経済大国から福社国家へと転換する今日、政府において県内に老人保養基地の建設計画が進められていることは、あらゆる苦難をのり越え社会のために尽力された老人の方々の福祉増進に果す役割は多大にして最も時宜を得た事業であり、それが早期実現を期待しております。
その建設候補地として、那覇の東方約12キロメートルの地点の佐敷村字新里後方台上に十万坪余の小高い丘があり、終戦直後は民政府が位置し行政の中心地になりその後米軍通信隊が使用していたが、返還後は遊休地になり今跡地利用を思案しているところである。当地は夜明けが丘と名づけられ、眼下に湖の如き馬天港、東に雄姿を誇る宿納山、西南に広がる南部一帯を遠望する風光明媚な場所にして縦断する完全舗装道路で県道137号線と大里村を連結し、至って交通も便利で立地条件に恵まれた所であります。
よって、老人福祉施設の設置には他に類のない最適の地として、南部振興会、市町村会、南部地区市町村議会議長会でも南部の候補地として全会一致で決定を見ており、この際関係機関の格別なるご高配を賜り、是非とも静かなこの絶景の地に同施設を建設していただきますよう要請いたします。
昭和50年5月28日
財団法人 南部振興会 会長 伊敷喜蔵
南部地区市町村会 会長 伊敷喜蔵
昭和50年6月4日
南部地区市町村議会議長会 会長 屋宜宣貞