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本士視察研修報告団長 嶺井行正

本土の先進町村視察研修のために私を団長に議会から、神谷正雄、外間昌吉、吉田高徳、役所から新里勇孝の5名が去る1968年9月に、25日間の日程で行って参りました。
議会と役所には帰任早々視察研修の結果をご報告申上げたのでありますが村民の皆様にご報告申上げる機会がなく、貴重な本広報の紙面を割分して遅ればせながらご報告申上げたいと思います。
今度の視察研修は例年と違ひ視察研修の外に中校移転の寄附金募集を兼ねて強行スケジュールで他の方々に苦労をかけた日程でありましたが、皆様の協力により無事に目的を果して帰りましたことを喜んでおります。
中校移転寄附金募集について東京では真栄城文明、玉城武雄、瀬底正快、上原直清先輩を訪問しお願ひ申上げましたら心よく受入れて下さいまして一晩一堂に-会し、村の現況を説明いたしました。
名古屋では新垣勇憲、知念実、玉寄兼蔵さん大阪では新里郷友会の方々初め吉田室雄、西銘春雄、照喜名三郎、小嶺孝昌、運天文雄、平田徳三堺市仲里元光氏等が中心になり各所で懇談会をもち村の実状を申上げお願い申上げました処、皆様がご協力を約束下さったのであります。私達は住所のわかる分はどんな田舎、山の中までも一軒毎訪問いたしまして協力方をお願ひし1日以上をついやし依頼された寄附金募集の目的は達成したものと考えております。
行政視察研修は馬天港埋立企業誘致による公害問題で名古屋、四日市、堺市の石油コンビナート「埋立に関係のある堺市の埋立」農業構造改善と多頭飼育関係は徳島県の石井町、熊本県の洫水町を指定いたしまして、視察研修をしたのであります。
石油コンビナート関係は手配のまずさもあり、産業秘密保持もありまして工場内立入視察は出来ませんでしたが周囲から視察をいたしました。
近代企業は公害問題等については十分配慮がなされており、お互が心配するような問題は起らないものと考えますが、馬天港埋立が完了した後の工場誘致については其の時点において十分検討し公害問題が起きないような工場誘致が望ましいと思います。
農業構造改善について洫水町の一例を申し上げます。洫水町の農業構造改善事業は九州地方でも指折のものであります。実現するまでには色々問題もあったようでございます。奨来佐敷村でも必ずやらねばならない問題であります。
洫水町では農業構造改善以外に農家は救えないと町長の政策でありまして15年前に組合を結成し、町長は自から組合長になり、あらゆる機会を利用して町民に啓蒙宣伝をしても長年耕作して来た土地に対する愛情で農民はなかなかついてこなかった様でありますが町長が先頭に立ち昼夜の別なく、各農家を廻り説得し1回で出来ないものは5回10回でも通って説得をし、当初計画通りの農業構造改善事業を見事に完成し農家は豊な生活をやっているのであります。
昔から何事もその過程における当事者の苦労や一部の犠牲はつきものでありますがこゝで感じた事は我が村では道路、排水等を造るにしても地主が反対すれば中止したり変更したりするのが常であります。
村が総合的な計画による事業は一部の反対に負けることなく、又係職員だけに委せず、長は根気よく先頭に立ち説得し納得せしめて行かなければ奨来の村の発展はあり得ないと通感したのであります。
次に本土の家蓄の多頭飼育については前回の視察報告にも申上げましたが、何んと云っても利益を上げるには多頭飼育以外にはない云ふ事を強く感じました。
沖縄では昔から家畜は農業副業程度にしか考へてないので一きょに本業として生計を立てるには問題が多い沢であります。
多頭飼育を政策的に進めていくとするならば本土のように村に指導機関を充実し資金面、販路面に至るまで村と農協が面倒を見るところまでいかないと農家が安心して多頭飼育をするには問題が多いかと思います。耕地面積の少い我が村では農業だけではどうしてもやっていけないので今後十分に検討し農家の経済安定のために営農指導に力を入れねばならないと思います。 埋立については本土各町村土地造成に一生懸命であります。企業の誘致や観光施設をやり発展を遂げているところがたくさんあるのであります。
村も馬天港埋立は始まっており喜ばしいことでありますが埋立後の使用計画によって発展が約束されるのであり、此の際村民各位が奨来の発展のために私利私欲にとらわれることなく村の計画のもとに結集し百年の大計である馬天港の埋立による発展を願ふものであります。
以上簡単に見たまゝ感じたまゝ申上げました●●も村の予算で先進地本土各町村を研修しましたので、日本復帰に備え、又他町村に遅れないよう、それぞれの職務を通して村の繁栄、村民福祉の向上のために頑張る決意でありますので今後とも村民各位のご指導とご協力をお願い申上げまして視察研修報告といたします。

@余生をたのしく老人クラブの視察研修会 3@
佐敷村老人クラブ連合会(会長嶺井南顕氏)では去る5月14日午前10から会員約150人を募り南部戦跡を始め北部のインブビーチまで視察研修を行いました。
この研修会の目的は年寄り同志が集って話し合い、励まし合い、親睦を図ることによって、たのしく余生がおくれることから実施されたものでバス2台に分乗して楽しい1日を過しました。
お年寄りの方々は進行中バスの中で日に日に発展している、各いろいろな施設、立ならぶ豪華な建物に目を丸くされ見るものや聞くものが、めづらしいそうな面持ちであり、感心されている表情であった。
どなたもが身体を大切にして又来年もこの会に参加しようと、大きな希望を抱かれいました。
佐敷村老人クラブ連合会では年寄が、楽しみながら、できる事業なども考案して、実施し、この会がますます盛上るよう努力しようと、余生をたのしむ希望に満ち溢れ、散会しました。

お知らせ
なお9月15日「としよりの日」の敬老会は9月に行はれる村長選挙のため、10月中に行う予定にしていますのでご諒解くださいますようお知らせいたします

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大分類 テキスト
資料コード 008435
内容コード G000000433-0006
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第22号(1969年8月)
ページ 3
年代区分 1960年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1969/08/15
公開日 2023/10/10