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村民の心からのご協力を 2万4千ドルを募金 中学校移転と二十周年記年事業

佐敷中学校移転促進期成会  会長 津波元八
 兼久地内の海岸ぞいに、新しい敷地を求めて、佐敷中学校を全面的に移すという大きな事業が、わが佐敷村において着々と進められております。現在の中学校は、はじめから校地がせまく、年々の校舎の割当も受けることができず、運動場も小学校と共同使用でありますために、周囲への校地拡張に努力がはらわれてきましたが、それも行きづまり、遂に、新しい時代に備えて、新しい場所に中学校を移すことが考えられるようになり、全村民の一致協力で佐敷中学校の移転を実現していこうという美しい力強い態勢でこの事業がすすめられてきております。
 校舎の移転とか、その敷地を獲得することは、実際には並大ていのことで、できるものではありません。
わが佐敷村において、この中学校移転の計画を推進するようになったのは、昨年の1月のことでした。あれから今日まで1年。この間に4600坪の校地が獲得され、整地がおこなわれ、政府においては、佐敷中学校をモデル校舎にするためのすばらしい建築設計がおわっております。校舎建築は、これまで、民政府との調整で地盤の再調査をしたり、設計の変更をするなどのために着工がずいぷんおくれておりますが、現年度で、一棟の一階分の七教室の新しい設計による校舎が建つ運びになっております。これとならんで、中学校の校地総合計画のりっぱな設計も終ってりっぱな新しい佐敷中学校の建設計画がすすめられております。このようによくも佐敷中学校の移転という大きな事業が推進されてきたものだと思われるのですが、これは、政府の積極的な考え方による力の入れ方、佐敷村など議会当会の深い理解、さらに、全村民団体、代表者から組織された佐敷中学校移転促進期成会の方々の教育への深い理解と愛情、そして涙ぐましい努力によってできたものであったことを思い、たゞ感謝、感激のほかありません。
 このようにして進んできた佐敷中学校の移転のために、佐敷村では、すでに学校用地の購入、整地、諸調査費用などで、すでに5万ドルの銀行借入又2万ドル余は村費より支出しております。それだけでなく、新しい敷地の整備、施設、建物その他の費用で政府が負担する校舎建築以外に、約3万5千ドルもかかる予想であります。この必要は多額の金を調達するのには、村の財政ではどうにもならないことになっております。このため、佐敷中学校移転促進期成会ではこの佐敷村にとっての大事業は、全村民の協力によって達成しようということになり、村内はもちろん、村外、本士、海外の村出身者の皆様に心からのご援助をお願いしようと、このたぴ、目標額2万4千ドルの寄附金募集を計画しております。
 この寄附金募集についてはその趣意書がすでに、村内各部落の全家庭に配ばられていることと思いますので詳しくはそれをごらんいただき、今回の寄附募集に心からなるご援助をたまわりますようお願いしてやみません。
 佐敷村内の募金目標額は1万5千ドルという多額でありますが、村民各位のそれぞれの立場から真心をもってご協力下さり、この目標額を達成して、計画どおりの佐敷中学校の移転、建設が実現できる日を共に期待いたしたいのであります。
 さいわいに今年は、佐敷中学校が創立して満二十周年に当たる意義ある年であります。この二十周年において中学校の移転建設がはじまることは、わたしたち村民に大きなはげみと希望を与えるものと思います。めったに訪れる事のないこの事業とすばらしい機会に於て村民をあげての記念事業になると思いますと勇気百倍の感。このチャンスを失うまいとの決意にもえるものであります。この年になって、佐敷中学校移転促進期成会長としてのその責任の重大さをひしひしと感じながら、その任務を、自分の生涯のご奉公として果たしていきたいとの決意でおります。ここで、この寄附金の目標達成が村民のご協力で必ずできるものと信じ、念願し、会長としての寄附金募集実行にあたってのあいさつといたします。
1968年1月3日

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大分類 テキスト
資料コード 008435
内容コード G000000427-0003
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第16号(1968年2月)
ページ 2
年代区分 1960年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1968/02/20
公開日 2023/09/19