なんじょうデジタルアーカイブ Nanjo Digital Archives

危機に立つ農業 現状と今後の課題

著しい離農現象 キビ作の不振目立つ
サトウキビの刈り入れ最盛期農家はいま、猫の手も借りたいほど忙しく、休む間もない。しかし、今期のサトウキビは不作。収穫予想量は村全体で2万4,847トン。前期に比べ22%も減収の見込みだ。全収穫量だけでなく、収穫面積、単位当たり収穫量も軒並み前期を下回る予想。一方、農家は相変わらずの人手不足で収穫に四苦八苦の状態でサトウキビの危機はかなり深刻である。それでも農家は必死だ。何といってもサトウキビは本村の基幹産業であり、伝統農業の代表。まだまだ農家収入の大きなよりどころである。救いは、東京陳情団に集約された農民パワーの爆発で、生産者価格がトン当り1万5千円になったこと。これまでの経済優先から農業振興を基盤とした“心豊かな生活”がクローズアップされてきたことだろう。しかしながら、有望視された畜産でさえ飼料高騰と価格の下落のハサミ打ちに合うなど農業をとりまく現状はとても厳しい。農業の危機だとか崩壊だとかいわれている。こうした状況を踏まえて、山城時正村長は、いち早く、49年度の重点施策として農業の基盤整備の推進を図った。農道や河川、排水の新設改良事業を進めるなかで、初めて農業振興地域整備計画に着手、佐敷村の今後の農政に本格的にとりくむことにしている。それは多くの村民が期待するものであり、同時に農家が活気を持って生産に専念できる施策でなければならない。そこで村の農業の実態を示すとともに、その振興に村当局がいかに対処しているか見ることにする。

佐敷村の今期のサトウキビ生産量は2万4,847トンの予想、前期の3万1,829トンより6,982トン(22パーセント)の落ち込みをみせ、5年前の3万7,420トンに比べると1万2,573トン(34パーセント)の減となっている。
また、10アール当たりの収穫量は昨年1万327トンに対し今期は8,330トンとこれまた19.3パーセントの減をみせている。
ブリックス(糖度)は15日現在17.6度と低く、昨年同期の19.4度より1.8度低くなっている。
収積面積は昨年実績で308ヘクタール(924千坪)あったのが今期は298ヘクタール(894千坪)で10ヘクタール(30千坪)の減、五年前の351ヘクタール(1053千坪)に比べると異常な衰退ぶりである。
今期キビの減収、ブリックスの低下について関係者では、①生長期の5、6月に雨が少なかった。②7月の台風襲来。③成熟期の9月以降に雨が多く、芯腐れによる側芽などが多かった。④暖冬などの気象条件をあげ、加えて就農者の減少がいちじるしく農耕地が放置され収穫面積が減ったことに起因しているとみている。
次に畜産の状況を見ると肉牛、養豚にしても次第に増へつつあるが依然として宅地内の少頭飼育が多い。畜産組合が結成された昭和45、6年頃からは畜舎の改善品種改良と多頭化に向っているが他町村に比べるとまだまだその経営規模は小さい。

また、農業動向をみた場合、佐敷村は総面積1,028ヘクタールで、戸数は1,870戸。そのうち農家は841戸で村全体から見れば約4.5割が農家である。しかし他町村に比べて総面積は小さい。したがって耕地面積も約430ヘクタールにとどまっている。経営耕地規模では0.5ヘクタール未満の零細規模の農家が依然として多く、全体の約7割をしめている。
農家戸数では、昭和40年の1077戸が昭和47年では951戸となり126戸の減。
これを専兼業別に見ると、昭和40年では専業208戸、 第一種(農業を主とする兼業)126戸、第二種(農業を従とする兼業)743戸であるのに対して、昭和47年では、専業115戸、第一種74戸、第二種762戸となり、専業、第一種一が大巾に減少して第二種農家が増加している。つまり、このような“籍庭”式農業が、農家の零細化に拍車をかけ、農家自体が農業生産に依存するという状態が増えつつあるわけだ。このほか就農人口では昭和40年から47年までの7カ年で約4.7割480人が減少、さらに少年層、老年層の構成比が大きくなっている。

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大分類 テキスト
資料コード 008435
内容コード G000000453-0001
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第36号(1975年2月)
ページ 1
年代区分 1970年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1975/02/25
公開日 2023/10/18