本村では去る5月10日の午後2時から小学校々庭慰霊碑前において1968年度の戦没者合同慰霊祭を行いました。
この慰霊祭には沖縄遺族連合会長殿を始め地区出身の立法院議員大城真順殿他来賓多数と村有志並びに遺族多数が参列して行われました。各ご遺族の方々には亡き父や亡き夫に対する心からなるご焼香を捧げ二度とこのような悲惨事が起らないよう永遠の平和を祈っていますとあれから23年前の涙を新にしながら心の中での報告をしている面持ちだった。
慰霊祭終了後午後3時から農協ホールにおいて喜納昌栄氏一行による慰安会を催しましたが、各遺族共明日への希望に満ちた笑顔に変り盛会裡に午後6時全日程を終了1968年度の村合同慰霊祭が閉じられました。
祭文(村長)
本日、来賓、御遺族多数御参列のもとに合同慰霊祭をとり行う事が出来た事を感謝申し上げ、謹んで哀悼の誠を捧げたいと思います。
こゝに神鎮ります1200余柱のみたまは。遠く日露戦争以来、去った太平洋戦争において、住みなれた郷土、なつかしい最愛の妻子、父母兄弟にわかれて北は満蒙の荒野から南は南海の孤島に至るまで転戦に転戦を重ね祖国防衛に或は郷土防衛の為に酷寒淡暑を冒しながらあらゆる困苦欠ぼうに耐え忍んで私達国民の身代りとなり身命を国家に捧げて散華下さいました。痛恨の極み、唯断腸の念を禁じ得ません。
思えば、幾多春秋に富む身命を惜しみなく国家の為に捧げられたにも不拘らず敗戦に終りましたが、あれから23年皆様方のいとし子達は戦後のあの苦難にも打ち勝って雄々しく育ち、今やりりしい若武者となって郷土再建に邁進しておられます。
ごらん下さい、この佐敷平野の青々とした豊かな実り。静かでのどかな光景を……これは皆様の遺族の方と、生き残った者の努力の結晶であります……。
われら村民は皆様方の尊い精神を肝に銘じ、再びかゝる不幸が繰り返されない様に御遺族の方々と共に手を握ぎり次代の青少年にタッチするように努力する事をお誓い致します。こうする事が皆様方にお報いする唯一の道だと信じます。
私達は皆様方の御冥福を心からお祈り申し上げますと共に御遺族の上に限りない御加護を下さいますように念じてお慰めの言葉と致します。
1968年5月10日
佐敷村長 外間長賢