佐敷村消防団では1月6日午前5時半に団員を払暁して出初式があった。
消防ジープ、消防器具、服装の点検、放水訓練、のち開式、村長挨拶、与那区警察署長の訓辞を馬天水上巡査部長派出所平良巡査部長から代読、昨年11月14日に字新里で起った原野、キビ畑火災に分団民総出で、消火に協力新里した新里分団に与那原地区警察署長賞と表彰状がおくられた。当日午後から団長副団長、馬天巡査部長派出所所員、佐敷駐在巡査らで村内名区を消防ジープで防火パレードをしてまわった。
訓辞
輝かしい1965年の新春劈頭を飾る消防出初式に当り謹んで新年のお喜びを申しあげると共に、当佐敷村消防団員が旧年中消防力の強化拡充と住民に対する思想の高揚のため真摯な努力をされ、お蔭により前年の約半数に火災害を減少させ得たご労苦に対し衷心から厚く感謝申しあげると共に団員各位が益々一致団結され、更らに飛躍発展されんこと祈るものであります。
昨年中における当地内の火災発生状況を見ますと、
与那原町
甘蔗畑・約一万坪焼失
玉城村
住家 一件 甘蔗畑 一件
計二件で被害760弗
佐敷村
豚者 一件
作家 一件
甘蔗畑 一件
松林 一件
原野 一件
計五件で被害1640弗
西原村
原野 二件
住家一件
計三件で被害180弗
大里村
原野一件
南風原村
工場 学校 納家 原野 甘蕉畑 各一件
住家二件
計七件で被害1800弗となっており、その前年(1963年〉に比べ大巾減少している点は、誠に喜ぶべき現象でありますが、収獲を目前に控えた甘庶を大量に焼失している点は近年稀に見る人為的大損失で甘蔗作一倒辺を以って農家経済をささえている当地区では誠に注目すべき問題であります。
もとより甘蔗自体が極めて火災にかかり易い作物であり、類焼し拡大し易い条件下にあるという認識に乏しい点もあるが、更らに地方農村消防力の弱さに起因してしばしば延焼大火をひき起している例が多いのであります。
然し消防力は物心両面の備えが必須要件であって消防士気だけではその完壁を期することは容易でなく施設の強化はここ市町村自治体の財政の問題が問題点となり地方農村の消防不安が深く考慮されるのであります。
ところで消防設備の強化を一挙に解決することは財政的見地から極めて至難な問題であるため先づ本年度目標として予防行政の強化と初期消火思想の高揚運動の推進をお願いしたいと思います。
火災予防の重要性について団員の皆様に申し上げる必要はないと思いますが、肝心なことはこれを一般住民に更に徹底せしめ予防ということを住民一人一人の常住坐ガンの間に於ける主活規範にまで高めることであります。
被害の軽減はもとより大切でありますが、災害の根絶こそ災害対策の最高理想であることは言うまでもありません。
就いては近年住民総消防の一環として初期消火思想の高揚が叫ばれています。
所謂人の難儀を見てジイットしていられないという消防道の精神を各家庭にまで浸透させ火事の大小を問わず敗然としてこれが消火に斗心をわき立たせる教訓を皆様と共に推進し住民総消防の理念を具体化させてもらいたいと思います。
こうした精神はひとり火災に対してばかりでなく広く社会悪に対しても敢然として斗うヒューマニテイの助長ともなるものと信じ政府の主唱する「人づくり」もこうしたところから自然に推進されるものと思います。
火災はそれを起した人その一人の損害に止まるものでなく一人の怠慢から万人の嘆きとなって現れるもので団員一人一人がその理念に徹し住民総消防の理想を遍く浸透せしめ平和で豊かな一年で過されるよう皆様の努力をお願いして挨拶といたします。
与那原地区警祭署長 警視 上江洲謙
表彰状 佐敷村消防団新里分団殿
貴分団は1964年11月14日佐敷村字新里の上之川原に発生した原野火災に際しでは 全分団員が応招し一致協力敏速適格なる消火活動により日頃より消防業務の重大使命を克く認識し消防活動に尽力したその功績は顕著であるので茲に消防出初式に当り記念品を賜りこれを表彰します
1965年1月6日
与那原地区警祭署長 警視 上江洲謙(印)
沖縄消防協会与那原地区 支部長 宮平享正(印)
心がけ次第で火事は防げる
△冬は火事が多い
そろそろ火災のシーズン、寒くなるとどの家庭でも火と親しむ時間がながく、また季節風が吹きだし、冬型の天候が続くと、湿度が低くなり、空気が乾燥してくるので、火災が発生しやすい状態にあります。そのため毎年10月から翌年の3月までを火災のおきやすい季節として防火についての関心と心構えが強く望まれています。
家庭電化により住民の生活が合理化している反面、これが火災の発生原因となり、火災の原因も複雑になって、油、電気、炭などにより火災が発生する傾向にあります。
△火災を防ぐには
ところでこれから火災シーズンに備えて、一般家庭での「火の用心」が強く望まれているが、その具体的な心がけとして、つぎのことに気をつけましょう。
△石油コンロに火をつけたまま、油を補給したり、コンロを板かべやカーテンの近くに置かないこと。コンロが古くなりタンクやパィプの継目から油モレがすると、ただちに新しいものと取りかえること。住宅の構造により板かべの近くにコンロを置く場合は、コンロの周囲をコンクリートやトタン又はタイル張りにすること。
△電気コ一ドを釘にかけたり、タタミの下を通すとかフスマなどにはさまないこと。トタソ屋根や雨どいに電線が接触しないようにし電気工事は専門家にたのみ定期的に検査すること。
△コンロの油モレで発火すると外に投げ出さないようにし、砂をかけるか毛布などをヌラして静かにおおいかぶせる。そのため台所の近くに防火用の砂を用意しておくこと。
△アイロンや電熱器は使ったらその手でスイッチを切るよう習慣づけること。
△ガソリン、ケロシン、石油、プロパン、など引火しやすい油脂類の近くで、たき火をしたり、煙草を吸うことは絶対につつしむこと。
△コンロや電気関係の火災は使用者の無関心が取扱上の不注意から、おきる場合が多いので常に気をつけていただきましよう。
それから、火災は、とき、ところの予告もなく発生するもので、火事の多くは、風水害などの自然災害とはちがって、わたしたちの無関心か不注意によっておきているので、火災を防ぐ方法も、わたしたちの心がけ次第でできるものです。
一つ火の元には充分注意しましょう。