拠出制(自分も掛金をする)国民年金法の施行に伴い、20才以上則として、この年金法の趣旨に基き必ず加入しなければならない即ち強制的国民年金制度であります。
なぜ強制的にこの年金に加入しなければならないかを後の「制度のあらまし」で申し述べますが、先づ1口に云えますことは、何かの不幸に遭遇した場合、或いは老いて働けなくなった場合に誰でも安心して生活ができるように、若い時から又、元気で働ける時から、無理のない掛金によって蓄積して備えようというのが、この強制的国民年金制度のねらいであります。このような有難い年金制度に該当者全員がモレなく加入していただくために、琉球政府社会保険庁では、このことについて「チラシ」を各家庭に配り、その周知方を計っていますが、まだ該当者の皆様が充分ご理解になってない感がいたしますその証拠に本村では去る9月4日から日割によって各公民館でその資格届のための印を徴していますが、届出をしていただく方々が少ないので、役所の係では大変困っています。
係では、その都度充分ご説明を申し上げているつもりですが、どうしてもお判り難い点は質問していただき、ご理解くださいますようお願いいたします。なお、届出をまだなさってない方々は、早目に印鑑をご持参になって資格届をしていただきますようお知らせいたします。
では、ここで拠出制国民年金について、先づ「制度のあらまし」から申し述べてみましょう。
一 制度のあらまし
私達は唯も一生を楽しく幸わせに過したいと心から願っておりますが、年をとったり、けがや病気で十分働けなくなったり、一家の働き手である主人に死に別れたりして不幸になることが多く、世の中はなかなか思うようにならないものです。このような不幸をなくし、明るい幸わせな暮らしを築くために生れたのがこの国民年金制度でありますすでに、公務員には公務員退職年金制度が、学校の先生方には公立学校共済組合制度があって、これらの年金制度によって老後の生活は心配なく保障されていますが、そのほかの人たちはこのような年金制度から取り残されていました。
そこで、会社や工場などに勤めている人たちには厚生年金保険制度がつくられ、これと同時に農林業や漁業、自営業を営んでいる人たちや、5人以下の従業員を使用する事業所で働いている人たちには国民年金制度がつくられました。
そうして、国民年金制度への加入の届出が1969年7月1日から開始されています。この国民年金制度は、この制度に加入する人々が掛金をかけておき、将来一定の条件になったときに掛けた金額に応じ年金が支給されるいわゆる拠出制の年金が基本になっています。
しかし、現在すでに、老齢の人、身体に重度の障害のある人、あるいは母子世帯の人は、掛金を納めることができませんので、このような人たちは、掛金のいらない福祉年金がもらえます。また年金制度に加入して掛金を納めている人でも、一定の条件の掛金をかけないうちに重い障害や、母子及び準母子世帯になったときも福祉年金がもらえるしくみになっています。なぜ国民年金制度のなかに掛金のいる年金制度と、掛金のいらない福祉年金制度があるかと申しますと、私たちは、老人になったとき、けがや病気をして身体障害者になったとき、あるいは夫に死に別れ、子供を養育していかなければならない状態になったときのことを考え、十分働ける若いときに自分の将来のためにいまから困らぬように準備しておくという生活態度が必要だからです。
掛金をしない福祉年金だけにしますと、政府は大変多くの費用がいることにたり、将来老人が増えて年金をもらう人が多くなりますと、その負担に応じられない場合ができて年金制度が続かないようなことになってはならないからです。
二 被保険者
国民年金には必ず加入しなければならない強制加入と、本人の希望によって加入できる任意加入とがあります。
1 強制的に加入なけれならない被保険者
沖縄内に住所を有する20才以上60才未満の日本国民はすべて強制加入の被保険者となるのです。
ただし次の人々は強制加入被保険者から除外されます
(ア) 厚生年金保険法
公務員退職年金法
公立学校共済組合法などの被保険者、公務員または組合員とその配偶者
(イ) 廃疾、死亡の年金給付の要給権者とその配偶者
(ウ) 公的年金制度による老齢、退職の年金給付の受給資格要件を満たしている人とその配偶者
(エ) 戦傷病者戦没者遺族等援獲法による障害年金の受給権者と配偶者ならびに遺族年金、遺族給与金を受ける人
(オ) 学校教育法による全日制の高等学校の生徒と大学の学生
(カ) 明治44年4月1日以前に生れた者(昭和45年4月1日において59才をこえていた人)
2 希望によって加人することができる被保険者次の人々は国民年金制度の任意加入被保険者となれます。
1つは、国民年金が発足したときに経過的な取扱いとして、ある年齢以上の高齢者を対象に、特に設けたもので、いま1つは恒常的にある範囲内の人々に任意加入の途を開いたものです。前の人々を高齢任意加入被保険者といい、後の人々を若年任意加入被保険者といいます。
三 国民年金の保険料
この国民年金制度に加入した人は一定額の保険料を納めなければなりません。しかし、長い人生の間には経済的に保険料を納めることができない場合も考えられます。このときは、保険科が免除されるという制度もあります。
(1) 保険料の額
20才から34才までの人は1ヶ月55セント35才以上の人は1ヶ月69セント
(2) 保険料を納付する人
保険料は、被保険者本人が納めなければなりませんが、被保険者が納めない場合でも、世帯主、被保険者の配偶者がいるときはその人が、被保険者の保険料をかわって納めなければならないことになっています。
(3) 保険料の納め方
保険料は年4回に分け3ヶ月分づつ納めていただくことになりますが、3ヶ月分をまとめるとその額が大きくなって納めづらいという人は、1ヶ月分づつ納めていただいても、また、収獲があったときや、収入があったとき1年分をまとめていただいてもよいことになっています。
以上国民年金制度のあらましを申し上げましたがお判りにくい点がありましたら年金係にお問合せください。