最初に新年度の予算案からご説明申し上げる事に致します。予算案の編成に当りましては健全財政の基礎確立のため万止む得ない費目以外の増額を押え殆どが前年度踏襲する気持ちで編成したのであります。

一、歳入面について申し上げますと
予算総額72,730ドルで前年度当初予算総額より18,998ドル増額して居ります。前年度予算と比較致しまして特に変った点をご説明申し上げる事に致します。　増額の主なるものは市町村交付税14,276ドル、政府支出金4,344ドルがその大なるものでありまして増額の98%が政府補助であり残り2%が使用料及手数料雑収入寄付金からの増収であります。
市町村交付税で14,276ドルも増額計上してありますが、政府は1964年度市町村交付税予算3,041,500ドルに対し1965年度は3,634,600ドルと前年度の119%に増額されて居りますので新年度における市町村交付税は大幅に増額される見込みであります。

二、歳出面について申し上げますと
歳出予算の編成に当っては財源の重点的配分と経費の効率化を基本方針とし更に将来の健全財政の基礎確立を目標として編成したのであります。
前年度予算より幾分増額した費目もありますがこれらの増額理由の説明は後で助役から詳しく申し上げることに致しまして私は比較的増額の大きい一款議会費、二款役所費、四款土木費、七款産業経済費についてご説明申し上げ各位のご了解をお願い致したいと思います。

１、議会費について
第一款議会費で、2,950ドル増額計上してありますが、この増額は隣接町村とも歩調を合わせて議員報酬を市町村交付税の交付基準額に引き上げ計上したことと議会の専任職員の設置費を新しく計上したからであります。
２、役所費について
第二款役所費で前年度より6,528ドルの大幅増額になって居りますが、その増額の主なものは職員の待遇改善の費用と今度新しく設置されます固定資産評価員の設置費用更に二人分退職給与金を計上したからであります。
職員待遇の改善は年を追うて漸次良くなりつつありますが現在でも職員給料は薄給でありまして生活保障給にまだまだ遠く又他の職域の待遇面と比較いたしましても大分低い現状であります。
以上のような実情でありまして、職員の生活状態を考えます場合真に同情の念に堪えない所であります。
昨今の消費者物価指数の上昇と民間給与ベースを考慮し併せて隣接町村の職員給料等も参考に致しまして全職員15%の増ほう予算を計上した様な次第であります。
更に今回内務局長の通達によりまして固定資産評価員を設置することになりましたがこれに要する経費は全額市町村交付税に含めて交付される事になっているのであります。
市町村交付税の趣旨はご承知の様に市町村住民の負担を軽減し且つ書く市町村の基準財政需要額に対する基準財政収入額の不足額をこの交付税によって補填する制度であります。
従って今回提案致しました役所職員の増ほう予算も政府が定めた基準財政需要額の枠内でありますので結局村民の負担を増すことなく市町村交付の範囲内で今度の増ほう予算が計上されている訳であります。
私はこの機会に職員の待遇を改善し職員が喜んで村民の福祉増進のために全力を尽して働くよう督励する考えでありますので議会におかれましても慎重ご審議の上ご協力くださるようお願い申し上げる次第であります。

三、土木費について
第四款土木費で5,711ドル増額して居りますがその内容は道路維持修繕費で502ドル、災害土木費で5,200ドルを増額計上してあります。
道路費の増額は道路管理を強化すると共に更に今回三線の道路を新たに村道に編入する予想の下に増額計上したのであります。
又災害土木費は新年度に於ける建運局関係の政府助成工事を受け入れるため、新規計上した次第であります。

四、産業経済費について
第七款産業経済費で2,005ドル増額して居りますがこれについては前でも申し述べました通り現時点に於いて最も急務とされている農業合理化のための農業構造改善費に884ドル畜産経営改善費に600ドルを新規計上し、又病害虫防除費に868ドル農業基本施設費に210ドルを夫々増額計上した事がその増額の主なる理由であります。

五、其の他項目について
只今ご説明申し上げました、其の他の項目については前年度と大同小異でありますので説明を省略致しますが詳しい事は後で助役から説明させることに致します。

六、其の他議案について
本議会に提案いたしました議案は只今ご説明申し上げました新年度予算案のほか1964年度追加更正予算案、村役所事務所増築議決案、村道路線認定議決案、村有地貸付契約同意議決案、その外村条例議決案8件都合14件の議案を提案したしましたので慎重ご審議の上適当に議決下さいますようお願い申し上げ提案理由の説明と致します。

1964年6月22日