なんじょうデジタルアーカイブ Nanjo Digital Archives

昭和49年度一般会計 総額5億383万4千円 意欲的な事業計画 前年度より41.1%も増える

第160回佐敷村定例議会は3月15日から29日までの15日間の日程で村議会室で開かれた3月の定例議会は昭和48年度のしめくくりであり、新年度を迎える重要な定例会で、同議会冒頭に山城村長が昭和49年度の施政方針(一面)について所信を表明いたしました。今議会では新年度の予算やそれに関連する条例など21議案が原案通り審議決定された。 可決された新年度の一般会計予算は歳入歳出総額5億383万4千円で、前年度当初予算に比べ1億4663万2千円増え 41.1%の伸び率をみせている。このほか特別会計の水道、国民健康保険、新開開発の各事業を合せて総額10億2683万1千円となっている。昭和49年度の村政は、全国的なインフレによる総需要抑制、一連の物価高騰とモノ不足による財政的制約、公共事業をひかえるというきびしい条件のなかで開始されるが、村は住民福祉と教育、豊かな村づくりに必要な事業を強力に進めることにし、特に永年の懸念であった”ゴミ処理”の問題については、与那原、西原一部組合の加入が決まり事務手続が進められています。その他主な事業としては水道事業の全村給水、第二保育所の建設、小学校の校舎建設、河川、道路の新設改良、寝たきり老人対策-など福祉行政を重点としていることが注目されます。

歳入
依存財源は地方交付税の2億4500万円(歳入総額の48.63%)が大きく、ついて国庫支出金の1億5326万5千円(30.42%)村債の2700万円(5.36%)県支出金1772万円(3.52%)が主なもの。いっぽう自主財源は、村税の2599万1千円(5.16%)をトップに、寄附金と繰越金が1000万円(1.98%)、分担金及び負担金324万2千円(0.65%)、諸収入161万3千円(0.32%)、使用料及び手数料136万8千円(0.27%)、財産収入18万1千円(0.03%)となっている。
依存財源が歳入総額の89.61%に対し、自主財源は10.39%で相変らず依存型の予算といえる。

歳出
構成比別にみると、教育費の1億2926万3千円をトップに、民生費1億1698万7千円、総務費6801万8千円、農林水産業費4416万5千円、予備費4322万9千円、土木費2117万8千円、災害復旧費、2041万6千円、議会費1831万2千円、労働費、1618万2千円、人債費、980万2千円、消防費、831万3千円、衛生費531万7千円、諸支出金195万円、商工費11万円が計上された。前年度比べると教育費112.17%、災害復旧費85.53%、消防費50.46%、総務費42.10%、議会費38.09%伸び、衛生費、73.86%の減となっている。
ところで、歳出予算の内容を各項目の経費別にとらえてみると、人件費の総額が1億1708万6千円で歳出の23.23%を占めている。これに対し建設関係は1億5669万3千円で(31.10%)。その中の補助事業が1億5470万6千円(30.71%)、単独事業198万7千円(0.39%)、物件費6315万4千円(12.53%)扶助費5987万8千円(11.88%)、補助費3670万1千円、公債費980万2千円(1.95%)推持補修費783万1千円(1.55%)積立金0.48%、その他9.99%といった内容である。
執行部としては、明るい暮らし教育と文化、住みよい村づくりを目ざし予算を配分してきたが、一連の物価高騰、国庫補助事業の超過負担の影響もあって、自主財源の乏しい本村においてはかなりきびしい予算となっている。

ゴミ処理に対処 与那原、西原への加入決まる
まず村民の福祉向上と生活環況の整備については本年度は、社会福祉費2486万9千円、児童福祉費9201万5千円、保健衛生費517万1千円、消防救急業務費831万3千円など合せて1億3061万7千円が計上され、国民年金業務、老人福祉の充実、児童手当の大幅増額、第二保育所の建設、保健衛生予防医薬、消防救急業務に重点的に配分し各事業が強化されます。
特に村民が永しく待ち望んだ、じん芥、し尿処理については、与那原、西原一部組合への加入が決まりその負担金も別途に財源処置がなされている。これらの所要額を合わせると前年度を大幅に上まわることになり、福祉と生活環況の整備を主体とした村政の積極的な推進が図られます。
第二保育所の建設は年々増える児童の完全保育を実施する第二年次計画として事業費3302万9千円が当てられ、敷地を村内東側に選定して収容児童数60人を予定して計画が進められている。
又、村民の生命と財産を守る消防救急業務は去る3月に日本損害保険協会から最新型の救急車が寄贈され、本年度は新たに職員1人を増員しての強化充実が図られる。

小学校に特別教室 幼稚園では学級増設
教育、文化の面では1億2926万3千円を投資し、小、中学校、幼稚園の施設、教材の整備をはじめ小学校の特別教室の新築、社会教育、文化財保護の振興給食施設の改善など教育施策の積極的な推進が図られます。
小学校特別教室は工事費6291万9千円で、管理、特別教室675㎡(理科室、準備室、備品室、保健室、職員室、応接室等)給食受入室、148㎡となっている。
これまで管理室、特別教室は普通教室を転用しているが本来の機能に合った施設を完備することにより教育効果の高揚を促がすものである。特に特別教室に合った準備室、備品室や屋内便所を設けることにより、時代に適応したより豊かな教育環況の整備充実を考慮している。また佐敷中学校の移転により譲渡された広域に広がる校舎を将来に向けて整備統合するうえからも大きな期待がかけられている。(将来二階の今回一階)
給食受入室の新築は、完全給食の実施により学校現場における給食受入室の整備が急がれ、児童の給食指導の面、衛生面からも十分検討し計画が進められている。特に短い給食時間に多くの児童が、スムーズに給食の準備ができるよう設計されている。着工は7月予定。幼稚園教育では、新たに一学級を増設しその強化が図られます。
社会教育、文化財保護の面では母親学級、家庭学級、老人学級、青年教室を開設し、佐敷村に残る数多くの文化遺産の保護育成の促進、村独自の文化講演会などが予定されている。
 その他、行政の執行態勢を強化するため職員の研修、窓口改善、行政懇談会が計画されています。

生産性の向上を 農地利用の線引始まる
農地利用の線引始まる
一方第一次産業の奨励については、生産に喜びと生きがいを持ち安心して生活が維持できる農業の育成をめざし、基幹作物であるキビの古株更新補助金、新植補助金の増額、病害虫の防除など生産性の向上を図るための事業が推進される。また、都市近効農業としてそ菜、花木、園芸などを中心とした市場性のある作目の栽培を奨励するため、今年度から新たにビニールハウスの設置補助金が計上されている。
 畜産業費は、仔牛生産補助金、優良繁殖牛、豚奨励賞を大巾に増額するとともに、畜産共進会、懇談会を計画し家蓄農家の経済確立が促進されます。水産業費にはディゼルエンジン購入費補助金が計上されている。
今年度は特に、農業振興地域指定による①農地利用計画、②かんがい排水施設、農道、農地保安施設等の整備、農用地の造成等農業生産碁盤の整備開発に関する計画③経営規模の拡大、農用地の集団化等を円滑化する計画、④農業近代化の整備計画を重点とする総合的な振興計画の策定が着手されます。

建設事業の促進 農業の基盤整備を重点に
つぎに生活環況の整備を主体とした建設事業の促進、農道舗装などの農業基盤整備と農林水産事業の振興を図るため本年度は、土木工事費2117万8千円、災害復旧事業費2041万5千円、農林水産事業費4416万5千円が計上してある。
主な事業としては、①佐敷農道新設工事、②津彼古、小谷間の農道改良工事、③津波古、新里間の護岸復旧工事、④小谷の道路標識ガードレール設置工場、⑤生活排水補助事業、⑥村道、橋架の維持補修、⑦浜崎川の改良工事の推進など意欲的な事業計画がなされている。その他失業対策事業費として1618万1千円を計上、失業者の救済と、村道と隣接する側溝の整備事業が進められる。
しかしながら財源が欠しい本村にあって一連の総需要抑制、建築土木費の単価高騰は財政運宮に大きな影響を及ぼし、年々増大する村民の要望に応えることは困難であるとしながらも引続き年次計画による整備充実を図ることとしている。特に整備が遅れている生活排水工事については将来に向けての抜本的な対策が望まれており、今後は道路改良工事と平行して環況整備を主体とした基盤整備を強く推進することになる。

ダウンロード
大分類 テキスト
資料コード 008435
内容コード G000000450-0005
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第33号(1974年6月)
ページ 3
年代区分 1970年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1974/06/25
公開日 2023/10/18