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子どもを守ろう

児童憲章の前文に「児童は人として尊ばれる。児童は社会の一員として重んぜられる。児童はよい環境の中で育てられる」と子どもをより幸福に育成していくための正しい考えかたを示しています。ところが、子どもたちが、この前文に示される条件のもとで、健全に育てられているかどうかを考えた場合決して充分だとはいえないと思います。
 子どものまわりには、数々の社会悪がはびこっており、大人自身の生活そのものにも不純なものが多いのです。青少年の非行化は最近激増して、もはや学校教育だけでは指導の万全を期し難く大きな社会問題として注目されています。
 政府においてもこれを重大視して、昨年6月15日「青少年保護育成法」という法律を制定し、今年の1月1日から施行されました。
 この法律は「青少年の健全育成をはばもうとする、社会人(おとな)の行為や、不健全な社会環境を規制し、社会人全体の責任において青少年を保護育成しようというのがねらいです。
 そしてただいま下記要綱によって、「有害環境浄化運動」が展開されています。

(1)目 的
 青少年保護育成法の施行に伴ない同法制定の趣旨の周知徹底を期するとともに青少年に悪影響を与えると思われる映画出版物等のマスコミ関係および興業ならびに風俗営業、球技営業、モデルカーサーキット金物商(刃物業)、玩具商等関係業者の自しゅくと協力を求める一方、悪徳業者の摘発を強化するなど、関係機関、団体が一般住民と一体となって地域ぐるみの環境浄化の実践にあたり、青少年に明るい環境を醸成することを目的とする。
(2)期間
 1966年2月7日し~2月27日までの三週間
(3)主唱
 琉球政府青少年綜合対策本部
(4)実施主体
 政府各関係局、警察本部各警察署、教育委員会、学校、市町村およびその他の青少年機関団体
(5)実施目標と週間
 本運動の実効を期するため、三つの週間を設けて目標をかかげる。
 ①有害環境浄化趣旨徹底週間(7日~13日)
 ②有害事象の実態は握と指導週間(14日~20日)
 ③福祉事案等の検挙取締強化週間(20日~27日)実施要領略

 最近の青少年犯罪が凶悪化、集団化、低年令化していることからして、以上のような法律ができ、運動が展開されたことは当然でしょう。
 いまや青少年の非行化問題は私たちの胸を痛めつけるばかりです。全住民が一体となってこれら青少年の非行や犯罪を一掃して、明るい環境のもとで、子どもたちの保護育成をはかり、彼等に幸福な生活環境を与えなければなりません。
 子供は毎日新しい教育を身につけて進歩していくのに、親は古い教育観念しかもっていないようでは真の子どものしつけ教育はできません。親も子と歩調をあわせて教養を高め、民主的な家庭であたたかく子どもたちをはぐくんでいただきたいのです。
 それから、自分の子どもだけよければ、他所の子どものことはどうでもよいということではなく、みんなの子をみんなのおとなの手で守る協力的な心が欲しいものです。自分の子だけの幸福を願うだけでなく社会の子どもの幸福をみんなで願う固い図結と組織こそ青少年の不良化防止に大きな効果をあげ得ることと信じます。

小学校長 渡名喜元尊

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大分類 テキスト
資料コード 008435
内容コード G000000417-0012
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第6号(1966年3月)
ページ 3
年代区分 1960年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1966/03/15
公開日