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職員を適材適所に配置 第100回村定例議会終わる 総予算7万2千ドル 正義と公正で村政に当たる

第100回佐敷村定例議会は、6月22日から27日までの6日間15議員全員出席で開かれた。
今回の議案は、
▽村役所事務所増築決議 ▽1964年度歳入歳出追加更正予算議決 ▽村税条例の一部を改正する条例決議
▽報酬及び費用支弁の額並にその支給方法を定める条例議決 ▽村職員定数条例の設定
▽村職員の給与に関する条例設定 ▽村職員に対する期末手当支給条例を廃止する条例議決
▽村役所ホール使用条例の一部を改正する条例議決 ▽村道の路線認定議決 ▽1966年度歳入歳出予算議決
▽村有地使用許可同意議決 ▽固定資産評価員及同補助員手当並に旅費支給条例の一部を改正する条例議決など16議案を審議可決した。
1965年度歳入歳出予算の款別総括はつぎのとおりである。
本年度の予算総額は71,936ドルで前年度予算額の53,733ドルに対し18,204ドルの増額となっている。村長の施政方針並に議案説明要旨はつぎのとおり。

65年度の施政方針
これから新年度にのぞむ、私の村政に対する施策の一端を申し述べ、議会のご協力をお願い申し上げ度いのであります。
私の村政に対する心構えは、先ず「住み良い平和な村づくり」に力を尽くし、「常に正義と公正」で村政に当たる、ということが私の村長就任当初からの一貫した方針であります。まず村政を執行するに当っては、村民の意思表示機関である村議会の議決を尊重し、誠実にこれを実行することが民主政治のあり方だと信ずるものであります。民主政治の目標は福祉社会を建設することでありまして、よって政治の総てが、住民の福祉向上のために集中されるべきだと信ずるものであります。そこで私は常にこの目標を直視し現実に立脚した情勢に即応した、政策を樹立し強力にこれを実行し、目標に向かって全身を続ける考えであります。私が常に考えます事は何事をなすにもまず忍耐が必要であり、又確実なる前進を遂げるには、急激な大幅な前進よりも一日々々の努力による前進を積み重ねる事が、最も正しい進歩だと信じて居ります。私はこの信念に基き村政の執行に当り、又職員を督励致しまして、村民の福祉向上のために、努力を続ける考えであります。まず第一に村の政治は村民のための政治でなければならないと信じて居ります。そこで村政を執行するに当っては村民の世論を尊重し又対外的問題と致しましては村復興のため軍民両政府やその他関係機関に対し財政及び技術の援助方について、積極的に折衝を続けていく方針であります。又対内的問題と致しましては常に村民に対するサービスをモットーとして、村民の人格を尊重し、誠意をもって、事務を処理したい方針であり、又職員を適材適所に配置し事務能率の向上を図り役所内を明朗化し愉快な職場を作っていく方針であります。

1.行財政の強化と企業誘致について
本村は村有財産が少なく自己財源は総予算の13.4%に過ぎず、その他は市町村交付税を始め、政府支出金の依存財源にたよる現状でありまして真に心細い●であります。自己財源の造成につきましては、予算の許す限り財産購入または事業投資などを行なう考えでありますが、これらの問題は専ら公共的立場から、考慮されるべきだと思います。更に資本の導入による、事業を興す事も新財源の造成であり、又村民に反映をもたらすことになりますので、機会ある毎に資本家誘致運動を起こし財源確保と村の繁栄のため努力すると共に労働者の完全雇用を期する考えであります。
次に納税成績について申し上げますと納税成績を向上させるには、公正なる適正賦課と徴税事務の強化を図ると共に納税思想の高揚に努め優良者を賞揚し、滞納者に対しては、法的処分行なう考えであります。なお、徴税事務に対する各区長の協力態勢について、検討を加え、今日より以上の強力な協力態勢を打ち立てる考えであります。更に1965年度は政府による土地測量が、実施される運びとなりましたので、ご報告申し上げ村民の各位のご協力をお願い申し上げる次第であります。

2.産業経済施策について
近時産業共進会制度が、現時点において、ふさわしくなく他の適当な事業に転換すべきだという意見が、ところどころでおこり、南部地区市町村の中でもすでに3,4か町村が産業共進会を中止し、奨励事業に切り換えた町村もあります。共進会制度は明治の頃、創設された古い歴史を有する制度であり、当時産業振興のため、大きな業績を残した制度であります。
本村におきましても議会や区長会においても論議された事があり、共進会制度が、現時点においてふさわしくなく、改善を要する事が指摘されたのであります。この制度を全面的に廃止するかという事については、専門家が、充分時間をかけて、検討する必要があると思いますが、新年度においては、一時中止の措置をとり、現時点において、最もいそがれている農業合理化のための農業構造改善事業と畜産経営改善事業に重点をおき農業の機械化と畜産の多頭飼育を奨励する考えであります。更に農業の基本施設である農道排水路の管理清掃が不行届きのため交通や排水の面で大きな支障を来して居り、特に排水路の新設を怠ったため水の流れが悪くなり地域一帯が水害を被った例も、ところどころに起って居る状況でありますので、これ等基本施設の愛護週間などを設け審査の結果奨励賞を交付するなどの措置を講じ、農道排水路の管理面を更に充実強化して行く考えであります。これらの奨励規定や審査規定などについては後で各位のご意見などを採り入れまして、規則を制定致し度いと思います。病害虫防除対策と致しましては従前より実施して参りました村費補助により指定農薬の使用を奨励し、併せて村農協の協力を求め共同防除作業を督励すると共に、病害虫の異常発生に対処するため、農薬を準備し、更に防除機材の購入補助を行い万全の措置を講ずる考えであります。次に砂糖が貿易自由化された現今における甘蔗作並に糖業政策につきましては、重大な問題であり、独り佐敷村のみの問題でなく、全琉的な問題でありますので政府の糖業政策を推進しこの難問題解決に努力する考えであります。
政府の糖業合理化計画を伺いますと沖縄糖業の発展を阻害しているのは零細農家による小規模経営が、その大きな原因だと言われて居りまして、この際農家の覚醒を促し農地の集団経営化と農耕の機械化によって糖業の合理化を促進する方針のようであります。本村と致しましてもこの政府の方針に従い農地の集団経営モデル地区を設置すべく新年度予算でその設置費を計上した次第であります。
なお、前年度の干ばつに鑑み植樹問題も政府の緑化運動の主旨に従い暴風防潮林を始め果樹風致林などの植樹を奨励し風潮害を防ぎ、干害に対する水源涵養と風致の美化に努力する考えであります。

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大分類 テキスト
資料コード 008435
内容コード G000000413-0007
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第2号(1964年9月)
ページ 2
年代区分 1960年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1964/09/15
公開日