会
スローガン
一、住民生活に不安をあたえる刑務所移転に断固反対する。
一、水源など生活環境を破壊する刑務所移転に断固反対する
一、漁場汚染につながる刑務所移転に断固反対する。
一、住民無視の刑務所移転工事強行に断固反対する。
