最近、青少年のいわゆる「シンナー遊び」が大きな社会問題になっています。
シンナーやボンドなどの有機浴剤制品を乱用する「シンナー遊び」は全国的に広がりこれに関連する非行や精神異常死亡事故が目だっています。
「シンナー遊び」が問題にされだしたのは昭和42年ごろからですが、その後青少年の間に急に広がり、警察に補導される少年が昭和46年にはほぼ5万人になっています。シンナーなどの乱用のため死亡した少年も昭和42年から46年にかけて220人を数えています。シーナーボンド・セメダインなどの有機剤制品は今日では広く産業や、一般家庭、学校などで使われていますが、そのなかには毒物、劇物に指定されている成分がかなり含まれています。これらの成分は脂肪分を溶かす性質を持ち、いろいろな内臓に障害を起こしますし、エーテルの20位から30位という強い麻酔作用を持っているために少し吸っても酒に酔ったような気分になり、理性や自制力が麻ひして乱暴な行動が多くなり、非行を犯したりするようになります。そして乱用を繰り返していると中枢神経が冒されて精神障害を起こし、ついには呼吸麻ひなどのため死ぬようなことになりますシンナーなどの乱用で補導された少年の実態がどのようなものかを見ますと、年令では14才から乱用が始まり、17才が最も多く、ついで16才、15才、18才、14才の順になっています。
シンナーなどを吸い出した動機は、友だちから誘われたとか、仲間が吸っているのを見て好奇心から吸い始めたとかいうものが大部分を占めています。補導された少年の約30パーセントはなにかの非行を起しているというデーターが出ていますが、一般の非行少年に比べて、ぐ犯と性的犯罪の多いのが特徴です。こういう少年に対しては、家庭や学校、職場だけでなく警察、児童相談所、家庭裁判所などによる生活指導、カウセリングや、家庭内の問題の解決、非行グループの解体などの専問的な努力が必要です。シンナー乱用の少年には孤独で、自身がなく無気力で、性格に問題のある少年が多く、シンナーなどのほかに、睡眠薬、覚醒剤も、いっしょに乱用しているものも見られます。長い間の乱用のために、さまざまな病的な精神症状を示し、内臓の障害を起こしているものが多く、医療的な措置を必要とするようになっています。このような乱用の害の恐しさを説きシンナー遊び」をなくそうとする努力は社会全体が協力し合ってこのような危険な行為を一日も早くなくするようにしたいものです。
(総務課)