なんじょうデジタルアーカイブ Nanjo Digital Archives

自然と文化の調和

いま、昭和50年を迎える。今年は卯年である。十干十二支の中で「うさぎ」は一番よくはねる動物であるから、多分に今年はわが佐敷村にとっても”飛躍”の年になるものと確信する。とはいうものの、国民総需要抑制などにより昨年から全国的に経済面の苦しい状態がつづいていることは、村民各位が周知のとおりである。しかし、たとえどういうことがあろうと、村民の生活を守ってもらう村政をしてもらわねばならぬ。もちろん、自然と文化を調和させるための政策と、それは平行すべきである。ここに、行政の責任を負う山城時正村長と、議決機関の瀬底正麗議長に”新年の抱負”を語ってもらった。村民と共に歩む政治が、一層充実することを祈る。

勇断をもって推進 佐敷村長 山城時正
村民のみなさま、明けましておめでどうございます。
輝かしい昭和五十年の新春を迎えるにあたり、つつしんでごあいさつを申し上げるとともに、これまで村当局に寄せられました絶大なご支援とご協力に対し心から厚くお礼申し上げます。
ご承知のように、昭和49年は、国際的な石油危機による異状な物価高騰、品不足等で村民の生活はおびやかされ、国の総需要抑制度は我が村のあらゆる事業執行に大きな影響を及ぼして参りましたが、幸いにも村民のご協力で、明るい村づくりができる見通しがついております。
昨年をかえりみますと、まず佐敷村で初めての保育所が字新開に開園し、幼児の健全保育はもとより、年々多くなる共働き夫婦が安心して職務に専念できるよう、施設設備の充実を図ってまいりました。さらに、現在第二保育所を字佐敷に建設中であり、4月1日をめどに幼児の完全保育をめざしたいと思います。
次に、村民待望のゴミと、し尿処理の完全実施を与那原町・西原村清掃施設組合加入により、去る8月1日から開始し、生活環境の整備充実を図ってまいりました。
本事業も村民の力強い協力で順調に運営されており、さらに輪をひろげ村民一体となった清潔な住みよい環境づくりへ積極的にとりくんでいきたいと思います。 また、上水道の問題にいたしましては、手登根以東のみなさんに長い間ご迷惑をおかけ致してまいりましたが、工事もほぼ完了し、遅くとも新春からは完全給水ができるよう最大の努力をいたしております。
教育、文化の面では、教育基本施設の整備充実、教育環境の整備を重点として、佐敷小学校の特別教室、給食受入室の建築に着手いたしました。4月の新学期にはすばらしい校舎ができ上っていることと思います。
また社会教育、文化財の保護育成についても第一回佐敷村文化まつりの開催など積極的な推進を図ってまいりました。
その他、河川の災害復旧工事が11月竣工しております。津波古、佐敷地内における農道新設改良事業も急ピッチで工事が進められており、農業排水、生活排水の整備も村民のご協力により着々と進んでおります。
然しながら本村においては早急に解決すべき多くの事業が山積している中で、限られた予算で最大の効果を挙げなければなりません。そのためにも村民とのコンセンサスを大切に議会並びに関係当局との十分な話し合いを持ち諸問題の解決にあたっていきたいと思っております。
いま、私は昭和50年の年頭にあたり我が佐敷村の恵まれた豊かな自然と文化との調和をはかり、住みよい、豊かな、人間環境づくりを根底に、佐敷村の建設に邁進する決意を新たにしております。みんなで力を合わせ、あらゆる努力を積み重ねて、勇断をもって村政を進めてまいりたいと考えております。
ご協力のほどをお願い申し上げ村民各位のご多幸を祈念して新年の賀詞にかえさせて戴きます。

50年を躍進の年に 佐敷村議会議長 瀬底正麗
村民の皆さま、明けましておめでとうございます。
ここに希望あふれた新春をむかえるにあたり、みなさまのご健康とご繁栄を心からお祈り申し上げます。
不肖わたくし、昨年9月臨時議会において図からずも議長の要職を与えられ、その重責を痛感し新たな決意をもち、微力ながら円滑な議会運営と村政の伸展を念願して誠心誠意努力いたしているところでありますが、おかげをもちまして、大過なく越年することができました。これもひとえに村民皆様のご支援とご協力の賜であると心から感謝申し上げる次第であります。
かえりみますれば、祖国復帰以来3年目、法制度の移行、生活必需品の高騰、相つぐ公共料金の値上げなど複雑多岐にわたる諸問題に直面した中にあって、村執行機関はもとより当議会におきましても議権の伸展と村民の福祉増進を目ざして歩んでまいりました。近年における当村は、字新開の開発上水道の供給、保育所の開設など文化村へ前進の一途をたどっておりますことは、村民皆様のご理解とご協力を得た結果であり、喜びにたえないところであります。
しかしながら、村民生活の安定を図るには今後幾多の重要問題が山積しており、とくに懸案であった字新開の市街化、漁港の整備、中学校体育館建設などの推進、また、地域開発、都市計画による町づくり、農業振興交通安全事業、等の重点施策の確立を要し、これらの解決を図ることがわれわれに課された責務であり、関係機関と相まって最善の努力をいたす覚悟であります。
さらには、49年度産サトウキビ価格1万8千円以上の要求は鹿児島県と一体となり島ぐるみ運動を展開し、本村も農民代表23名の方がた共どもに上京し真剣に訴えたのであるが満額達成に至らなかったのであります。しかし強力折衝の労苦は報いられ大きな効果があったものと信じますし今後とも生産費及び所得補償方式へ切替えさせるべく微力を尽し頑張りたい所存であります。
昭和50年こそは、本村のよりいっそう躍進の年として、村政全般にわたり内容充実に最大の努力をいたしたいと存じますので、なにとぞ倍旧のご指導とご鞭撻賜りますようお願い申し上げます。
年頭にあたり、いささか所感の一端を述べごあいさつといたします。

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大分類 テキスト
資料コード 008435
内容コード G000000452-0004
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第35号(1975年1月)
ページ 2
年代区分 1970年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1975/01/01
公開日 2023/10/18