なんじょうデジタルアーカイブ Nanjo Digital Archives

新年度における施策 事業誘致で財源確保

村政執行に当っては平和で明るい村造りのため「常に正義と公正」な心構えで村政に当るということが私の一貫した方針であります。先づ村政を執行するに当っては、村民の意志表示機関である村議会の議決を尊重し、誠実にこれを実行することが民主政治の在り方だと信ずるものであります。民主政治の目標は福祉社会を建設することでありまして、よって、政治のすべてが住民の福祉向上のために集注され意べきだと信ずるのであります。
そこで私は幣にこの目標を目指し現実に立脚し、情勢に即応した政策を樹立し、強力にこれを実行し目標に向って前進を続ける考えであります。
私が常に考えますことは「何事をなすにも先づ忍耐が必要であり又確実なる前進を遂げるには急激な前進よりも一日一日の努力による着実な前進を積み重ねることが最も正しい進歩だと信じて居ります。私はこの信念に基き村政の執行に当り、又職員を督励致しまして、村民の福祉向上のために努力を続ける考えであります。
先づ第一に村の政治は村民のための政治でなければならないと信じております。そこで村政を執行するに当っては、村民の世論を尊重し又対内的問題につきましては、村復興のため、軍民両政府やその他関係機関に対し、財政及び技術面の援助方について積極的に折衝を続けていく方針であります。又対外的問題と致しましては、常に村民に対するザービスをモットーとして、村民の人格を尊重し、誠意を以って事務を処理したい方針であります。又職員を適材適所に配置し事務能率の向上を図り役所内を明朗化し愉快な職場造りに努力する方針であります。

1、行財政の強化と企業誘致について
本村は村有財産が少なく自己財源は総予算の9パーセントに過ぎずその他は市町村交付税を始め、政府支出金の依存財源にたよっている現状でありまして、真に心細い次第であります。
自己財政の造成につきましては、予算の許す限り財産購入又は事業投資等行なう考えでありますが、これらの問題は専ら公共的立場から考慮さるべきだと思います。
更らに資本の導入による事業を興すことも新財源の造成であり、又村民に繁栄をもたらすことになりますので、機会あるごとに事業誘致運動を起し、財源確保と村の繁栄のために努力すると共に労働者の完全雇偏を期する考えであります。
 次に税務事務について申しあげますと、納税成績を向上させるには公正なる適正賊賦と微税事務の強化をはかると共に、徴税思想の昂揚に努め、優良者を賞揚し滞納者に対しては法的措置を行なう考えであります。次は1966年度は政府による土地地籍測量が実施されますので、村民各位のご協力をお願い申し上げる次第であります。

政府の糖業政策を推進 産業経済政策について
本村では昨年産業共進会の内農産物品評会や原山勝負を一時中止致しましたが、これらを継続存置するかについては、議会のご意見を充分におききして処置したい考えであります。
 新年度におきましても、一時中止の措置をとり最もいそがれている農業合理化のための農業構造改善事業を畜産経営改善事業に重点をおいて指導奨励する考えであります。さらに、農業基本施設である農道排水管理清掃が不行屈のため、交通が排水の面で大きな支障をきたしてをり、排水路の清掃浚渫を怠ったため水の流れが悪くなり、●…●もありますので、これら施設の愛護週間を設け、審査の結果奨励賞を交付する等の措置を講じ、農道排水路の管理面をさらに強化して行く考えであります。
病害虫防除策と致しましては従前より実施して参りました村費補助による指定農業の使用を奨励し、あわせて村農協の協力を求め、協同防除作業を督励すると共に、病害虫の異状発生に対処するため備品農薬を準備してさらに防除機材の購入補助を行い、万全の措置を講ずる考えであります。次に砂糖貿易の自由化によって起きた糖価暴落に対する保護措置か現今における甘蔗作並に糖業政策等につきましては重大な問題であり、独り、佐敷村のみの問題ではなく全琉的な問題でありますので政府の糖業政策を推進しこの難問題解決に努力する考えであります。次に植樹問題につきましては政府の緑化運動の趣旨に従い、防風防潮林を始め、果樹、風致林等の植掛を奨励し、風潮害を防ぎ、早害に対する水源のかん養と風致の美化に努力する考えであります。

馬天港の施設整備 建設関係事業について
農業の基本施設であります道路、排水路、橋梁等に対する政府の助成工事の受け入れにつきましては今日までも努力を払ってきたのでありますが、新年度は一段と努力を払い、多くの助成工事を受け入れる計画であり、目下政府と接渉を続けているのであります。
なお政府の直営工事に属する護岸工事につきましては未施行個所が他村に対し、多いので新年度中に全護岸工事が完成するよう政府に接渉を重ねているのであります。
新年度において耕地護岸二件が予定されておりますので今後さらに強力に接渉を続けて行く考えであわます。次に村道管理につきましては村の財政状態を考慮いたしまして除々に村道を拡張し、村内道路網を整備強化して行く方針であります。
さらに政府助成工事の場合、施行基準により難い工事箇所もありますので、これらの工事は高等弁務官資金の交付を申請いたしまして施行する計画であります。
次に馬天港の施設整備については従来から接渉を続けてまいったのでありますが、新年度はその実現を期して村民与諭をもりおげ、村全体が一丸となり、より強力に接渉する考えであります。
又本村の年来の計画であり、要望事項であります馬天港浅瀬の干拓事業につきましても、その一部の埋立計画が琉球政府の財政三ヶ年計画におりこまれ、日政援助資金で施行させる計画のようでありますので、この際、新年度を期して、馬天港の●●と併用して施行してもらうよう強力に接渉する計画であります。
次に政府道の舗装工事につきましては、前年度と現年度の二回にわたり馬天地内で、簡易舖製式のテストエ事が施行されましたが、工事の継続施行方を政府へ陳情中でありますが、今後更に強力に推進して行く方針であり、なお政府道44号線南部一円線の一端といたしまして南部市町村会や議長会からも政府へ陳情されておりますので、これらの組織とも連繋いたしまして村内政府道の舗装工事促進に努力する考えであります。次に政府助成工事に対する地元負担金については1965年度から工事費の5パーセントを村費で負担いたしましたが、新年度においても、同村工事費の5パーセントを村費で負担する計画であります。

教育行政について
教育委員会との協力態勢を持続し村という広い立場から人材養成に努め、特に議会のご協力を得て学校施設やその他文化施設の充実のため最善の努力を払い村意教育の発展を期する考えであります。なお去る3月に設立いたしました村育英会の順調な発展をはかるため今後とも財政的援助を与える考えであります。以上申しのべました事項が新年度における施政の大要でありますが、その他の問題につましては後でご質問に応えることに致しましてこれから本定例会に提案致しました議案についてご説明申し上げます。

議案説明
本定例議会に1966年度の予算案外7件の議題を提案致しましたので、その提案理由をご説明申し上げます。
最初に新年度の予算案からご説明申し上げます。予算編成方針といたしましでは、健全財政の基礎確立のため万止むを得ない費目以外の増額を抑え、大体前年度を踏襲する気持ちで編成したのであります。

才入面について
予算総額102,067ドルで前年度平均予算額より30,131ドル増額しております。前年度予算と比較いたしまして、特に変った点をご説明申し上げることに致します。増額の主なる理由は市町村交付税8,230ドル政府支出金、13,304ドルがその大なるものでありまして増額の71.4パーセントが政府補助金であり、残り28.6パーセントが繰越金と寄附金からの増収であります。

②才出面について
才出予算の編成に当っては財源の重点的配分と経費の効率化を基本方針とし更らに従来の健全財政の基礎確立を目標に編成したのであります。前年度予算より増額した費目もありますが、これらの増額理由は後で、助役から詳しくご説明申し上げることにいたしまして、私は比較的増額の大きい第一款議会費、第二款役所費、第五款社会及労働施設費について御説明申し上げ各位のご了承を得たいと存じます。

(1)議会費について
 第一款議会費で2369ドル増額計上してありますが、この増額の理由は南部地区市町村と歩調を合わせ議員報酬を市町村交付税の交付基準額に引き上げ計上したことがその主な理由であります。

②役所費について
 第二款役所費で、前年度より4232ドル増額計上してありますが増額の主なものは職員の待遇改善の費用と前年度から着手しました、固定資産の土地調査費が大巾に増額計上されたからであります。職員待遇は年を追って漸次改善されてありますが、現在でも、職員給料は薄給でありまして、生活保障給にはまだまだ遠く、又他職員の待遇面と比較いたしましても大分低い現状であります。以上のような実情でありまして職員の生活状態を考えます場合真に同情の念に堪えないところがあります。
昨今の消費者物価指数の上昇と民間の給与ベース等も考慮し、あわせて隣接町村の職員給料等も参考に致しまして全職員15パーセントの増率を計上したような次第であります。
この増俸予算は政府の市町村交付税の基準財政需要額の枠内でありますので、結局村民の負担を増すことなく、市町村交付税の範囲内で今度の憎俸予算が計上されているわけであります。
この機会に職員待遇を改善し、職員が喜んで、村民の福祉向上のため、全力をつくして働くよう督励する考えでありますので、議会におかれましても、慎重ご審議の上ご協力できるようお願い申し上げる次第であります。

(3) 社会及労働施設費について
第五款社会及労働施設費で、前年度予算より、21,145ドル増額計上してありますが、増額の主なる理由は新年度において馬天区地内に政府補助によって保育所を建設する計画で、その建設費18,576ドルを新らしく計上したことと、村内各種団体へ補助金を2,481ドル増額計上したことがその主なる理由でありますがその補助金の内でも村育英会への補助金1650ドルが新規に計上されたことが補助金増額の大きな理由であります。

(4) その他の項目について
ただ今ご説明申しあげましたその他の項目については前年度と大同小異でありますので、説明を省略致しますが、詳しいことは後でご質問に応えることに致します。

(5) その他の議案について
 本定例議会に提案いたしました議案はただ今ご説明申し上げました新年度予算案の外、1965年度迄が更正予算案村条例の一部改正議法案、二件、村有財産の貸付議決案二件、道路工事請負仮契約同意議決案一件、都会八件の議案を提案致しましたので、慎重ご審議の上適当に議決下さいますようお願い申し上げ提案理由の説明といたします。

1965年6月18日 佐敷村長 当真嗣善

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大分類 テキスト
資料コード 008435
内容コード G000000416-0002
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第5号(1965年8月)
ページ 1-3
年代区分 1960年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1965/08/15
公開日