なんじょうデジタルアーカイブ Nanjo Digital Archives

年頭のあいさつ 昭和50年元旦

昭和の半世紀を区切る50年の年頭に村内各界から新年の賀詞が寄せられました。
卯年の新春にふさわしく、郷里の各方面で活躍しておられる方々の郷士愛は、新しい年を迎えていよいよ濃く深く、村の発展と向上に燃えています。おめでとう!みなさま。

学園作りの三要素 佐敷小学校長 辺土名朝宏
明けましておめでとうございます。
旧年中はいろいろお世話になりまして、誠に有難うございます。
今年度もよろしくお願い致しますお蔭様で昨年度は教師、児童、みんなが元気でたのしい学校生活を送ることが出来まして安堵しております。昭和50年の新春を迎えるに当り、校長としてこうありたいと願いをこめて以下のことを披瀝致したいと思います。
それは、一言で申しますならば「楽しい学園」でありたいということです。児童や教師にとって楽しい学園とは一体なんだろう。それについて、いろいろの捉え方があろうかと思いますが、私は次の三点にしぼって考えてみたいと思います。
「よい教師」 「よい施設」 「よい環境」
子どもたちの成長と発達を学校教育の中で捉えるならば、その指導に当る教師の如何にかかわることは申すまでもありません。よき教師に指導育成されて、はじめてよい子が出来ると思います。それでは良い教師とは一体何だろう。
よい教師とは、人格、識見、情熱愛情等いろいろの要素が含まれますが、とにかく日々自分自身の向上をめざし、愛情あふれる教師をめざして努力する人ではなかろうか。こういう教師集団をめざして校長を中心に、一歩一歩前進して行きたいと願うものであります。
しかし、如何に優秀な教師がそろっても子どもたちの学習に必要な施設、設備等がなければ教育の効果を期待することは出来ません。この点、教育委員会や村御当局の御理解と前向きの姿勢が教育の村「佐敷」にふさわしく教育行政の面に顕著に表われております。それを実証するものとして教育予算や教育委員会等教育関係の協議の中に学校の意見が十分に尊重されていることでも明白であり、校長としてほんとに有難いことだと関係者各位に対し敬意と感謝を表する次第であります。
新年度早々私たちの待望しておった特別教室棟及び給食受入棟が見事に完成の域に達しつつあります。今までのように普通教室を便用してその機能が充分に果せなかったのが解消することになるでしょう。一方、給食物資がお粗末な仮小屋の中で我慢しておったのが理想的な場所に移され安心して児童の体位、体力の向上に大いに役立つものと喜んでおります。
次に環境については公害・破壊等沖縄だけでなく本土各地でもいろいろ話題になり所によっては裁判沙汰になっておる所もあり、目下政治問題の焦点にもなっております。ほんとに住みにくい国土に変りつつあります。その中にあって我が佐敷村においてはそれ程の問題はありませんが、波及の恐れもありますので住民一丸となって防止等に頑張らねばならないでしよう。
一方学校内は学園にふさわしい環境として今後公害発生の予防を強化すると共に年中草木の中にとり囲まれ、百花爛漫と、環境維持に努力しております。このたび校舎建築で荒された周辺の整備が計画されており竣工と同時に手をつけたいと考えております。簡単に本校の新年度の抱負の一端を申しあげましたが、最後に今年も皆様とともによき年でありますよう念願して年頭のごあいさつと致します。

いい正月でーびる 佐敷中学校長 平田喜長
「明けましておめでとうございます」
今年もすばらしいよい年でありますよう心からお祈りいたします。
「新しき年のはじめの朝ぼらけ 生きとし生ける心はげまん」
斉藤茂吉先生の心境は、やっぱり万人の心の中に生き永遠に新年を寿ぎ幸多かれと祈る心の生々さはたとえようのない喜びを感じます。幼い頃「いい正月でーびる」と各人各戸毎を訪ねるごとに、威儀を正してうやうやしくあいさつを交したことを無性になつかしく覚えるものです。まずもって新年のあいさつおめでとうを提案いたします。
現代ッ子は、あいさつができない。あいさつのよさを知らないどころか、一文の価値さえ認めてくれないような気がしてならない。
現代ッ子は、新しいことをのみよいことで古いものは何につけ時代おくれのような錯覚をおこしている。「温古知新」古きをたずねて新しきを知る。やはり味わいのある言葉です。
元日を祝って、しっかりとおじぎをし、きちんとあいさつのできる環境づくりを、まず声高らかに「おめでとう」を家族そろってお祝いしよう。そして本年の計画の1つにしよう。「おはよう、こんにちは、こんばんは、さよなら、ありがとう、すみません」この6つの言葉を習慣づくまでになったら、「あいさつは文化の始まり」とあります。明るく、朗らかで楽しい住みよい社会にするための、最少限度のエチケットですのに、おろそかにされるとは何につけ悲しいこことと存じます。快よいあいさつをおくり、快く相手に受け入れられる喜びは誰もが知るところですのに、心せわしい世の中だからでしょうか。他人はどうでもよいとのことでしょうか。然し自分とは、他人がいての自分ではないでしょうか。人間は感情の動物です。
誠意のあるあいさつで意志と意志、感情と感情のよりよい人間味が豊かに深められ、広められ楽しい生活ができると信じます。
ついでですので、学校の喜びをお正月の喜びとしてお送り致します。本年度は沖縄一を3つも得ました。よくやったと喜びに学校は湧いています。既にご存じのこととは思いますが、敢えて申し上げます。うれしいからです。全沖図書館協議会主催の読書感想文で、中三年の久田利恵子さんが最優秀賞。
全沖PTA主催のお話し会で、中三年の知念俊明君が最優秀賞。
琉球新報社主催の全中学校新聞コンクールで最優秀賞を獲得しました。
体育面がすぐれ、文化面がおとる感じで遺感に思っておりました矢先に、はからずも3つもらえましたことは前代未聞のできです。
本人の喜びはともかく、ここまで育てあげた学枚のこの上ない名誉と存じます。これ偏に、教育環境で佐敷村の美しい環境の下に育つ子らの誇りと信じます。では皆さんの健康と幸福を祈って新年のお祝いの言葉といたします。

元日の手前味噌  生改グループ会長 津波公子
村民の皆様明けましておめでとうございます。祖国復帰をして早や3年目の年を迎えますが、私達村民の生活は物価高や、インフレ等にみまわれ、毎日がきびしい生活を強いられいると思います。そういう中で私達佐敷村生活改善グループ連絡協議会では1952年発足して以来、現在にいたるまで、全員相互や村民の生活に役立てていただけますよう頑張って参りました。ひとえに村当局の御援助と、村経済課、普及員さんの御指導と先輩方や会員の協力のたまものだと感謝申し上げます。当村では、八部落のグループがあり、会員数は169名です。私達佐敷村生活改善グループ連絡協議会は毎月2日、定例役員会をもち、年間の事業計画案どうり事業を進めて参りました。日本復帰はしたものの、あらゆる物価は日1日と上昇しインフレにおいこまれ、私達主婦は毎日の生活や家計のやりくりでせいいっぱいです。グループ連絡協議会では、特に事業の重点目標といたしまして、勤労者としての健康を維持するために3つのスローガンをかかげました。(1)家庭菜園の設置 (2)自家生産物の高度利用 (3)公害のない食品の確保、この3つのスローガンを目標に、支部会長を通じて、自家生産の味噌をしこみ、また保存食や農産加工など、沢山つくりまして、村の展示会に出品し、そく売会を催しましたところ、強化味噌は栄養価が高く無添加物で村民の方々から大変よろこばれました。今後私達生活改善グループ連絡協議会は村役員と支部の役員、会員が一体となって公害のない安心して食べられる家庭菜園や自家生産物を充実させ村民に普及をおよばすように会員と共に頑張りたいと思います。最後に御指導と御協力をお願い申し上けまして私の拶挨を終ります。

農業振興に本腰を 4Hクラブ会長 屋比久保宏
明けましておめでとうございます。
本村にも4Hクラブが、南部農業改良普及所、改良普及員石川氏や、農協、村役場経済課等の協力のもとに去った5月に4Hクラブなるものが結成されました。
4Hクラブとは簡単にいいますと、農業従事者青少年のことで地域住民の園芸振興及びその他の農業園芸事業活動を推進し促進するクラブのことをいいます。
現在部員が少ないのと予算の問題等で思い切った活動はできませんが今年から村及び、県の緑化推進運動等と歩調を合わせて頑脹るつもりであります。
東風平村や糸満市等ではこの4Hクラブが中心になり、野菜の本土出荷等が課題としてとり上げられすでに実現に至っております。
我々部員も現在5人しかいなく活動そのものは農研クラブや生改グループ等の協力を得ないとできない現状であります。もっともっと村政や農協等が農業問題を重点目標にかかげれば、いろいろな活動、例えば即売会や野菜栽培等の要点及び花き花木の繁植栽培の講習会等、スムーズに組めると思いますが如何せん弱小クラブのかけ声だけで農協や村のおエラ方には響きをもたないのが現状であります。
しかしながら、我が弱小クラブも近い将来の目標として花卉類、野菜類の本土出荷を計画し、少ない部員ながらそれぞれの専門分野で力いっぱい努力して居りますので、必ずや実を結ぶものと思われます。村民諸兄の暖かい目で、この前途有望な若い青年達な育て、単に4Hの問題としてではなく、村民各人の問題として前に上げた「近い将来の目標」を現実のものとするために頑張って行きましょう。
それから、昨年7月8日の展示即売会には多数の参観者にいらしていただき、まことに有難うございました。(ただ残念なことは村の議員が村の行事にわずか数人しかいらしてもらえなかったということです。)
今年は前回の数倍の規模で開催できるよう村民とともに参加できるようお願い致します。また、来春には4Hクラブ主催の即売会も計画致しておりますので御期待あれ!我々のスタッフは次のどおりです。今年もどうぞよろしく!
「会長」屋比久保広 字佐敷
「書記会計」平田辰雄 字佐敷、真栄城守利 字伊原、玉寄兼雄 字伊原、屋比久吉光 字仲伊保

婦人の力で村興し 婦人会長 仲本恵美子
謹んで新春のお慶びを申し上げます。昭和50年の輝しい新春を迎えまして、村民の皆様、婦人会の皆様の御発展を、心からお祈り申し上げます。かえりみますと早や1年村婦人会長に推選され任務の重大さに戸惑いました。いろいろな問題につきあたりながら、先輩の御指導と会員の御協力により会活動をつづけてまいりました。今や社会情勢は、その変動がはげしく、変革の時代とか、断絶の時代、情報化時代、といわれています。従って主婦の座も、ともすればゆらぐことが多く、マイホーム主義だけでは世の中進歩についていけないことになります。そこで私どもは、社会的に協力し文化の進歩に遅れないように心がけなければならないと、思います。まず1年の足跡をふり返ってみますと、会員の御協力の上に、いろいろな行事を進めて参りましたが中でも婦人まつりは、主張大会、展示会、レクレーション、試食コーナーなどを設けて、若い方、年輩の方々の魅力ある学習の場として大へん喜ばれました。婦人バレー大会、他村との交歓会、料理講習会、幹部研修婦人学級、それに主婦の健康と重点目標として年2回ガン検診を行い、昨年は1人でも多く検診してくれるように半額負担で実施して参りました。
いろいろな行事を終らす事が出来ましたがこれも、会員の皆様の結集の賜と、喜びを深くしております。申すまでもなく、婦人会は、家庭の仕事を担う主婦の集団で、家庭と、会活動を、両立させるためには大きな勇気と、努力が必要だと思います。また社会の進展に伴い、いろいろな問題が山積されております。こうした諸問題も語りあい考え合って解決の道を、開き一歩一歩幸せの多い地域家庭を築くこと私達会員の本命では、ないでしようか。賢く愛情豊かな婦人会により家庭地域は、清潔に正しく運営されると思います。工夫し、研究し、行動する立場に私どもはあるような気がします。このような考えを持つ婦人が、1人でも多くなりお互いに手をたずさえて、生活していきたいものです。そして等しく、自由豊かに、平和に生きる人間の権利に向って進み、私どもの佐敷村婦人会がいよいよ発展し佐敷村の向上につながるように、ありたいと、希望いたします。全村民の皆様の一層の御理解と御協力を、お願いいたしまして年頭のあいさつにかえさせて頂きます。

魅力ある青年会に 青年会事務局長 佐久川政信
昭和50年を迎え、新年のあいさつを申し上げます。
沖縄の本土復帰による歴史的な新しい1ぺージとともに、新生沖縄県が誕生して2年余、いろんな意味で、せわしく厳しい歳月であった。狂乱物価による県民生活の破壊、毎日後をたたない交通戦争公害による自然環境の破壊等、どれをとってみても、明るいニュースのあまりにも少い激動の、1974年は去って、希望を託す75年を迎える。
さて、去年の青年会活動をふり返って見るに、社会の複雑化、及び混乱に相応するかのように、組織の貧困弱体化、会員相互の連帯と団結の弱さ等、年々消減の一途をたどっているのが、現在の青年会組織の姿ではなかろうか。毎年反省事項として取り上げられる行事のマンネリ化、女子会員参加者の減少等、ただただ変化のない行事消化のみに終始している青年会活動。そういうことのくり返しでは、時代の流れに、おしつぶされてしまうのも無理はなかろう。戦後、悲惨な荒廃の中から「村づくりは青年の手で」のもとに組織された青年会。たゆまない青年のたくましさでもって、地域社会の文化、意識向上に広く貢献し、今日まで受けつがれてきた青年会。そういうすばらしい歴史的な青年会組織が時代の流れとともに、停滞および弱体化していくというあまりにも悲しい現状であります。
そこで、いくつかの問題点があげられる。資本主義の高度な発達とともに、生れ出たさまざまな矛盾、マスコミ文化、娯楽の発達、これらの複雑な社会が若者を考えない青年、無気力、孤立の青年へとおい込んでいる。しかし個々で解決できない問題を青年自身が、自らの生活経験を基に、それを仲間が共通の問題としてとらえ、青年会活動を通じて共同学習し、自己の確立と共に地域社会へと働きかけていく。さらに、青年のおかれている実情、要求、関心を正しくつかみ、これを組織内に生かす姿勢を青年1人1人がつくりあげていくなどは、必ずや若者が魅力をもって参加できる。すばらしい青年会へと生ま変わるであろう。
青年諸君、今こそ青年独自の主体性をもって立ちあがろうではないか。「行動する若者になろう」
新しい年、75年を迎えるにあたり、青年会発展のために、共に頑張ろう。

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大分類 テキスト
資料コード 008435
内容コード G000000452-0005
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第35号(1975年1月)
ページ 3
年代区分 1970年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1975/01/01
公開日 2023/10/18