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村職労が労農支援 農協職労と共闘で

キビ作農家の負担を軽くして、危機にひんしている基幹作物を守ろう-と村職労(真栄城玄盛委員長)、農協職労(山城孝正委員長)は、去る2月の12日から8日間にわたって、組合員を動員して、キビ刈り支援に乗り出し、農家から感謝されている。
この職員による援農活動は、全員が年休行使で実施し、村の業務が停滞することのないよう配慮された。また、組合員自ら弁当も持参、農家へ負担をかけないよう配慮された。
同労組では、キビ刈り作業は、単に農家の支援や手伝いという位置づけにせずに、組合員ひとりひとりが農家と一諸に労働するなかから、農業問題のきびしさ、今後の課題について、どう関わっていくかという主体的な取りくみ。
もちろん、今日の農業問題は、村職員の一日の援農活動でどうなるということではないほど深刻であり重大な問題である。村職員が農民のなかへ入り、対話し、実際に働くことによって、農業の実態や農家の現況を理解し、新たなる接点として、それぞれの職場をとおして、村民に奉仕するということを再認識する機会でもあるということです。

待たれる基盤整備 村も基本構想の策定急ぐ
こうした、深刻な農業を、どう回復し、発展させていくか。村当局、農協は真剣に考えている。これまでにも農業基盤整備を重点施策として、農道、排水の新設改良を図り、キビの新植奨励金、機械力(トラクター)の導入による古株更新、ガイダー防除など生産性の向上を図るための事業が行なわれた。
畜産振興にしても、仔牛生産補助金、優良繁殖牛、豚奨励費を大巾に増額するとともに、畜産共進会、懇談会を積極的に推進し、家畜農家の経済確立を図ってきた。
しかし、それでも結果は数字が示すとおり、かんばしくない。
確かに国の進めてきた経済優先政策による乱開発、土地買い占め国際的な石油危機から派生した狂乱物価は、特に農村社会をおびやかし、脱農現象をより深刻なものにしている。そこには村だけで解決できない問題も山積しており、やはり県、国段階での農業施策の必要性が促されている。農業人ロの減少、耕地の放棄、農家自体が農業生産物への依存度を高めていくといった佐敷村の農業をどう蘇生させていくか。山城時正村長は「農家の経済生活を安定させるためには機械化を前提とした基盤整備が必要である。このためには
①農生産母体である農地の集団化(構造改善や土地改良)、農道網の整備、農業水利の整備。
②農業の協業化による機械化の導入。
③農産物流通機構の合理化など生産基盤の整備および近代化施設の整備を積極的に推進し、生産性の高い農業の展開を図りたい」との方針。
そのバックボーンとなるのが昭和49年度を初年度とする農業振興地域整備計画だ。現在それへ向けて農用地の線引作業が行なわれている。それにともないモデル地域の設定、重点振興作目の選定、さらに近代化施設の整備を行なっていく。重点作目はこれまでの社会的、自然的土地条件などからサトウキビを中心に、肉用牛、養豚、野菜などを組合せた複合型、多元化が主流をなすものと考えられている。しかし、肉用牛、養豚、野菜などについては専業化が可能であり、計画的な団地造成を誘導しつつ多頭飼育による効率化と合理的な生産体制の確立を図る。またサトウキビについては、土地基盤整備の立ち遅れからくる生産性の低さは見のがせないとして、総合的な基盤整備と併せて大型機械を中心とした部問的協業が考えられている。なかでも、重要視されている野菜、花キ類については、都市近効園芸地域としての位置づけと生産農家の拡大、近代化施設の整備を急ぎ自立経営指向農家を中核に生産組織を図り、農家所得の向上を促がす。さらに市場の確保、流通機構の合理化については村農協とタイアップして進めていく方針である。これらが軌道に乗れば一戸平均、年間200万円から300万円の所得目標も夢ではないとしいる。
とはいえ、前途はきびしい。佐敷村の農業をとりまく状況はけして容易ではない。農業基盤整備が遅れ戦前そのままの“コマ切畑”が多い。依然として先祖代々の農地は手放さないという住民の考え方は、農振計画の必要性は認めながらも土地基盤整備、換地分合など基本的段階において多くの困難をともなうことが予想される。そのことはこれまでの整備事業でも大きな壁であった。国道沿いの良地でさえ多額の客土を用しなければ耕作できない状態が一つの証しである。
国、県補助による大事業も地域住民の積極的な意志がなければ逃げてしまうだろう。今後ますますそうである。大極的な立場から物事を思考することを忘れてはならない。いま一度考えてみたいものである。
さらに都市計画の一環としての土地利用計回の中でどのように位置づけするか。将来に悔いを残してはならない大事業だけに村民の声が行政の場に十分反映できるよう慎重なる配慮が必要とされる。
それに、もっとも大切なことは農振計画を村民はどのように受けとめているかである。村当局では事業策定にあたり各部落入り説朋会を催したが、参加者は少なくあまりにも感心はうすい。農用地区域の線引も、すでに県との意見調整を終え、去る21日から3月22日の間、村役場経済課で縦覧されている。異議の申立ては4月7日までとなっている。
佐敷村の農業の将来計画を策定する大事業であるだけに、村民一人一人がどのように関わり、参画していくかとても大切なことである。そこから明日の佐敷の農業が展開するのであるから。

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大分類 テキスト
資料コード 008435
内容コード G000000453-0002
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第36号(1975年2月)
ページ 1
年代区分 1970年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1975/02/25
公開日 2023/10/18