「佐敷村は公共施設が全くない老人の生きがい施策としての保養施設はぜひ誘致すべきである」-と3月定例会で満場一致で誘致決議をした佐敷村議会は、5月には老人ホーム調査特別委員会を設置。特別委員7人を専任、千葉市へ調査派遣した。調査は当核保養施設の受入れ及び運営などの実態把握することを重点に、国立ではじめての厚生年金休暇センターに投宿して行なわれ、この程調査結果を報告した。それによると今回佐敷村が誘致計画を進めている保養施設は、老人福祉のみならず広く社会福祉の増進に大きく寄与するものであり、英断をもって誘致すべきである。その誘致は、村の機関を動員しさらに南部振興会、議長会の賛同を得て強力な体制をもって運動に突入しており、執行当局が陳頭に立ち村民が一心に協力し、精力的に推進するよう万全の策を講じなければならないとしている。
調査団は、神谷正雄(委員長)、上原忠一、嶺井新大郎、仲村安正、吉田高徳、山城健青、城間光得の各氏。
去る5月6日第170回臨時議会において、閉会中継統調査の付託を受けた「総合老人ホームの実地調査についてはこのたび調査を終了したので、関連した事項とともにあわせて次のとおり報告します。
一、調査の経過
本委員会は、3月定例会における総合老人ホーム誘致の要請決議にともなう調査派遣であり、当該保養施設の受入れ及び運営などの実態把握することを重点に調査した。5月8日に千葉市を訪問し、任地の「国立厚生年金休暇センター」に3日間投宿して、各委員が直に感触し、支配人による全施設の視祭及び詳細な説明を受け、質疑を行ない、二回の委員会において種々検討協議して結論を出した。
二、調査の結果
この施設は、国立で初の厚生年金福祉施設であるが、去年7月から開所した大規模なもので、親子三代が共どもにのんびり遊べる憩いの広場であり、お年寄りだけでなく子供や若者も家族づれや団体も気軽に楽しめるように設備され、別に弊害はないようである。
(1)場所は、千葉駅から6キロメートルの仁戸名町にあって、郊外の平坦部で周囲は民家が集落した静かなところである。
(2)用地は、四万坪余であるが当施設を運営している財団法人厚生団(別に病院経営)が以前から有していた土地である。
(3)設備は、総合レジャーセンターのようにすべてが完備されており、日帰りや宿泊での会合や保養などに地元は勿論、県外からの利用も盛んである。
(イ)センタービル五階が正面に構え、ビル内にはホテル、レストラン、喫茶、大広間、会議室、娯楽室、宴会場、大浴場があって会社、学校、各種団体、グループの会合、研修、娯楽などに利用されている。
(ロ)有料老人ホームが五階建の二棟あり、トイレ、流し、サンルーム付きの独身用と夫婦用の室、食堂、談話室、面会室、浴室、医務室などが完備され、老後を快適に過し毎日楽しい行事や教養、趣味のクラブ活動が盛んである。
(ハ)体育館は、バレー、バスケット、バドミントン、トレーニングルームなどが完備され、会社や学校などのクラブやママさんクラブのトレーニングにも広く利用されている。
(ニ)その他、子供用と一般用のプール、テニスコート4面、子供の広場、大駐車場などが設備されており、野外劇場、アーチェリー、ゴルフ練習場が建設計画中である。
(4)従業員は、技術面は業者に委託し、専門職員は中央から5人派遣されているが、一般職員40人とパートタイマー30人は全員が現地採用である。
(5)建設費は、国の負担で本工事費を全額まかなっているが、千葉県が造園事業の費用を寄附し、老人学級の開設費用を負担し、干葉市が、野外劇場の建設費を寄附し、県知事個人が送迎用大型バスも寄附されている。
三、委員会の意見
(1)この施設は、不遇な老人を収容するのでなく、親子三代が共に楽しむ憩いの広場であり、住民に精神的、物理的な面で直接、間接に多大な恩恵に浴するものと信じ、この際に英断をもって誘致すべきと認む。
(2)その場所は、自然社会との触合いが肝要であり、都心に近距離であることが望ましく、本村の予定地がそれに適合し、景色や環境もあわせて条件に恵まれており、新らためて類のない最適の地たることを認む。
(3)その用地は、最低限三万坪を必要とし、土地の確保が先決であり、土主と地元民の暖かいご理解と積極的なご協力を仰がねばならないし、当局は事前に了解を求め善後策を講ずるよう真剣に取組むべきと思う。
(4)その誘致は、村の機関を動員し、さらに南部振興会、議長会の賛同を得て強力な体制をもって運動に突入しており、執行当局が陳頭に立ち村民が一心に協力し、精力的に推進するよう方全の策を講ずべきと思う。