なんじょうデジタルアーカイブ Nanjo Digital Archives

発刊に際して 議会議長 嶺井行正

希望に輝やく1966年を迎え、村民皆様の念願が叶えられるよい年でありますより心からお祈り申し上げます。
目下、キビ収穫の最盛期に入り、農家の皆様には大変お忙しい毎日でまことにご苦労様でございます。
 さて昨年をふりかえって見まするに、かってないキビの豊作で6月まで苅取りが長びき、また相続ぐ選挙で、実に多忙に明け暮れた一年でございました。選挙は政治の前進、住民生活の向上のために行われるものであるが選挙後はいろいろなことが起こることが他によくみられることであります。しかしわが村に選挙後に感情的なものも残してなりません、わが佐敷村は人の和を誇りとする伝統的美風を保ってきた村であり先代代々築いて下さった平和と繁栄の基礎に、いささかもヒビをいれることなく一段一段と積上げる努力を続けなければならないと考えるものであります。
 ところで昨年12月28日の沖縄タイムス紙朝刊に大きくとり上げてありました保育所の問題について村民の皆様には誤解なさることかと思いますので簡単にいきさつを申し上げます。当初、馬天区が保育所を建設しで公民館と兼用する計画で申請がなされ、政府の認可指令がやがてでる運びになったのでありますが馬天区ではいろいろ検討の結果、公民館との併用価値が少ないし別個に公民館を建設しなければならないとのことから「村として建てて貰いたい、地元負担金は半分もち」との願出があり議会終了後、全議員の協議会に村当局から諮られたのでありますが、村がこのような施設をするには自治法や村条例の規定で「議会の議決を経なければならない」とあり、村としての建設計画でなかったしその手続がなされたものでもなく政府の助成事業であり村予算を通すことから政府補助金、地元負担金、工事費等が当初予算で計上されたのであります。村営でなすことは村財政の検討や基本的調査を必要とし、すぐ引受けるわけにいかないのでないかとのことで村営の保育所をいま建設するか、どうか、アンケートした結果が11対3(1人棄権)であった、保育所は必要であり近年のうちつくるべきであろうが、村にはこれに優先すべき事業が訳山あるということで比重が問題であり時期を見計らったがよいとの議員多数の考え方であったのであります。村当局の計画に議会が反対したわけでもなく、全く新聞の誤報に過ぎません。この機会に広報を通じ村民皆様のご理解を求める次第であります。
 つぎに、今議会議員の任期も9月に満了することになりますが、過去三ケ年をふりかえってみますと、△待望の工場誘致が実現したこと、△電灯料金の均等を計ったこと、これは東部配電は料金が高率で他社と比較して差額だけで村民税に匹敵していたので開係町村がタイアップし政府や関係会社に折衝を重ね、会社のご理解もあって三年がかりで沖縄配電への統合が実現した。▽老令年金制度の設定 ▽育英会の発足、▽これに伴なう条例他多くの基本条例の設定 ▽中学校敷地の穫得、▽月代公園の駐車場設置等が上げられますが、これもひとえに村民皆様のご協力の賜物と深く感謝申し上げます。
 私達、就任してから早くも四ケ年目の最終期で締括し、総仕上げの年であり、村政のため一段と努力せねばなりません。幸にして昨年までに三回議員と役所職員が本土先進地市町村の地方自治の在り方、行財政の実態の視察研修が行なわれており、それぞれ体得した本土先進地の長所をわが村が学ぶべきところ、とり入れるべきものを各チームごとに選択し、三チームの連合審査会で検討調整の上総締めをなし、将来、我が村の発展のため、村政指針の一端になれば幸いと思、参考資料の草案に一同が張り切っています。
 それて残り少ない期間を有効にと念じますし建設的ご意見とご批判を仰ぎ住民代表としての職員を全とうしたい所存でありますのでなお一層のご指導ご鞭撻をお願い申し上げます。
 ここに村民皆様のご清福とご繁栄を祈念いたしまして、広報発刊にあたり所感を申し上げご挨拶といたします。

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大分類 テキスト
資料コード 008435
内容コード G000000417-0003
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第6号(1966年3月)
ページ 1
年代区分 1960年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1966/03/15
公開日