「自然に恵まれた佐敷村に国立老人保養施設(総合老人ホーム)の建設を」―と連日、村民ぐるみの誘致運動を展開している佐敷村では、12日午後4時から新里公民館前広場で村民大会を開き、誘致実現までさらに強力な誘致運動を繰り広げることにしている。
すでに6日には建設予定地の新里で地主総会を開き、村の誘致方針を全面的に支援決定するなど大きな盛り上りをみせている。
この日は村内の各種団体をはじめ、各部落から大幅な動員があるほか、南部選出の県議会議員、市町村長も出席、連帯のあいさつがなされる。
大会では、同老人ホーム誘致についての趣旨説明とこれまでの経過報告。村議会老人ホーム調査特別委員会の調査報告、各種団体の意見発表があり、老人ホーム誘致決議、宣言決議を行い県に訴えることになっている。
県では近々誘致先を決定する段階にきているといわれ、現在佐敷村の他に読谷村が名乗りを上げ激しい誘致合戦を展じているが、佐敷村はこれまで公共施設がない。特に新里台上の建設予定地は風光明媚で国の示した条件にことごとくマッチしていることを挙げ、村民大会を決起に内部体制をさらに強め是が非でも老人ホームを誘致することとしている。
国立総合老人ホームは、厚生年金特別会計の祉会福祉整備費で建設し、財団法人厚生団が運営に当たるもの。単なる老人ホームでなく、家族が来所しても一緒に楽しめるように、運動施設、宿泊施設児童園などレジャー施設を併設した総合福祉施設で、親(老人)、子、孫三代のコミュニケーションの場をねらっている。
厚生省の計画では、48年度から5ケ年間に全国に20施設を配置する予定。各県の誘致合戦は激しく、これまで千葉県が最初に施設を完成させたのをはじめ、50年度までに秋田など8県が誘致に成功し基本計画の策定を行っている。沖縄県の場合は51年度誘致をめざしており、厚生省の基準である①都市に接近し、交通の便がよく、施設の利用度が高い。②土地の公有化のメドがつくこと。③用地周辺の乱開発のおそれがないこと-の点を考慮して候補地決定を急いでいる。
佐敷村が誘致を予定している場所は字新里の旧民政府、米軍通信隊跡一帯の通称「夜明が丘」。同地域は約十万坪の広大な面積で雑木林もある小高い丘になっている。眼下には馬天港、中城湾をはじめ南部一帯が遠望できる風光明媚なところ。近くには大里按司の墓、佐敷ゆうどれ、文化的価値の高い古墳が多く、那覇市にも近いところから老人のいこいの場として最適である。
佐敷村ですでに老人ホーム誘致のため本土の国立老人ホームの調査研修も行った。さらに南部振興会、南部市町村長会、南部市町村議長会でも佐敷村への老人ホーム誘致を全会一致で決定、県に要請した。6月には、村、議会、老人クラブ、区長会、婦人会、青年会など村内各種団体を網羅した誘致促進期成会を発足12日には誘致促進村民大会を開いて村民ぐるみの誘致運動を繰り広げることにしている。