・沖縄でいもが栽培されるようになったのは、今から357年前の1607年で北谷間切の野国総官が支那~いも苗を持ち帰り野国村(現在の嘉手納村)で植付したのが始まりである。それ以来いもは住民の食糧として又、家畜の飼料として重要な役割をはたして来たが、戦後は天狗す病で反収が減ったばかりでなく、近頃ではキビ作ブームに押されていもの栽培面積も著しく減っている。
・このいも天狗す病は今から17年前粟国村で始めて発生したものであるが、本村においても今年から甘藷畑に被病株がみられていますので今後天狗すの防除をおこたると大発生し、大きな被害を受けて、いも作が出来なくなることも考えられますので、ここにその防除法について記してみたいと思います。
1、天狗す病によるいもの被害は著しく発生している畑では収穫皆無の状態となります。1963年11月具志頭村港川の甘藷畑で坪当たりの収穫量を調べた結果を示してみますと次の通りです。
2、これまで日本政府から多くの技術専門家が派遣されて来たが、幸いにして昨年の3月来島した農林省農業技術研究所の新海昭博士の研究で天狗す病の媒介昆虫である“クロマダラヨコバイ”が発見されその防除について明るい見通しが示された。
3、防除法については媒介昆虫である“クロマダラヨコバイ”の駆除に重点をおくと同時に病巣の抜き取り、健苗の植付けを励行し、天狗す病をなくしたいものです。
4、そこでまずクロマダラヨコバイの駆除についてでありますが、マラソン1.5%粉剤、バイジット2%粉剤、デナポン1.5%粉剤が殺虫効果が高く、特にマラソンやバイジットは速効性が良く効くが、BHC1%粉剤は効果がない。発病株の抜き取りはこの病気の源を断つという意味で非常に重要なことであるが、出来れば抜取り株は焼き捨てた方が良い。共同作業を実施している部落では月1回か2回の予防デーを設けて病株の抜き取りや薬剤散布を行なうことは極めて必要なことである。いもの植付に当っては原苗圃、健苗圃でとれた苗を使うことが最も大切なことである。